覇道

覇気を感じる。
芽吹きを、生きる力を、連綿と続く空間に立ち現れる刹那の輝きを感じる。

嫉妬、尊敬。
理解、分析。
既知、疑問。

引きこもっていた頃、彼は何者でもなかった。
能動的にも受動的にも刺激の少ない生活の中で芽生えた感情。

書きたい。

自身の考えと対象者の考えを見比べたい。
そこに現れた境界線が彼になり、世界と関わる窓口になった。
そこから身を乗り出して世界を覗き込んだ。

途端に嵐がやってきた。

嵐が去るまで窓を眺めていた。
嵐は去らない。
彼は嵐の中の泳ぎ方を覚えることにした。

世界は晴れた。

新たな彩りを彼に与えた。

彼はまだその色の名前を知らない。

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