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Horse Wisdom ❺ 真冬のコロラドへ

マジックからのメッセージを受け取って、夜ふかしして絵を描いた翌朝・・・

寝不足気味で仕事に向かい、大学の実習室で講義の準備をしていた時、白衣のポケットの携帯電話が鳴りました。

見知らぬ番号に、胸騒ぎを覚えながら応答ボタンをクリックすると・・・

「ルミ? チャーリーだけど・・・」

思いがけないチャーリーさんからの電話に、驚きと嬉しさと興奮で胸がいっぱいになり、「はい・・・そうです」と答えるのが精一杯で言葉を失っていると・・・

「メール見たわ。できるだけ力になりたいけど、いつ牧場に来たいと思っているの?」と電話口の声が続きました。

大学が12月中頃に6週間の冬休みに入るので、年末年始をはさんで、できれば一ヶ月くらい牧場に滞在したいと思っていること、はじめてのコロラドなので、ビジョンクエストのつもりで、自分の車を運転して牧場に行きたいと思っていることを伝えると、

「それはいいアイデアね。で、どんな車を運転しているの?」と聞かれたので、

「ワーゲンのビートルです。」と答えたら、少し間を置いて、

「・・・今こちらはあまり雪は降っていないけれど、これから冬にかけて雪が結構積もると思うわ。私はトヨタのランドクルーザーを運転してるけど、このあたりの人は、大きめのSUVやトラックに乗っている人が多いわね。」「車で来るんであれば、もう少し大きめの、雪道でも安心な車の方がいいかもね。」「とにかく、スノーブーツと暖かい下着は忘れないようにね。」というアドバイスを受けました。

南国の島国育ちで、日本以外では南カリフォルニアやハワイでの暮らしが長い私は、スキー場で過ごした経験以外は、雪国の経験は皆無に近い人間です。その日は、仕事が終わってから、見たことも履いたこともない「スノーブーツ」を求めて近くのスポーツ用品のお店に行きました。暖かいカリフォルニアには需要がないのか、スノーブーツの問い合わせに一瞬戸惑った店員さんが、在庫はないけど取り寄せることはできると言ってくれましたので、とりあえず取り寄せてもらうことにしました。

チャーリーさんの口ぶりから、私の車では雪に対処することは無理そうということが判明したので、雪道に強いSUVのレンタカーを調べていたら、飛行機で行く方が安くつくことがわかり、とにかくはじめてのコロラドは、まず事故なく無事に移動することを優先して、デンバー経由で牧場から1時間ほどのところにある小さな空港までのチケットを購入して、牧場のスタッフに空港まで迎えに来てもらうことになりました。

それから3週間後、デンバーから乗り込んだ小さなプロペラ機の窓から、眼下に広がる白銀の世界を見ながら、これから始まる未知の世界への期待に胸をふくらませていました。不思議と不安感はありませんでした。

そして、空港から1時間ほどのところにある牧場に向かう車の中で、雪道など運転したことのない私が到底対処できる場所ではないこと、私のビートルでは、到底太刀打ちできない環境であることをヒシヒシと感じていました。自分で運転してこなくてホントよかった、と正直胸を撫でおろしていました。

牧場に到着する頃には、太陽が白い山の向こうに沈む夕暮れ時でした。その日は暖かい薪ストーブのある母屋で夕食をご馳走になり、雪に埋もれた道なき道をたどたどしく歩きながら、少し小高い丘の上にあるゲストハウスで一夜を過ごすことになりました。

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翌朝、目を覚ますと、まるで白い海の真ん中にいるような雪の世界。朝日を浴びた白い山脈はピンク色にかがやいていました。

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小高い丘の上のゲストハウスからは、馬達が原野の真ん中で朝ごはんの干草を食んでいる姿が見えました。

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牧場に行く前に見た雪をかぶった「白い山脈」と「黒い馬の背中」と、昨日見た「オレンジ色の太陽と空と雲」と・・・

牧場に来る前に、想像だけで描いた絵の世界が、目の前で息づいていました。







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