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新しい風を待ってる

美しい庭園があるお寺へ亡夫の納骨へ行ってきた。

骨になってずいぶん経つのだけれど、なんとなく手元に置いていた。一度に全てを亡きものにするのはなんだか気の毒で。

まごまごしていたら子どもたちが成人し、新しい道へ進む事に。ついに時が来たな、と、今年の春は家族全員の旅立ちの季と決めた。

久しぶりの青空、若いご住職の柔らかい読経、冬枯れた庭の景色、帰り道で出会った虫や鳥、家族での会食、全てが心を穏やにしてくれた。これからも大丈夫だよと語りかけられているような気がした。

子どもたちの成長した後ろ姿にあの人の面影を想う、今日はそんな日であった。

花火の煙を纏い
私は怠惰に漂い
新しい風を待ってる

暖かくなる頃にはきっと新しい風に出会えると信じて、あと僅かとなった冬を乗り切りたい。