直感探偵2話

学級委員長に呼び出しのメッセージが来て、走って学校に戻るアキラ。

(それにしたって、なんで、こんなタイミングで予告状なんて出すんだ?
ふつうにこっそり盗んだほうが成功しやすいだろう。)と考え事をしながら走っていると、一つひらめいた。

(俺が刑事に引っ張られていったのをしっていたから?俺に容疑をかぶせようと?じゃ、もしかして本当に学校にいるのか。あんな恐ろしくネーミングセンスのない犯人が。)

なわけ、ないか。

シーン6 怪盗ロジックを探せ
15分くらい走って学校に戻ったアキラ。はーはー息を整えながら、靴を履き替えていると、

「おそいわよ。木下君」ときれいな長い黒髪の眼鏡をかけた女性が声をかけた。
「ごめん。いいんちょ。ちょっと急な用事があって」

「先生に呼ばれていたでしょ。学生がそれより大事な用事なんてないでしょう?」と少し怒っているのか、ささっっと職員室に向かう委員長とよばれた女子高生。急いであとをついていく。担任の依頼が最優先という話のロジックはさておいて。

「失礼します」元気な声で職員室に入っていった。

「高遠先生、お待たせしました。木下君がいなくて」しっかりと先生にチクっている委員長。遅れた原因は完全にアキラに押し付ける。(アキラのせいなのだが。)

高遠と呼ばれた先生は体の大きいいかにも体育会系といった先生。実は数学の先生なのだがサッカー部の顧問。大好きなバルセロナのチームのグッズが机の上にいくつも置いてある。

「まぁまぁ。いいだろう。忙しいところ悪いな、岡田と木下」そういって机からごそごそと資料を取り出し、じゃ、ちょっと行こうか。

職員室の奥の会話スペースのようなソファーがあるところへ行き、二人に資料を渡す。
「じゃ、班の確認と各時自由行動時の確認事項をチェックしてくれ。」

なんでこんなことしなくちゃいけないんだと思ってぼーっと聞いていると、しっかりうなずきながら時折メモをしている岡田と呼ばれた女性。アキラはずっと眺めていた。

~~~回想シーン~~~~

「学級委員長は岡田優紀さんでいいですか?」
司会をしていた日直の人の声に反対する人もいなく、消極的全会一致で岡田優紀(ユウキ)の委員長就任が決まった。

「では、彼女と一緒に学級のことをリードして言っていく副委員長もきめておこう」と高遠先生が、しっかりスマイルを決めながら話している。

特にやりたいというやつはいない。委員長になった岡田はきれいな女性だ。仲良くなりたいと思う男子は多いだろう。だけどわざわざ面倒な仕事を引き受けたいものはいなかった。アキラもその一人。アキラは興味をなさそうに窓の外の雲を眺めている。

「誰もやりたくないようなので、私が指名してもいいですか。時間もったいないですし。」と岡田。
意外にさばさばしているのかもしれない。苦笑を浮かべた高遠がOKすると

「全然興味なさそうにしている木下さん。お願いします。」ずっと窓の外を眺めていたアキラが選ばれた。

「え、おれ? いや、やめたほうがいい・・」と挽回を訴えようとした声は、全会一致の拍手にかき消され。。。 アキラは副委員長になっていた。

~~~~~~

「おい、聞いているか、木下。岡田に見とれてるんじゃないぞ。」高遠の声が聞こえる。

「セクハラです。先生。」ぴしっという岡田。
「あー、すまんすまん。」笑いながら話を戻す高遠先生。結局滞りなく確認作業は進んでいった。 

話し合いが終わって二人で教室に戻ろうとしていたが、
「今回の資料印刷して配ったほうが早いな。委員長がメモしていたページ借り手もいい?」 アキラが言うと、
「確かにそうね。」と感心したように言うユウキ。

「遅れたおわびに、それくらい俺やっとくから委員緒は先に教室に戻っていてくださいな。」ノートをさっと横取りしコピー室に向かうアキラ。

さぼった手前教室に戻るのが嫌なのだろうと推測して岡田は一人教室に戻る。
(実は、優等生美人女子高生の岡田と二人で歩いているところを見られるのが恥ずかしいだけのアキラなのであった。)

コピーを回していると、
「戻ってきたところ見ると、やっぱり刑事の人たちに見つかったのか。珍しくサボったのに」 と朝一緒に通学していたエイトが声をかけてきた。

「そうなんだよ。いいタイミングだと思ったんだけどな、なんとなく。」
「ぴったりのタイミングだったと。」
「いや、ずっとあそこにいたっぽかった。」 
「なるほど、結構、すごい人たちなのかもな。」
「あー、意外にあの後ろにいたずんぐりな感じの眼鏡のおっさん。PCでいろいろやってたけど、かなりレベル高そうだった。プロファイリングとかもプログラムでやっちゃいそうなタイプ。」
「そっちのオタク系だったのか」
「そうそう。どっちかっていうと、2次元おかっけるタイプかと思ってたんだけどなぁ」 なんていう会話をしながら、コピーした資料を持って教室に戻っていく二人。

