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生き物なんかきらいだ:左右の目の色が違うハスキー

動物のシッターしてました。

左右の目の色が違うハスキー。仕事を始めて、すぐ依頼をくれたお客様。

目の色が違うハスキーはお茶目で、方向音痴で、とても優しい女の子。散歩にいったら、2人で迷子になって、人に帰り道を聞いたよね。
私たちはなかよしになった。お母さん(飼い主さん)の代わりに病院にも連れて行ったよね。

どんどん追い越され、私より君が老いていく。

風邪をひいたというお母さんから、君がもう動けないのと、聞いたその夜。

君にこっそり会いに行った。
屋内から庭に出ることが出来る大きな君の家

その外庭に君がいた。

真っ白な雪に、伏せをして、凛としたおすまし顔で、私を見たよね。

  動けないって聞いたよ?

  お母さん連絡したの?大袈裟ね

屋内に置いてあった器の水は凍っていた。新たに水を入れて、外にいる君の前脚の間に置いた。少し飲んだ。

  お家に入らないの?

  今はこうしてる。

  背中にたくさん雪が積もってるよ。

  こんなの寒くないよ。

  そっか、毛がみっしりだもんね!でも、寒くなったら、入るんだよ。

  分かった。

頭を撫でようとしたら長い鼻先を私の掌に押付けた。

  鼻、冷たっ!

  うふふふ。

  いたずらっこだなー。お母さんも風邪をひいてるって。早く治るといいね。

背中の雪を払うと、指にごつごつと背骨が当たる。

  うん。お母さんが元気になったら、散歩するの。

  私とも、散歩するのよ。

  もちろんよ。

  お母さんも君も早く元気になるといいな。

  ありがとう。



確かにあの日、星の冴えた寒い夜に、私達は白い息を吐きながら会話した。


次の日、お母さんから電話が来た。
  朝、行ったら、死んでた。


  え?外で?だって、昨日


  動けなかったもの。外には行けないよ、中で横になって、そのまま・・・・・・

お母さんが涙と咳でむせた。

あの後も、雪が積もり、君のいた痕跡は分からなくなっていたけど、

外庭の真ん中、入れた水は凍っているであろう器の、小さな雪の山があった。

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