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【広場を学ぶ・おすすめ4本 #都市系ブックソムリエ #6】

割引あり

#都市系ブックソムリエ として、おすすめ本を紹介していきます。

https://x.com/RuiIZUMIYAMA/status/1802171752421990831



今回は、広場を学ぶための4冊を紹介します。 他にもありますが、まずは基本を学ぶという意図でセレクトしています。 都市計画研究室(泉山ゼミ)@izumiyama_lab の研究室会議で学生と広場の研究の議論の際にオススメした4冊です。

日本で広場をつくることは様々なシーンに展開し始めています。 ヨーロッパのように教会前広場がないわけで、ヨーロッパの広場が良いと思っても日本で同じように作ることは難しかったわけです。

アメリカでは、古くは、POPSと呼ばれる都市開発プロジェクトの足元の公開空地を創出し、近年では、パークレット(サンフランシスコ)やタイムズスクエア(ニューヨーク)を代表するように、道路(車道)を広場化することに力を入れてきました。

では、日本では、世界一鉄道が発達している背景から、近年では、駅前広場に人中心の広場にする動きが、日向市駅、姫路駅を代表するように起こっています。他にも再開発の中で広場をつくる事例(富山グランドプラザ、福井ハピリンなど)もあります。でもまだまだ代表事例に留まってます。

そこで、日本で広場を考えるにあたり、この4冊から基本を学びましょう。


1.広場の造形


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▶︎広場の古典として、カミロ・ジッテの広場の造形です。教科書にも多く出てくるでしょう。ヨーロッパの広場についてのリサーチや理論がまとまっている、まず広場を理解する教科書的な存在です。建物と広場の関係では図と地の反転のリサーチなど都市におけるオープンスペースを考える基本的作法なども参考になります。

2.日本の広場


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▶︎日本にはヨーロッパ的広場はないとするものの、広場的なものは日本にもあるという立ち位置から、日本の広場をとりまとめた1970年代の都市デザイン研究体がまとめた本です。都市デザイン研究体は建築史家・伊藤ていじの元に集まった研究者たちのグループです。祭りや一揆、井戸端など日本の広場的なものを体系的にまとめています。広場論、広場のパターン、広場化のアクティビティ、ケーススタディをまとめています。

3.広場


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▶︎シンプルなタイトル、広場、監修に建築家・隈研吾、建築史家・陣内秀信で、表紙は隈研吾さんが手がけた神楽坂のla kagu。2015年に出版されたこの本はla kaguができた2014年の直後のタイミングでした。これまでの広場論をおさらいするも、la kaguが象徴するように、建築と広場を建築的スケールでどう考えるかに主眼が置かれている印象です。公開空地のない中小規模の建築で広場的機能をどうつくりだすか。都市においても大事な視点です。さらに自然発生的に人の集まる想定外の広場なども楽しみな事例です。写真も多いので、事例とともに広場を学ぶ他書に比べるとライトな1冊です。

4.広場のデザイン: 「にぎわい」の都市設計5原則
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▶︎タイトル通り、広場のデザインを考えた、小野寺康さんの単著。日向市駅、姫路駅の駅前広場やサンキタ通りなど広場やパブリックスペースデザインを数多く担当する小野寺康さん。世界中の魅力的な広場の事例を紹介し、それらに加え、自身の設計した魅力的な広場のデザインのプロセスや方法を紹介しています。日本でどう広場をつくりだすかの視点で参考になります。

いかがでしたでしょうか。

日本で広場を考えることは、初学者も関心を寄せる一つのポイントだと思います。しかし、それらを実践することは、ハード、マネジメント、アクティビティの点からもハードルはあります。でも世界の広場を見て、もっと日本にも広場が必要だと共感する人が多いでしょう。

まずは基本的なところから抑えて、ぜひご自身の目の前の課題やプロジェクトで広場を考え、広場をつくり出すアイデアを構想しましょう。そんな時にこの4冊はいつでもヒントやインスピレーションを与え、あなたを助けてくれるはずです。


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