Good for your Health!
さて。上の写真。一体なんだかわかるだろうか。ある日の昼下がり、台所に行くと、湯気が立ち上る緑色の水をカップに注ぎ、「Do you drink?」と言われた。What is it ?
私はてっきり緑茶かと思ったのだが、パミさん、おもむろに塩と胡椒を振り、スプーンでかき混ぜた。写真でゴミみたいなものが浮いて見えるのは、実はブラックペッパーである。
というわけで正解は…
「It is…spinach soup.」「It has a lot of nutrition and it warms your body. Good for your health!」
ほうれん草の茹で汁でした。聞くと、ブロッコリーでもいんげんでも、野菜の茹で汁は普通捨てずに塩をふって飲むのだとか。私も一緒に飲んだけれど、ほうれん草の出汁が出ていて、とても美味しかった。午後のティータイムにピッタリである。
ティータイムの話が出たのでついでにご紹介すると、インドの人は本当にお茶をよく飲む。そう、チャイである。日本にいたときは、チャイってスパイスをたくさん使ってとてもむずかしいイメージがあったのだけれど、彼女たちは一日2回〜3回、チャイを飲む。チャイ用の茶葉をショウガとフレッシュカルダモンと共に煮出し、ブラウンシュガーを入れたら完成だ。日本にいたときのイメージよりもずいぶん簡単だ。大体朝9:30に一回、夕方16:00くらいに一回、たっぷりのチャイを飲む。そのぐらいの時間に外に出ると、インド人がみんな路上のお茶屋さんでチャイを買って飲んでいる。
インドの人は「Good for your health」が口癖のようだ。チャイはとても体にいいから、と皆口をそろえる。茶葉の箱にも体にいいアピールがたくさん。(下の写真 下段左)もちろん美味しいし体にいいのはわかるが、摂取している砂糖の量を考えるとちょっとゾッとする。それでも私もチャイタイムには参加したくなってしまうインドマジック。
ある時、台所からものすごい音が聞こえてきて、どうしたのかと慌てて駆け寄ると、パミさんがココナッツを割ろうと力いっぱい台に叩きつけていた…狂気じゃなくてよかった。大丈夫、普段の穏やかで優しいパミさんのはず…
ココナツは体にいいモノの代表のようだ。とても栄養豊富だが、カチ割るのにとても骨が折れる。めちゃ硬い。
ココナツは割れたら中身を薄皮ごと掻き出して使う。そのままかじっても甘みがあってサクサクしていてとっても美味しい。
他にも、アワラと呼ばれるインドのすぐりをすりおろしたもの(上写真 下段中央)を朝一口食べると健康に良いとか、マカナというスーパーフードのお菓子(上写真 下段右)とか、まあ日本もそうだけど日本以上に「健康にいい」という付加価値が大事にされている印象がある。お菓子売り場にも雑穀を使ったスナックがたくさんあるし(お世辞にも美味しいとは言えなかった)、多くのインド人は雑穀パンや全粒粉のパンを好む。
ピザ生地でもケーキでも、出来合いのものを買うよりも手作りのほうが体に良いといって、なんでもお家で作ってしまう。(もちろん経済階級によると思う)そのためか、小麦粉ひとつとっても実にいろんな種類の粉が売っている。soojiというセモリナ粉は主にサモサの皮やウッタパン(上写真 下段左・中央)、ドーサ(上写真 下段右)などの粉物に使われる。チャパティやロティはataという全粒粉で作ることが多いが、ragi やjowerなどの小麦粉で作ることもあるという。私には違いはまだよくわからないので、研究したら記事にする。カレーにはベイサンというひよこ豆の粉が欠かせないが、これも小麦粉のように水でといて焼いて食べたりもする。
本当かどうかわからないけれど、小麦粉や米も豆も、オーガニックを売りにしているものがとても多い印象だ。
ベイサンを水で溶いて少しの塩をいれ、オニオンとトマトとコリアンダーを載せて焼いたものが、チラ。もちもちしていてとても美味しい。豆の粉だから多分タンパク質も豊富だろう。
写真はある日の朝ごはん。一番手前がチラ(この日はトマトがなかった)。左側のはチャパティにギーを塗ったプラタである。生活感丸出しで恥ずかしいけどついでにタッパーに入っているのはココナツのチャトニーとトマトとチリのチャトニー、豆カレーとバツアサグである。好きなのを塗って粉物を食べる。我が家の食卓は既に半分くらいインドである。この日の我が家の日本は、きゅうりの味噌ディップのみ。
ちなみに上の写真は来客があってマトンビリヤニを作ってもらったときのものだが、右上の緑のチャトニーは絶品である。健康に良いかどうかはおいておいて、病みつきのうまさ。コリアンダーとトマトとチリ、レモン、塩をミキサーにかけただけ。ビリヤニと合うのはもちろんのこと、ライタとも合うし、揚げ物にもサラダにも、多分麺類とか豆腐とかなんでもいける、危険な旨さ!!危険すぎてもうストックしないほうがいいような気もするけれど、やっぱりストックしておきたい。デブ上等。
スパイスもやはりというか当然というか、これは〇〇に良いとか、これは△△に効く、とかそういうのがたくさんである。ボディオイルもしかり、痛みにはこのオイルでマッサージ、疲れにはこれ、リラックスにはこれ、冷えにはこれ、ボディオイル売り場にいくと売り場のおじさんが実に事細かに説明をしてくれて、結局何を買ったらいいのかわからなくなる。
いわゆるおばあちゃんの知恵袋的な教えがいろんな場面で登場する。本当かどうかわからないけれど、ある程度は本当なのだろう。インドの気候や人や環境に合った食事や健康法が自然と形成されてきたのだろうと思う。
その人が住んでいる地域や国の気候に合った食べ物をたべ、文化にあった生活をおくることは、健康であることの一つの尺度なのだろう。パーティーのときにお菓子を沢山ふるまったり、朝ごはんを食べずに何度もチャイタイムをとることもひっくるめて、インドの人にとっては健康な食習慣、なのかもしれない。そのへんは夫の専門である。
ちなみに我が家の夫もお弁当ケースから中身まですっかりインドである。It's good for youre health!
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