【朝日杯FS】最終結論

おはようございます。
今回の朝日杯FSでは、レース分析考察推奨馬の見解の構成です。
それでは、宜しくお願いいたします。

✔︎レース分析

阪神JFに続き、阪神1600mで施行される2歳牡馬戦。
このレースでの押さえるべきポイント4点。

①例年と今年のトラックバイアスの違い。
②阪神開催8年目のある変化について。
③近2年の血統的共通点。
④前哨戦とのペース差。


①「例年と今年のトラックバイアスの違い」
について。

現在の阪神競馬の最重要項目として挙げられるのが、タフ馬場への対応力
Bコース替わりになるも…内の傷んだ馬場はカバーされず、外差し傾向が続いているのも事実。
"末脚勝負のタフ戦"という構造から好走する馬のレンジも狭まっているのが印象。
例えば…坂コースでの重賞実績。
阪神JFでも馬券内3頭には直線坂コースでの重賞馬券内実績があった点からも…2歳時でのタフな経験値裏付けが必要不可欠。

今年の秋ー冬の阪神開催は今週で11週目
例年は7週なので、この4週間の違いが示す馬場への痛み具合やパワー馬場への変貌ぶりは一目瞭然。
スピード決着が想定される例年とは比べ、走破タイムも上がりもかかるスタミナ戦への想定すべき。

実際に昨年と今年の走破タイムの違い。
20年:リゲルS(阪神1600m):1:33.1※リステッド
20年:阪神JF(阪神1600m):1:33.1

20年:サンタクロースHC(阪神1600m):1:32.6※3勝クラス
20年:朝日杯FS(阪神1600m):1:32.3

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21年:リゲルS:1:34.0※リステッド
21年:阪神JF:1:33.8

21年:甲東特別:???※2勝クラス
21年:朝日杯FS:???

道中のペースに誤差は生じるものの、今年の馬場は約1秒程度タイムが遅い。
また、その週によって阪神マイルのタイムが比例していることから、甲東特別のタイムの出方にも注目したい所だが…2勝クラス+9頭立てのレースなので参考基準に達しない可能性も。
ただ、週中の雨量が多いことからも、昨年より1.5〜2.0秒までかかる見込み。
当日の馬場は要チェック。



②「阪神開催8年目のある変化」
について。

中山1600mの朝日杯から阪神へ舞台替わりされて今年で8年目。
小回りの中山コースに比べ、直線距離の長さや広さの観点からも絶対的なスピード値の能力値が求められるレイアウトが故に、主流血統や末脚に長けた馬の台頭が目立つ傾向が見られた。
ただ、ホープフルSがGIに施行されるようになり今年で5年目と同時に近2年(2019、2020)の朝日杯のレース質が全く別の競技レースへと変貌を遂げている点に着目すべき。
詳しく説明すると…OP競走だったホープフルS(中山2000m)がGIとなり、今年で5年目。
GI昇格後は、生産者側は朝日杯FS(1600m)とホープフルS(2000m)という位置付けの元、振り分けられていたが、2018年覇者サートゥルナーリアの以後の活躍により…強い馬=ダービー出走目標=ホープフルSという位置付けへと方向転換
故に、「朝日杯FS」と「ホープフルS」はGIという共通点ながらも適性重視(マイル適性や今後の活躍見込んで…)の選択となり、出走する馬の種類も偏りが生じるようになった。
それを表しているのが近2年(2019年、2020年)のレースの質である。
阪神開催7年間、前傾ラップが3年(2014年、2019年、2020年)、後傾ラップが4年(2015年、2016年、2017年、2018年)。
特に超前傾ラップとなった近2年(2019年、2020年)は1200m〜1400m転戦馬や本質的スプリンターの出走が目立ち、前半からHペースに。
つまり、ひと昔は"後傾ラップの末脚戦"だった朝日杯がホープフルSGI昇格による適性重視の偏りから"前半Hペースからの1400質のマイル戦"へと変貌を遂げたという事である。
また、ノーザンファームも昨年8頭出しから…今年は3頭のみ。
日本一のノーザンファーム生産者側も、重点はホープフルSにあるのかなと…



