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寄稿者それぞれ 1/3

予約販売から、2週間がすぎました。毎日届く通知に、喜びと緊張を感じています。今週で、著者校正が終わり、徐々に最終レイアウトに向かっています。

<木村俊介、白須寛規、田野宏昌、大村高広>(敬称略)を紹介したいと思います。本の内容というよりは、簡単なプロフィールをば。

木村俊介さん

木村俊介(きむら・しゅんすけ)
建築家|https://www.sskkmr.com
2012年多摩美術大学大学院修了 2012年 – 2018年森田一弥建築設計事務所 2018年 studio shunsuke kimura設立

木村さんは京都を拠点にされている建築家で、去年の今頃は全く知り合いではありませんでしたが、大学の先輩である山川陸さんが京都に行った際に、私の話をしてくれて、それをきっかけにメールを送ってきてくださいました。同世代(同世代って何をもっていうのかわからないけど、この時期に独立している人)の建築家がなかなかおらず、特に関西のことは全くわからなかったので、諦めないで建ててよかった〜と思ったり、すごい嬉しかったことを覚えています。

木村さんの作品に<House-i>という店舗兼住宅を2世帯住宅へ改装するプロジェクトがあります。webで拝見した限りなのですが、工事前・施工中・工事後の姿が見ることができ、テキストのページに文章が載っています。その中でも、この部分が個人的に興味深いところです。

残された古い構造材などをそのまま見せることで、日々の生活で愛でることも一つの引き継ぎ方であると思うが、何十年ぶりに新鮮な空気に触れらた部材たちはすぐに日常の中で消費され、モノは意識の外側へと消えてしまうだろう。隠されて見えなくなったモノは想像の中でしか見ることができない、普段見えないからこそ日常の中の気になる存在へと浮かび上がることが起こるのではないか。

この部分の前半に特にグッときてしまいます。近頃、テナントの改修や、歴史的建造物の保存修復など、様々なスケールでのリノベーションが行われ、今まで見えていなかったものをひっくり返すことが目的化される傾向が強く感じるなか、商業だとしたらありかもしれないけれど、住宅として考えると、違和感をもってしまうことがあります。実際に、モイスでできた天井の懐を見て、木村さんがそこに何を秘めたのか、目撃して見たいです。

寄稿文見出し
「ここではないどこかへ」
・建築を見るとき
・瓦礫と向こう側
・《半麦ハット》の向こう側

白須寛規さん

白須寛規(しらす・ひろのり)
建築家 design SU代表 摂南大学講師|https://design-su.net 主な作品, 富士見台の家 並びの住宅など.

白須さんは、大阪を拠点にされている建築家で、上町荘と言う場所の運営をしておられます。白須さんを知ったのは、「並びの住宅」をSNSで見かけたことがきっかけでした。「並びの住宅」とは、2019年の春?に大阪に建てられたある姉妹のそれぞれの住宅建築で、全く同じではない、でもどこか似ている2軒が不思議なバランスで並んでいます。
なんとなくシンパシーを感じてしまった私は、内覧会直前にいきなりメールを送りつけ、惜しくも内覧会は都合が合わなかったのですが、数日後、わざわざ見に来てくださり、寄稿していただくに至りました。

その前後に、私も《並びの住宅》を拝見させていただきましたが、角(物理的に言うと「窓」)が印象的な空間でした。白須さんが、作品ページで述べているように「境界を越えたまとまり」が、気になってしょうがない経験でした。窓や壁を超えてアメーバのように外に広がっていくような。

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寄稿文見出し
私の出会った《半麦ハット》
・モノと出会う
・冷蔵庫の残り物
・判断の軸としての「抽象」
・不安
・出会い直す
・調停役として
・作家性
・うまい建築

田野宏昌さん

田野さんは、京都が拠点の建築家で、白須さんの紹介で一緒に見に来てくださいました。白須さんとは旧年来の友人で、2016年には住宅特集研究というイベントを隔週金曜日に開催されています。雑誌「住宅特集」創刊号から全巻振り返る研究会で、去年の春には吉岡賞特集のイベントも開催されていました。
建築自体の持つ空間の心地よさと同じように、それが持つ世界に対する批評性を見出す姿勢は、卒業後実務に追われて流されるままに状態の私にとっては驚きでした。今回いただいたテキストも、建物それ自体に加えて、私が考えていたことを色々読んで考察してくださっています。

寄稿文見出し
「何かであろうか」に向かうもの
・モノが機能を与えられる前に
・フラジャイルな思考
・遅滞進化

大村高広さん

大村さんは、以前の記事にも書いたように、寄稿自体のきっかけになった方です。建築設計をしながら建築理論も専門としており、去年乾久美子さんが作品集を出されたときには、建築専門サイトの10+1で書評を書かれていました。毎度大村さんの文章は、突拍子のない単語がなく、知っている単語で綴られていながらも、内容には毎度新しい発見があります。

今回の記事のサムネイルの写真は、大村さんが撮ってくださったものです。

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現在大村さんは、上野駅Breakステーションギャラリーにて「appearance of Interior Room, appearance at Video Meeting ( 私室の外観 ヴィデオ会議への出席 )」という展示をされています。同じく寄稿者である、奥泉さんとの共作です。大村さんの言葉や写真をいつもと違う形でみられて興味深かったです。

寄稿文見出し
手触りを梱包する

では、

こう振り返ってみると、それぞれにとっての建築の扱い方の違いを感じました。建築の設計とそれに並行して研究をしている方が多かったですが、ぜひ半麦本を読んだあとに(最中でも)著者の設計物をみていただけるとより楽しめると思います。

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