公法 司法


①司法権の独立とは何か?


裁判は、公正、厳粛であるべきことであることから、司法権の独立は必要である。
(権力的圧力や干渉から影響を受けないようにする為)


①立法権
②行政権
③司法権内部
④マスコミ

①〜④からの独立を意味している。


②裁判官の職権の独立とは何か?

裁判への干渉の排除は、その裁判を行う裁判官への干渉の排除になる。すなわち、『裁判官の独立』を意味する。


・憲法76条3項で、裁判官の職権の独立は保障されている。



③裁判官の身分保証とはどういうものか?

司法権の独立を保持するためには、裁判官の身分保証が厚くなければならない。
(身分保証がないと裁判の判決が公平に行えない危険があるから)

↓ そのために

憲法78条

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

と定めている。

最高裁判所および下級裁判所では、憲法79条6項、80条2項で報酬(給料)への保証もされている。


④違憲審査権の
意義と内容・性格とその手続要件について


【意義】

憲法81条

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

と定めている。

(憲法が適合するかしないか、最高裁判所は終審裁判所である→大切)

↓ このことから

明文をもって違憲審査権を規定している。
(違憲審査権は、最高裁判所および下級裁判所で付与される)




【趣旨、目的】

①憲法の最高法規性(憲法第98条)
②基本的人権の保障の確保

のため。



【性格】
①アメリカ型
→司法裁判所が審査主体となる方法。(日本はこれ)

②ドイツ型
→特別の憲法裁判所が審査主体となる方法。


①付随的審査権説
→憲法81条を司法審査型の審査権規定と介し、具体的な法的紛争を解決するためのみ、裁判所はその裁判の前提として適用する法令の合憲性を審査することができるにとどまる

とする説。

②抽象的審査権説
→憲法81条を憲法裁判所型の審査権規定と介し具体的な事件の有無に関係なく、最高裁は一般的抽象的に法律の合憲性を審査できる
(その目的は憲法秩序の保障にある)

と言う説。



重要!【手続き要件】

①〜③の要件を満たさなければならない。

①事件性
(訴訟を提起するには、当事者間に具体的な権利義務の関係についての争いごとの存在が必要ってこと)

②当事者適格
(訴えを提起して、その裁判所の判断を求められるかどうかの資格があるかどうかの判断基準のこと)

③訴えの利益
(訴えることによって利益がある事)



→司法権は、法を適用して具体的法律上の争訟を解決する作用(裁判所法第3条1項)
であるから争訟を提起するときには、当事者間に具体的な権利義務関係について争訟の存在が必要である。
これを事件性と言う。



→当事者適格とは、訴えを提起して裁判所の判断を求めることができる資格を意味する。

↓ この当事者適格には2つの意味がある。
①訴訟そのものを提起する訴訟法上の当事者適格であること。

②憲法訴訟に特有の要件である『違憲の争点を提起する当事者適格』で、当事者が違憲を主張する国家行為によって、個人の法律上の利益を侵害されねばならないこと。
それは、単なる法律上の利益の侵害またはその可能性だけでは十分
(民法、刑法の利益侵害ではダメ、憲法での利益侵害が必要)
でなく、憲法上保障された権利・自由にたいする直接かつ特別の侵害でなければならない。



→訴えの利益がない事を理由として、違憲の主張が退けられる場合がある。
訴えの利益とは、訴訟の提起および維持の前提としてその訴訟を適法ならしめるための具体的実質的利益を言う。


⑤違憲判断の方法としての
統治行為論と違憲判決の効力について



・統治行為論とは

直接に国家の統治の基本または国家の存立の基礎に関する『高度に政治性のある』国家行為について、裁判所の裁判権の範囲外にあるものとして、たとえ『合憲・違憲の法律判断が可能であっても』司法審査を差し控える、

とする理論のこと。

これは、司法権の限界としても説明される。
(しかし、司法消極主義の立場に立つことによって、実質的に合憲を容認する立場でもあると言われている)

↓ 簡単にすると

政治家(政治性)が判断することには、法律での判断で良い悪いの判断はしない(司法審査)


・違憲判決の効力

【効力説】

1.一般的効力説

→違憲判決の効果は、当該提訴事件を超えて一般的に及び、その法律等の規定は一般的に効力を失う。

(違憲になった法律は、他の裁判で与えた効力も失う)

2.個別的効力説

意見と判断された法令は当該訴訴事件に関してのみ無効となる。

(違憲になった法律は、その裁判のみ効力を失う)
(学説、実務は個別的効力説をとっている)




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