③「近2年の血統的共通点」
について。

②で上述した近2年の傾向から、血統的な偏りも顕著に。
まず近2年馬券内馬↓↓↓

2019年
1着:サリオス
2着:タイセイビジョン
3着グランレイ

2020年
1着:グレナディアガーズ
2着:ステラヴェローチェ
3着:レッドベルオーブ

この6頭中5頭の共通点は、タフ戦に強い欧州型の血を父方or母方に内包していたという事。
具体的には、Sadler's Wells、Nureyev、Roberto、トニービン、Nijinsky、Kingmambo、Fairy Kingなど。
多くは欧州型ノーザンダンサーの血が大きく影響している。
○直線が長いコースレイアウトが故に、前半Hペースから最後の長い末脚の持続力と急坂を越えるためのスタミナ能力etc…欧州的な血統要素も助けとして欲しい所。
※唯一該当していないレッドベルオーブはディープインパクト×米国型血統だが…前走のデイリー杯でレコード決着の1:32.4をマークするなど世代屈指馬だったが、朝日杯では伸びを欠き、最後は自力のみで3着確保。

また、ペースの質の変化に伴い穴馬の台頭もガラリ。
前傾ラップの年はグレナディアガーズ(7番人気)やグランレイ(14番人気)、アルマワイオリ(14番人気)など1400mでの勝利実績馬の好走が目立つ。

逆に、後傾ラップの年は、クリノガウディー(9番人気)、サトノアレス(6番人気)、ボンセルヴィーソ(12番人気)など1600m〜1800m実績馬の好走が目立った。
モンドキャンノ(7番人気)とタワーオブロンドンの2頭だけが後傾ラップ時の前走1400m組。
ただ、どちらも京王杯2歳Sで上がり最速での勝利があった点から世代上位の能力を証明していた点も見逃せない。


④前哨戦とのペース差について

近2年の傾向から今年もHペースが想定され、1400mからの転戦馬や先行で持ち味を発揮してきた馬が多頭数出走。
となれば…必須要件は序盤引き締まった展開での好走歴や経験値。
逆を言えば、マイルや1400m未経験で1800m戦onlyの馬は序盤のHペースに戸惑う可能性がある。
実際に朝日杯FSにおいて、マイル未経験で勝った馬はリオンディーズのみ。
リオンディーズが勝った2015年は800mー1000m(12.6ー12.7)通過60.0のマイルGIとなれば超Sペース。
マイル〜1400m的なスピードレースにならなかった事が好走の大きな原因であり、こうした未経験の馬はペースへの対応力も必須となる。
ローテーションの観点からも…近5年で距離短縮馬は馬券内1頭のみ。
距離短縮馬の成績が圧倒的に悪く、道中の追走スピードによる不慣れさがローテーションにも大きく関係している。


以上の4点を押さえた上で、【最終結論】を述べます。


最終結論🏆

✔︎朝日杯FS印

◎ジオグリフ
〇セリフォス
△アルナシーム
△ダノンスコーピオン



✔︎◎本命馬の見解


◎ジオグリフ

"数字"という視点から…歴代最強クラスの馬になれる逸材。
この馬が記録した新馬戦の上がり4F、5Fの"数字"は高速馬場関係なしに…最強クラス。

まず✓新馬戦の後半上がり4Fについて。
ジオグリフが計時した後半上がり4Fが"45.3"秒。

2歳時×東京1600m以上のラスト4F45.9秒理論をクリアした今年の該当馬はジオグリフモカフラワーのみ。

ちなみに、歴代9頭中8頭が重賞馬。

歴代該当馬はコントレイル、エフフォーリア、グランアレグリア、クロノジェネシスetc…名馬だらけ。
ちなみに、ジオグリフの"45.3秒"は2歳で1800m戦のレース後半4F歴代最速記録。
2位がクロノジェネシス、コントレイルの"45.7秒"だから…それを0.3速く走破できたジオグリフの未知なる可能性に絶大なる期待。
また、この該当していたジオグリフ以外の馬は殆ど2歳秋の東京シーズンでの計時。
それをジオグリフは、馬体が未完成な6月の時期に叩き出したのだから、潜在能力の高さは一級品。


次に✓後半上がり5Fについて。
ジオグリフが計時した後半上がり5Fが"57.3"秒
2歳で東京1600m以上のレース後半の上がり5F歴代2位の数値。
※1位はグランアレグリアの57.2、3位コントレイル57.4。
これを2歳×東京×1800mという枠組みなら…歴代1位の最速記録。
また、ジオグリフが新馬戦で倒した2.3着馬アサヒ、アスクビクターモアは次走共に中山1800m戦で後半5F"57.7"秒を叩き出し、この新馬戦のハイレベルぶりが顕著に。

この「2歳時」に「4F45.9秒以内」と「5F57.9秒以内」を出すことは、過去歴代該当馬が示す通り極めて能力の高い馬しか出せない数値。
これはいくら高速馬場…超Sペース…とか関係なしに、その4F、5Fを速く走るという事は競走馬の多種多様な構造上、限界値を越える。
つまり、上がり3Fはどの馬でも出せる数値であり、名馬への判断基準が皆無だが、上がり4、5Fの速い数値は"強い馬"になれる判断基準となるため能力値と比例する。
それを歴代トップレベルの数値を叩き出しているジオグリフは"歴代最強馬クラスの馬"であると"数字"が物語っている。

