謎の多いアメリカの大学院の選考プロセスを解明する

アメリカの大学院はGREとTOEFLの点数、GPA、SOP (Statement of purpose; 志望動機書)、推薦状を提出すると結果がでるという仕組みになっていて、一体どの要素がどれだけ重要視されているのか謎です。そもそもどこが評価ポイントになっていて何を書けばいいのかもピンときません。

その謎をずばり説明している文章がありました。

Demystifying the American Graduate Admission Process

これはStanfordで実際に入学審査委員会のメンバーをしたことがあるひとが書いた、アメリカの大学院の選考プロセスを解説した文書です。初めて読んだ時はあまりにもはっきりと解説されているのでこんなこと書いて大丈夫なのかなと思ったくらいです。

受験を考えている場合、早めに読んだ方がいいと思います。とくに学部生の場合、GPAと推薦状は悪い成績を取ってしまうと後から挽回できない可能性があるので、何が重要視されるのかを事前に理解しておいて将来に響くミスをしないように気をつけるのがいいと思います。

あとは実際に読んでもらうのがいいと思いますが、要点だけ。

・合否判定は教授(とそれ以外の多少のひと)からなる委員会で決まる

・明らかにダメな出願は除外したうえで、1通あたり複数の人が読んできて、1から10といったスケールで点をつけて、バイアスなどを調整したあと、それの平均点で合否が決まる。

・パートごとに点数が決まっているわけではない。例えば悪い成績をとっている授業があったとしても、なぜそうなったのか納得できる説明がSOPに書かれていれば挽回できたりする。(つまりどうも全体としてこいつはできる、と思わせればよい。)

・GPAは非常に重要。結局のところ入学した後授業でうまくやっていける生徒がほしいので、過去にうまくやってきたという実績から判断するというのは妥当。ただし体育で悪い成績を取った、みたいなものだと関係ないので、個別に細かく見られる。

・推薦状もとても重要。基本的にはアカデミックで業績のある人に書いてもらうのがよく、業績の知られている教授に「この生徒はいままで教えたなかでトップ1%に入る」などと書いてもらえれば最強。誰かよくわからない人(適当なことを推薦状に書いても失うものがない人)だと弱い。

・TOEFLは重要ではない。TOEFLは足切りに達していればそれ以上何点であっても関係ないし、足切りに達していなくても英語の授業を受けることを条件として合格がでたりする。(人文系だとそうもいかないんでしょうけど。)

・GRE (標準テスト)はそれなりにいい点数をとっているひとが多いのであまり差がつかない。満点とかなら多少は印象づけることはできる。悪い点数は確実にマイナス。

・SOP (志望動機書)の評価はトリッキー。自由になんでも文章を書けるし、評価ポイントも曖昧なので、結果としてほとんどのSOPはプラスにもマイナスにも作用しない。ただし本当にうまく書けば読者(委員会メンバー)を感心させてプラスにすることができるし、他の部分でマイナスだった要素をうまく説明することができればマイナスを取り消すことができる。

あとから取り返しのつかないのはGPAと推薦状ですかね。悪いGPAはその時点で不合格になる可能性が高いので、学部生ならよい成績をキープするように気をつけましょう。推薦状は教授に書いてもらうのがいいんでしょうけど、なんとなく受けただけの授業だと教授も「この生徒は中の上くらいの成績で特に授業中にも積極的に質問をしたりしたわけではない」みたいなことしか書けません。業績のある教授を感心させるようなことをやるとよいと思います(なんかこう書いてしまうと小賢しい感じですが、しかし自分がすごいと思っている教授にはそもそも感心してもらいたいものでは?)

このDemistyfing the American Graduate Admissions Process、いろんな謎が解明されていてとても面白いと思います。おすすめです。


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