畑の真ん中にあるお墓
畑の真ん中に─
大きな とても大きな木が立っているんですよ
回りは落葉松しか植えられていないような場所なので
あれーっ? なんでかなー?
なんかいやな感じするなーっ
車を停めて
その木のほうを ズーッと ズーッと ズーッと 見ていると…
うわっ!
その木の根元には、なんとお墓があるじゃないですか…
なんか嫌だな~ 気味悪いな~
でも ありえないことじゃないと思うんです。
自ら切り拓いた土地で眠りたい…
そんな想いだったんじゃないかな。
土地とひとつになりたい
でも 時代は変わるんですね。
後を継ぐものたちが、ここを守りきれるかどうかはわからない。
ここもそうだったんじゃないかと思うんですよ。
土地は手放してしまったけど
想いだけは残っているんですね。
あまりにも 寂しそうに佇んでいたので
通りがかったこともありましたし
手を合わせていこうと思ったんですよ。
あれ? やっぱりおかしい!
そうか! そうだったんだ!
はじめに感じた違和感は、これだったんだ。
あのお墓は
畑の真ん中にあるのですが
そこへ通じる道はどこにもない。
お墓参りなどできるはずがない!無理なんですよ!!
それに
木の根元にお墓を築くなんておかしいんですよ!
それは
樹魂によって封じ込めなければならない
「なにか」があったということじゃないかな?
知らぬ者が うかつに近寄ってはならないから
あえて道を付けなかったのでは…
そうじゃないかと思うんですよ
理解した途端、背中を冷たいものが
スーッと スーッと降りてきたんですね。
でも 確かめなければならなかったんですよ。
誰が葬られているかを…
私はできうる限り近づき カメラをズームしました。
おわかりいただけただろうか
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