【非日常性とリアリティ 】 〜エルメスが贈るシネマ体験『彼女と。』〜



美術館の展示に行って、シェアしたいという欲求を持ったのはいつぶりだろうか。
「この内容をシェアしたい、語り合いたい。」
そう思わせる魅力と、予想を超える仕掛けに溢れた空間だった

エルメスの服や小物で作られた圧倒的な美しくクオリティの高い、非日常性を持つセット。
10ほどあるセットそれぞれに、エルメスの世界観を表現する役者たち。
その役者に観客自体が混じり合い、ある意味その場にいる人で作られた構成主義的に常に異なった瞬間が作られていく世界。
全てが圧倒的で、予測を超える空間

圧倒的な非日常的な世界観を、どうリアリティをもって感じさせるか。
これが今の時代に求められている要素であると思う。

「インスタ映え」などに代表される、非日常性への欲求
一方でバーチャルの世界が急速に拡張している時代に、仮想の空間や拡張された現実の空間にいることが多くなればなるほど、人はリアリティを求めていく
シネマの世界の一部になることで、客がアクターやエキストラとして映画の一部となることで、映画の遠い世界ではなく、日に常の中にも圧倒的にリアリティを持って感じていく

美術館の静的な展示に見慣れているからこそ、これほどまでに動的に展示が動き、そしてその展示の中に自分がいるということは驚くほどの新鮮さを持ち、エルメスのクオリティの高い服や小物がさらに、その空間の非日常的性を高め、しかしそれを人が動的に動くことでリアリティある世界を創り出していた。

非日常性とリアリティを求められている時代
一例としてはテラスハウスやバチェラーといった世界観が例としてはわかりやすいだろう。
これらのコンテンツは、非日常的な世界にいながらも、それがリアルであることが同居していることが人気の要因なのだと思う。
バチェラーも贅の極みを尽くした非日常の空間で過ごしながらも、現実にいる人物の様子が、映像で流れていく。そしてその出演している人はSNSの世界を通して現実世界にいることを示し、観客はリアリティを感じ、同時にSNSなどの交流を通し、そのエンターテイメントの一員にもなっていく。

日常生活などでの機能性の追求とは別の、非日常的な世界におけるブランドであるエルメス
ユニクロやH&Mなど、機能的であったり、スピーディーにニーズを捉えて生産していくなどに圧倒的に強みを持つメーカーが多く出てきている中で、ハイブランドの意味合い、役割みたいなものを驚くほどのリアリティもって感じられた。
今回の展示は、エルメスの紡ぐ世界観に没入させ、その一員にならせること成功したと思う
この展示の前と後で、日本におけるエルメスの位置づけは大きく変わるのではないか
そう感じさせるほど、驚きの多い、素晴らしい展示だった

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