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9/22 DAY#8 Captain’s Run

今日のスケジュール
08:00 朝食 ボディースクリーニング
11:00 ウェイトトレーニング (ノンメンバー)
13:00 ランチ
15:10 ホテル出発
 *キャプテンズラン後スタジアムでメディアインタビュー
16:45 ライトスナック
17:45 BK/FW ミーティング
18:00 ディナー
21:00 スナック

今日の目玉イベントはキャプテンズラン!
メディアへお披露目の意味も有りますが、主な目的は明日の本番ゲームに向けて選手達が、ホテル出発からキックオフまでをシュミレーションする事や、ピッチの状態、スタジアムでの風の影響、声の反響具合の確認など、選手のイメージトレーニングをする重要なセッションです。
我々も初めての試合会場入りという事で少し緊張気味。
何故なら試合当日は我々の動きがチームは勿論、スタジアムでのスタッフ、最終的にはゲームそのものにまで影響しかねません。
その為にもキャプテンズランは我々にとってもマッチデーのシュミレーションをする唯一の機会だからです。

先ずはいつものルーティン、朝にランドリーピックアップを済ませ、朝食とリエゾンミーティングを行います。今日はいつもより念入りに(笑)
役割分担は大会規定に沿って決めていきます。
基本的にはチームのスタジアム入りにはバス2台と先導するランドローバー1台。
ウェールズチームはバスは選手用とマネージメントスタッフ用に分かれていて、各1台にリエゾン1人とセキュリティースタッフが乗る必要があります。アレックとシューちゃんです。
バス内では無線を使い、スタジアムセキュリティー、組織委員会、管轄警察署の各所が同じ会話を聞く事でチームのスタジアム入り時間を正確に把握し、時にコントロールします。
チームのスタジアム入りには厳格な時間設定がされており、必ずオンタイムで入る必要があります。
その為早すぎる場合はバスに乗るリエゾンに連絡が入り、バスのスピードを落とす様に指示までします。
この様な厳格な規定があるからめちゃくちゃ緊張してたんです(笑)
ただ当日はアドバイスチームとして主にアナリストやテーピングマン、キットマネージャー、S&Cコーチが先にスタジアム入りして色々準備する事があります。
よってウェールズチームは試合当日は
バス2台にアレックとシューちゃん。
アドバンスチームに僕。
先導のランドローバーは無し。
という陣形で挑む事にしました。
 *ウェールズのリエゾンは他より2名少なく3人だけだからです。

先ずはAMのノンメンバーのジムセッション。
台風が近づいて来てるせいか明日の試合でも強風の予想だった事もあり、急遽プレスキッカーもグランドへ行きキック練習がしたい。との事で僕とシューちゃんでトヨタベルヴリッツのグランドへ。
昨日お別れしたはずのTCCのKさんやグランドキーパーHさんと再会(笑)
急な要望にも迅速に対応してもらい、再会できて嬉しかった。

帰ってきてランチを済ませた頃にJRに呼び出されキャプテンズラン用の服を仕分けるから手伝って欲しいとのリクエストが。
短パン、スパッツ、Tシャツ、上着をメンバーのサイズ毎に分けて、選手の名前をプリントした紙とセットにして、椅子の上に並べる。
ただこれだけなのだがなんせ段取りが悪い(笑)
選手の名前の紙も用意してないとか言うし
(急遽全員の名前をPCで作成しプリントした)
服もサイズばらばらで仕舞ってあるし
次回の為に各ウェアにある番号を控えろとか言うけどリストは作ってないし…
僕は意外とマメな方でこういうのはキッチリ準備するタチなので余計にイラッときた(笑)
今日するとわかってて昨日何もしてない、ただの怠慢である。
なんやかんやで1.5時間位かかり、ちょっと時間を押してた為、途中選手達がやってきて「まだ着ていく服配らないのか?」とプッシュしてきた位(笑)
選手もシビレを切らしてきている。
ああぁあーーーーーーーイライラする(笑)
そしてそのままキャプテンズランの練習道具をトラックに積み、バッタバタでホテル出発…
忘れ物がありそうでヒヤヒヤしたし。

