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過去の日記転載シリーズ

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2006年ごろから2011年頃までの過去の日記をまとめています
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#詩

見当違いに愛を 2011年2月4日

今でも時々思い出してギュッと抱きしめたくなる 甘くて苦くて濃厚で それでいて とても見当違いな方向に向かっていた 愛の時代。 見当違いであることに気がついていなくて 盲目で でもだからこそとても愛おしい 甘い時間だった 一番私を甘えさせてくれた人たちのこと バランスをとりながら高いところを よろよろ歩いていると ちょっと手を貸してくれて それだけできゅんとなっていたけど きっと今では ムスコをだっこしながら歩いていて 少しバランスを崩したとしても 私よりムスコに誰もが手

スラムドッグ 2009年5月9日

のどに詰まる片栗粉のように あたたかいベッドから キレイな部屋を見渡して 途切れるような息をして 声にならない叫びを押し殺し 空回る指先を泳がせる そうそれは片栗粉を食らうよう 野良猫と野良犬の違いは 野良猫はそれが自然体で 野良犬はそのまま狼になること スラムドッグ それは狼になりうる存在 だからミリオネアになれるのです スラムキャットか スラムドッグか どちらにもなりきれず 夜明けの青白い空の下で 腹いっぱいになったままくたばるのだけは ごめんだと そう思いながら ス

デイドリーム 2009年5月7日

あなたが悪いのよ あなたが悪いのよ ああ あなたが悪いのです どしゃぶりを食べてしまいたい ええ いっそのこと どしゃぶりなど食べてしまえばいいのです ぼくは ぼくの名前を知らない ただ春になったら顔を出し モンシロチョウとくすぐりあって そしてただ時がきたら 花を咲かせる ただそれだけ ああこれだから あなたは何も分かっちゃいない あなたが悪いのよ おいおい、おいおい ああ あなたが悪いのです どしゃぶりを食べて おひさまを抱きか

ファー・アウェイ 2009年4月28日

髪をサラサラにしたくなる。 ふと、ある感覚に襲われると どこまでも髪をサラサラにしたくなる。 それで美容室に行って 高いお金を払って髪をサラサラにして 帰ってくる。 髪をサラサラにして 笑顔を貼り付ける。 私は笑顔を貼り付ける。 同じものが色あせて見えるから。 優しかったものが 涙したものが 勇気付けられた場所が 一晩中踊り狂った場所が 遠い遠いものに見えたから。 私は悲しくなって わからなくなって ただ微笑む。 泣いていないな、と思う。 泣きたいことはいっぱいある