モジホコリ
ぺぺちゃんどこいくの?
歩いていくの?
車ないの?
お金は?
病院は?
お買い物は?
うん
いらないの
モジホコリってしってる?
わたし、それなの
性別もないの
脳もないの
からだは脈のようにみえて
移動できるの
色は黄金なの
へえ
わたしも そのモジホコリってのになれるかな?
さあ
ためしてみようか?
うん
脈をのばすから、つかんでみて
わたしも あなたをつかむから
こわくない?
うん
ほんとに?
うん
米麹を見つけに村に下りようか、オートミールを探しに船にのろうか、
森の海に茸を探しに行こうか。
おなかがすいて死んだようになる前に、一番近いその道筋に雨が降ったら、でかけることにする。
それでいい?
それでいい
それでいい
ぺぺちゃん?
はい
はい
ああ、黄色い空き地。
そっちのほう
めんどうくさいことがなんにもないほう。
呼んでるのは、お母さん。
夕飯の天ぷらも、じゅーじゅーなって、呼んでいる。
またそんな、粘菌拾ってきたのね?
うん
手、洗ってきなさい
うん
ねえ、おかあさん?
なあに?
わたしぺぺちゃんじゃなくって、モジホコリだよ。