今回のスタジアムはホテルから超近い。
当日混んでても20分位だろう。
キャプテンズランはアドバンスチームもバスと一緒に出発する。
明日の同じ道はどんな景色が広がってるんだろう?と想いを馳せながらトラックを走らせる。
指定ルート上にあるセキュリティーゲートでIDチェックを受け、いよいよスタジアム内へ。
到着と同時に僕には特殊任務が待っていた。
先日負傷した箇所が思わしく無いとの事で急遽メンバー外となり帰国したコーリー・ヒルに代わり、新しく入ってきたブラッドリー・デービスのオフィシャルIDをスタジアム内で受け取るのだ。
このIDが無いといくら有名選手でも決まったエリアには入れない、絶っっっ対に無くしてはいけない大事な物なのだ。
なのでIDがないとブラッドリーはスタジアムに入れない。
昨日組織委員会のプールDマネージャーのナツさんから電話が掛かってきててこんなやり取りが。

ピロピロピロ
ラ 「もしもし」
ナ 「あ、コウジュ君?ナツです」
ラ 「はい、お疲れ様です」
ナ 「アランの調子はどう?」
 *組織委員会でもアランは機嫌を損ねると厄介者で有名
ラ 「今の所機嫌は悪くないと思います、口は悪いけど(笑)」
ナ 「皮肉な言い回しの時は機嫌が良いって証拠よ、良かった(笑) 所で、明日何だけどアダムのID受取について、トヨタのスタジアム責任者のヒロセさんって人に伝えておいたから、入口まで持って来てくれるそうなので受け取ってね」
ラ 「わかりました、じゃ行ったらすぐわかりますよね?」
ナ 「うん、大丈夫、じゃ宜しくね」
プープープー

まぁ入口まで来てくれるって言ってるからすぐわかるだろう、と思ってたんですが
トラックを先に止め入口へ行くと、何とヒロセさんが!

そらすぐわかるわ(笑)
あのスーパーブーツ・ミスタートヨタの廣瀬さんね!
先に言うてくれてもいいのに(笑)
突然のレジェンド登場で、しかも僕なんかにめちゃくちゃ丁寧に接して頂いて、驚きと感動と嬉しさとがごちゃごちゃな出逢いでした!

廣瀬さんからIDを受取りアダムに渡したら、直ぐにトラックに積んである荷物の荷下ろし開始。
コンタクトバックやボールなどはそのままピッチに運び、一つ一つ整列して置いていく。
バスタオルやテーピングなどはロッカールームへ。
一通り運び終わったらスタジアム関係者の皆様にご挨拶。
キャプテンズランと言っても練習は合わせ位と思ってたら、結構本気でコンタクトしてた。これは意外だった。
特にアナリストとコーチ陣が練ったジョージア対策のプレーは入念にチェック。

50分程したら全体練習は終わり、個人練習へ。
僕の出番。ふふふふふ。
キッカー練習の始まり。
キックオフドロップに始まり、
タッチキックや、
RWCでよく見られたWTBへのキックパス、
ドロップゴールにコンバージョンキック、
それらのキックされたボールを蹴り返すのが僕の仕事!
リエゾン3人よ中で唯一のラグビー経験者という事で、
キッカーやキックコーチのニール・ジェンキンスから指名されたのだ!
しかも毎日!
ラグビープレーヤーとして、これ以上ない名誉な位な仕事だと今でも思う。

キッカー練習は思ったよりも長い。
その日の体調やピッチや風の状態もさることながら、キッカーの精神状態で成功率が大きく変わる事が今回のツアーでよく分かった。
ビガー、ハーフペニー、パッチェルの3名がウェールズのキッカー。
精度はビガー
飛距離はハーフペニー
その中間がパッチェル
と言った感じ。
毎日何本も蹴る中で調子が悪い時は、必ずジェンキンスがその選手に寄り添って声をかけ、モーションのアドバイス等をしてた。
今、日本では #JEK こと君島良雄さんが自らの発信で、キッキングコーチとして台登されているが世界では当たり前と言う事を目の当たりにした。
調子が悪いとキッカーは多目に蹴りたがる
でも余りにスランプだとジェンキンスは止めさせる。
その代わりにピッチに座って話をするのだ。
何を話しているかはわからないし、これで何が変わるのか?と不思議に思ってたけど、キャプテンズランで絶不調で正にこの状況だったハーフペニーが次の日試合でバンバン決めてたのを見て、キッキングコーチの必要性やプロ選手の気持ちの切替方の凄さを実感した。
因みにビガーとハーフペニーと話してみると、彼ら2人とも将来はジェンキンスの様な精神的支柱になれるキッキングコーチになりたい。と言っていた。
それ程ウェールズのレジェンドプレーヤー、ジェンキンスの存在は大きい。ガットランドも彼は世界一のキッキングコーチと言っていた。

話を戻すと、
キッカー練習中に先に上がった選手はアレックがバスでホテルへ引率し、キッカーや他の居残り練習してたメンバーをもう一台のバスでホテルへ連れて帰り、キャプテンズランは無事終了。
後はディナーのみ!

