車に乗って

車に乗ってどこまでも。
車に乗ってどこまでも行ける気がしていた。
車に積んだベーコンには蛆が湧き、じゃがいもはボコボコに痛めつけられていた。

火を興して、湯を沸かす。
そのうちに誰かがテントを建てている。
向こうからは雄叫び。
すごい枝振りの倒木が運ばれてきた。
喜んで火に焚べる。

沸いた湯でパスタを茹でる。
今日はベーコンとじゃがいものトマトソースだ。
もちろんニンニクとオリーブオイルは欠かさない。
野生児たちの生きる知恵は無限大の可能性を秘めている。
そこには不可能なんてないと思わされるくらいに。
全てが愉快になっていく。

何か大いなる意志が図ったかのように揃う枝たち。
ベーコンの幟が揚がった。
結局はタンパク質だ。
焼いて食えば明日の肥やしだ。

彼は今日も生きている。
きっと彼らはもっと逞しく生きている。

衣食住をどこででも整えられること。
それを褒められたことが前にもあった気がする。
次はどこで何を着て何を食べよう。

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