初の洋芝×右回り戦であった札幌2歳Sも圧倒的なパフォーマンスで、4馬身差の圧勝。
新馬戦の"後半上がり勝負"に比べ、札幌2歳Sでは、"11秒台後半〜20秒台前半が淡々と続く持続力勝負"になるも…一切苦にすることなく、4コーナーからの加速力は"捲りという戦法"よりも"馬個体の能力が抜けていた"=絶対的なスピードの違いという解釈が正しい。


血統的な背景も素晴らしく…

母方にサンデーサイレンス・キングカメハメハ・ノーザンテーストなど日本主流血統を内包。
バランスが非常に良く、父ドレフォンの高速適性が1600mへの対応力を補完。
また、KingmamboNureyevなど…朝日杯近2年の好走傾向にもある欧州型血統を保持している点も強調材料。

1800m戦しか経験していないが…"トモの薄さ"から一瞬の加速より長く持続的なペースになればなるほど潜在能力が更に開花する可能性が高い。
パフォーマンス値では、札幌2歳S(持続的なラップ)の方が高く、素材が良い馬は2戦目で持続的なラップへの対応力とその域を越えるハイパフォーマンスを出せる馬であるからこそ…ジオグリフに関しては前半のペースへの対応は可能と見ている。
あとは…もう1頭の怪物候補セリフォスとの能力差のみ。


✔︎〇対抗馬の見解


〇セリフォス

まずこの馬はダイワメジャー産駒の最高傑作の可能性が高い馬。
遡ること…デビュー前。
馬体写真やCWでの動きから、"ダイワメジャー産駒らしさ"があり、"らしくなさ"も兼ね揃えている異質のダイワメジャー産駒というのが大きな印象。
トビが綺麗で、全体的なフォルムのバランス、筋肉の質感、丁度良い骨格量etc…ケチの付ける点が殆どなく、曲飛の構造からも直線速い脚も出せる…総合力の高い馬

何のアクシデントもなく、現状の素質の高さで3連勝。
早熟傾向が強いダイワメジャーの2歳戦×3連勝という明確な事実もあるが、他のダイワメジャー産駒と比べて質の異なるレースを過去3走経験して勝利したという点は見逃せない決定的な事実。

ジオグリフの見解でも述べたが…セリフォスも新馬戦と新潟2歳Sで後半5F57秒台を記録。

新馬戦(1600m)
→後半5F:57.8、4F:46.1

新潟2歳S(1600m)
→後半5F:57.6、4F:45.3

過去2走とも57秒台のハイラップ。
新馬戦では"スピードの持続力戦"に、新潟2歳Sでは"スピードの持続力+瞬発力"も求められた極めてレベルの高い一戦。
質の異なる2レースを勝てたのは能力の高さでもあり、近年2歳で連続して57秒台を記録できたのはグランアレグリアとセリフォスのみ。
グランアレグリア同様、スピード質の高さ+瞬発力も兼ね揃えているため大崩れが少なく、世代トップの域に達しているのは間違いない。
また、セリフォスが勝利したデイリー杯2歳Sのラスト2F目10.5は破格…のラップで、前半緩んだとはいえこの日は33秒台のレース決着がこのレースのみであることから、総じてパワー要素と持続力が求められた馬場かつ急坂時点で10秒台半ばを計時して、一頭大外から突き抜けた辺り…
世代トップレベルの馬…だと評価しようがない。

血統的な背景も、トレンドのダイワメジャー×欧州型。
本質的に一瞬のキレ味や直線スピード勝負より新馬戦のような先行してスピードの持続力を活かした方が良さは出る。
だからこそ、適性外(直線スピード勝負)の重賞2走で勝利している点からも世代トップレベルの評価をしなければならない。

ただ、対抗評価にした懸念材料も…
セリフォス自身、近2年の朝日杯のような前傾ペースの経験の無さがGIという舞台で露呈する可能性も。
ジオグリフとの大きな違いは、この前傾ペースの経験値の有無。
本質的に"ワンペースな馬"だから…レース傾向としてマッチする可能性もあるが、阪神JFでも前半速いペースを経験した馬の独占だったように、追走力という観点からも経験がないという点はマイナス材料。


✔︎△3番手以下の見解


△アルナシーム
△ダノンスコーピオン

まず△アルナシームについて。
前走はメイケイエールを見ているような暴走でレースにならず、6着と大敗。
ただ、素質の片鱗は確かなモノで、モーリス産駒らしからぬ430キロ超の虚弱な馬体だが、親戚のシャフリヤールに似た後肢のバネ感や筋肉の質、小柄ながらもギュッとつまった筋肉から出るスピード感は母父ディープインパクトの影響が強い。