ホテルへ帰り、後片付けをしていると一足先に帰り、ホテルにあるスパから出てきた超ご機嫌のアランに遭遇。

ア「ヘイ、ヤーマン。ちょっとはキック上手くなったか?」
ラ「代表選手にボール蹴れるなんて夢みたいです」
ア「質問に答えろ(笑) 俺も元代表や、お前のボール蹴ってやろうか?」
ラ「いや、アランはHOだったので遠慮しときます」
ア「ふん、お前よりは上手いわ(笑) 所で明日の試合なんだかチケットが20枚位余ってる。昨日行ったスクールクリニックの学校に行って、チケット貰う子供を探してこい」
ラ「あ、ありがとう…でももうこんな時間だし今から小学生達いるかな…」
ア「とにかく、俺は少しでも未来のある子に渡って欲しいんや、任したぞ」
ラ「はい…」

機嫌が良いのは良いし、チケットも嬉しいけど、条件が困る(笑)
どうしよーと悩みながらトラックから荷物を出してると、ホテルの外にラグビージャージを着た小学生が何やらモジモジしながら、お父さんと話してる。

小「あ、あれ、XXXX選手じゃない?」
父「んー、ホテルの中で遠いからわからんよ」
小「絶対そう、外出てきてくれへんかな?」
父「んー、なんか出てきそうやけど…」
小「あ、エレベーター乗っちゃった…」
注: 実際は関西弁ではありません

その子を見たら手にはサインペンを握り締めてる。
プロップか3列をしてそうなぽっちゃりだけどガッチリした強そうな子が、嬉しそうだけどちょっとしょぼんとした表情だったので話しかけてみた。

ラ「誰待ってるん?」
小「誰でも良いからサインが欲しくて…」
ラ「誰でも良いの?そんな事ないやろー」
父「本当誰でも良いんです」
ラ「そうなんですか?じゃ知ってる選手は?」
小「ダン・ビガーとガレス・デイビス、アラン・ウィン・ジョーンズも知ってる」
ラ「そうかー、アラウィンはさっき出て行っちゃったなー、ずっとここにいるん?
小「うん、1時間位出てくるの待ってる」
ラ「そうなん?ホテルの中入ってないの?」
父「迷惑かなと、入って良いかもわからないし」
ラ「…そうですか、ロビーまでは良いですよ。二階が立入禁止なだけで」
小「そうなん?でも入るの気使う…」
ラ「大丈夫、ほらあのおばちゃん達も思っ切り入ってるやん」
小「うん、でも…」
父「この子見た目に依らずシャイで真面目なんです(笑)」
ラ「わかった、ちょっと待っとき」

そう言って、荷物をシューちゃんに任せて僕は二階の倉庫へ、
大会期間中僕がTwitterでやってたウェールズ応援企画プレゼント用のラッパ水仙を一つ手に取り戻ってきた。

ラ「これウェールズの応援する時にマストなアイテムやねん、着けてみ」
小「え?何で?」
ラ「良いから(笑)」
小「これで合ってる?」
ラ「逆向きやな(笑)」
小「これで良い?」
ラ「おけ!じゃ行こうか!」
小「え?どこ行くの?」
ラ「決まってるやん、好きな選手に会いに行こう」