シーン7 いざ修学旅行の前に 

修学旅行前日、アキラは荷物を作っていた。高校の修学旅行の目的地は北海道。12月の雪が降っているか降っていないかわからない頃の修学旅行は珍しい。東京から飛行機で千歳に飛び、札幌で1日半くらい二泊し、富良野を経由して旭川から帰ってくるルート。

冬に富良野行ってもってみんなが言っていたが、担任の高遠の意向のようだ。富良野はどうしても外せなかったらしい。授業で北の国からも見せられた。

着替えや移動中で遊ぶゲーム、スマホの充電器などを詰め込む。そこに含まれているパンフレット。

~~~~ 回想シーン~~~

不思議な出会いのあった翌日改めて門脇凛(リン)、富田和也(トミー)の両刑事に呼ばれたアキラ。今度はちゃんと個室であるカラオケボックスで会話をしている。

「百歩譲って、あなたが犯人じゃないと仮定します。」今日も相変わらず偉そうに話すリン。
うんとうなずいているトミー。

「トミーが作ったAIによると、あなたの学校、少なくとも学年に怪盗ロジックがいる確率は95%。」 

好きなものを頼んでいいといわれたので炭酸のジュースを飲んでいるアキラ。
「あ、そう。」といった感じだ。

「なので、どうしても仕方ないから、私たちも犯人逮捕のために北海道に一緒に行きます。」うれしさを隠し切れない調子で言うリン。そういえば、さっきカバンの中に北海道の旅行ガイドが入っていた気がする。

(本当にわかりやすい人だな。)

「で、今日呼ばれた要件は?」とマイクをもってぼそぼそと話すアキラ。
「私たちのサポートとして怪盗ロジック逮捕に協力してほしいのよ。」自信満々に話す女性刑事。うんうんとうなずいている相棒。

「昨日はさんざん犯人扱いだったのに、なぜ急に態度を180%変えたんだ?」怪訝な表情たっぷりになっている

「そうよね。答えは一つ。私の刑事の感よ!!」こぶしを握り締めていってやったぞという満足げな表情のリン。
これはダメだと、相棒のトミーのほうを見ると、そちらは落ち着いた感じでこっちを見ている。むしろ、観察されている感じだ。

(まぁ、完全に疑いが晴れたわけじゃないんだな)

「オッケー。疑いが晴れたなら、ま、それでいいや。んで、あんたたちが都民の税金使って遊説するのも俺関係ないんで。手伝うってことはバイト代とか出るんかな?」 調子よく話を合わせるアキラ。

「それは成功報酬ってことになるわねぇ」、豪遊に犯人逮捕。凛の頭は常にポジティブに回っているらしい。

「つまり公式の依頼じゃないってことか。。。」

~~~~ 回想シーンおわり~~~

シーン8 いざ修学旅行に出発 

翌日は天気の良い絶好の晴れた天気。いつもより早く学校に集まったアキラたちはみんなでバスに乗り込み空港に向かった。
アキラの隣にはいつものエイトが座っている。

「そういえば、あの刑事はどうなったんだ。」
「なんかよくわからん。やっぱり、変な事件に巻き込まれそうだったんだけど、疑いは晴れたみたいだったぜ」適当にごまかしておく。

飛行機に乗ってやってきました。北海道。なんとなく空気が東京より軽い気がする。到着した空港は思っていたより雪はなかったが、バスで移動したサッポロは空港よりも雪がたくさん積もっていた。
どの学生もうきうきしている。 まずは、自然や北海道の歴史を学ぶ記念館などを巡って夕食。今日はいろいろとレクリエーションが行われている。明日は移動前なので、速めに各自休息をとることになっている。

スケジュールを事前に共有した結果、犯行はおそらく明日だろうと3人で話していた。とはいえ、変な動きをしているものがいないか全体に気を配っている。とはいえ、3クラス100人以上の学生がいるので、仮に犯人が紛れていたって見つけられる保証はない。

(俺も何となく今日じゃない気がするし。。今日は適当にいこう。)

初日は何もなく楽しいまま過ぎていった。今回は5人部屋だ、電気を消してはいるが、こんな早く休めるわけもなく、みんなで持ち寄ったゲームをしている。一段落して休憩中。アキラは気になって窓を眺める。

また少し雪が降ってきている。街灯に照らされてキラキラしていてきれいだった。見とれているとエイトが声をかけてきた。

「北海道の冬の夜ってきれいだな」ぼそっと言うアキラ。
「そういうのは俺じゃなく、気のある委員長に言ってあげれば?」ぶっこんでくるエイト。

「え、そうなの?」とほかの友達も茶々を入れにきた。

「ち、ちげーよ」と照れながら言うアキラ。みんな分かった。まんざらでもないんだと。

「あ、」と声を上げるエイト。
「高遠だ。どこか行ってたんだな。」 
「やっぱり札幌といえばススキノなんじゃないの?」
「えー、ずるい。俺も行ってみたかった」 なんてまた話が盛り上がる。

(先生なら勝手に外に出れるのか。。まさかな。そういえば、あの時凛は、学生とは言ってなかたけど。)会話に話を合わせつつ、アキラはいろいろ考えていた。


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