その備えている能力の高さを証明したレースが新馬戦。
小回りな3、4コーナーから一気に加速し、楽々先着。
パフォーマンスレベルは1頭だけ別のクラスにいるような感覚を覚え、期待していた2戦目で制御不能になり6着と破れたが、ラスト1F目までは先頭での粘り腰は素質の高さから起因するもの。
このレース5Fも11.7ー11.6ー11.0ー11.9ー11.4の11秒台が淡々と続くラップ構成から…アルナシームはラスト1F大きく失速したものの、他馬より序盤で脚を使うことになり、スタミナ切れを起こしたのが大きな敗因。
勿論、制御不能になったのも原因の一つにあるが、今回の前半流れる朝日杯FSにおいて、アルナシームの適性と絶妙にマッチするのが3番手の大きな決め手。
直線一気のスピード勝負より、持続的なペースでのスピード勝負の方が断然適性条件であり…更にスピードに乗せたまま内枠で我慢させることにより折り合いの懸念も少なからず減るということはプラスに捉えるべき。



△ダノンスコーピオン

現状4番手評価。
正直、備えているポテンシャルはジオグリフ、セリフォスに胸を張れるレベルの馬。

まだ全体的な肉付きや締まり具合etc…緩さもあるが、可動域の広さから繋がる全身を使って走るフォームは見ている側からしたら素直に"惚れ惚れ"する。
加速に時間はかかるも…ラストの伸びというのはブレの少なさ"や"体感の強さ"が起因しており、過去2走のラスト100mのエンジンは強い馬にしかできない芸当。

また、この馬の位置づけとして、「あのキラーアビリティに勝った馬…」。
キラーアビリティのポテンシャルは言うまでもないところ…その馬をラスト更に脚を伸ばして差し切る競馬ができたことにこの馬の強さを身に染みて感じた一戦だった。

その萩Sはラスト後半4F45.5。
前半63.0秒のSペースで着差が広がりにくい展開だったが、ダノンスコーピオンとキラーアビリティの独壇場で3着以下には5馬身差。
Sペースの中、直線一気に加速して、この着差はGIレベルに匹敵するほどの値で少頭数とはいえ、内容も上がり数値も立派。

素質、能力の高さは間違いなく本物だが…4番手評価の一番の原因は、過去2走のペース経験タフ馬場
ダノンスコーピオンは過去2走共に前半1000m64.3、63.0の超Sペースからの瞬発戦しか経験していない点は大きな懸念材料。
前半1000mを約5〜6秒縮める必要があり…有力馬の中で一番ペースに戸惑う可能性が高い。
また、本質的に軽い馬場向きかつ前半Sペースの後半スピード戦が適性条件が故に…タフ馬場かつ前半のペースからの消耗度合いはこれまで経験のないことなので、前半で脚に乳酸が溜まった状態で直線向かえることになるのは酷。

ただ、将来的にはどんなペースにも対応できる資質を揃えているため、完全なるマイラーとして活躍が期待される。

サンデーサイレンスの血を一滴も持っていないため、過去から比例する産駒の特徴として、距離の融通性はないが…"可動域の広さ"や"柔軟性"からマイルを主点としながら1800m辺りも対応できる下地はある。

だからこそ、この馬のポテンシャルを認めつつも、Hペース経験の有無を重要視し、今回のレースでどのようなパフォーマンスが出せるのか…今後に向けた大きな収穫に期待する馬として4番手評価とする。


以上が、朝日杯FSの最終結論となります。

やはり、基本の能力差はセリフォスジオグリフダノンスコーピオンの3頭が抜けていると個人的には考えています。
イメージとしてセリフォスは優等性、ジオグリフとダノンスコーピオンは天才性に溢れている魅力十分な2歳馬なので、今後も期待しています。
また、余談になりますが、セリフォスとダノンスコーピオンはPOG馬なので、この馬たちに対する想いはかなり高い次元にあります。
勿論勝ってほしいと思うばかりですが…色んな要素を分析した結果…◎ジオグリフに辿り着いたので自信の本命とさせていただきます。

ここまでご愛読ありがとうございました。
今年はあと有馬記念とホープフルSをnoteにて考察など記載しようと思っているので、是非見ていただけたら嬉しいです。
ちなみに、有馬記念は現在3連覇中なので…4連覇に向けて現在分析中です。
更なる質の向上を目指し、頑張りますので…どうぞ今後も宜しくお願いいたします。🙇‍♂️

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