そう言って彼を連れてホテルのロビーへ
そこへちょうどダン・ビガーとトーマス・フランシスが通りかかる。
ラ「ヘイ、ビッグス!」
ビ「ヘイ、ヤーマン」
ラ「この子がビッグスの超ファンで1時間も外で待ってたんだって」
ビ「1時間も⁉︎ 早く言ってくれれば良いのに」
ラ「シャイでなかなか中に入れなかったんだって」
ビ「それはかわいそうな事したね、素敵なラッパ水仙だね、ウェールズのファンなの?」
小「うん、トヨタで試合が決まった時からファンになりました」
ビ「それは嬉しいな!」
と言いながらジャージにもラッパ水仙にもサインをしていく。
そして周りにいた他の選手達を呼び止めてこの子の紹介をしながらサインをする様に言い回る。
と、そこへその子のお母さんが凄い勢いで走ってきた。
母「私!ダン・ビガー選手の大ファンなんですっ!」
なるほど、お母さんの影響でこの子もダン・ビガーを知ったんだな(笑)
母「私も写真撮って貰っても良いですか?」
ビ「もちろん!」
母「ぎゃーーーーーーーーーー」
ビッグスがお母さんの肩を抱き寄せ密着(笑)
その横でお父さんが2人のツーショットを撮りながら、「ダン・ビガーなら浮気も仕方ないな…」とボソっと言ってたのが印象的(笑)

サインもいっぱいになったところで選手達はカフェへと出かけて行った。
父「ありがとうございました、これでRWCの思い出が出来ました」
ラ「明日のゲームは来られないんですか?」
父「息子も観たがってたんですが、抽選外れてしまって、妻は用事が有るし、下の子はまだ小さいし、私だけが友人のチケットで観に行くんです…、子供には内緒で…」
RWCあるあるだろう。とにかく当選確率は低い…
ラ「…」
母「本当は家族で観れたらと、最悪この子には見せてあげたいと思ってたんですけどね…」
ラ「…お母さん、明日の用事は何とかなりますか?あと下のお子さんの面倒と」
母「???」
ラ「実は私チケット持ってるんです、良かったら3人で観にきませんか?」
父「え?」
ラ「チームのマネージャーから子供を招待しろって言われてるんです。是非この子と見に来てください」
母「でも…」
ラ「良いんです、チームは誰とは言ってませんが、こういう子達が見るべきと思います」
父「本当にいいんですか?」
ラ「はい、今チケット持ってないので明日ホテルのフロントに預けておくので取りに来てください」
母「ありがとうございます、用事は何とかします!」
そう言って早速予定変更と下の子の面倒をおばあちゃんにお願いすべく電話をかけている。
父「本当にありがとうございます、実は私トヨタでプレーしてたんです」
ラ「そうなんですね!どうりでガタイ良いなと思ってたんです」
父「一昨年まで現役でした」
ラ「じゃ北川や馬場や文字を知ってますか?僕の後輩です」
父「もちろん皆んな知ってますよ!そうでしたか!」
などと盛り上がってお互いの連絡先を交換した。
帰って行く時、お父さんが子供に明日試合観に行こうと話し掛けた時、大声で喜び何故か全力でダッシュしてそこら辺を回ってたのが印象的やった。

これで良いと思う。
キャッチフレーズ通り、RWC2019は一生に一度の大イベント。
でもチケットはそれなりに高額…
試合を観て代表選手に憧れて、将来代表目指して頑張ろうとする子供や学生には高過ぎるし、そもそもチケット当選が難しい。
残りのチケットは是非子供優先でチケットをあげてくれと約束して、友人であり後輩のトヨタの選手に渡した。
明日はきっと何人もこんな子達が観にきてくれるだろう。
このチケットはこう使うべきだ。

そんなこんなで後片付けも終わり、チケットの準備と明後日の出発準備をしてたらアレックから着信。

ア「コウジュ今どこ?」
ラ「ホテル居るよ」
ア「何か毎回キャプテンズランの日はマネージメントだけでディナーか飲みに行くらしい」
ラ「あ、そうなん?」
ア「今日はディナーいらんから飲みに行く場所探せって言われてて、近くのワインバーを見繕ったんやけど一緒に交渉しに来てくれへん?」
ラ「いいよー、じゃそっち行くわ」

電話を切って歩く事8分でワインバーに到着。
中に入るともう既にマネージメントメンバーで店内はごった返してる(笑)
アレックが交渉に行くって伝えたら俺が交渉してやるってアランが言い出して全員ついてきたらしい(笑)
自分らで何とか出来るやん(笑)
と思ってたらアランが僕達に寄ってきた。

ア「おい、今日の飲み代を安く抑えコストダウンしたいから交渉してこい、あとこのワインをボトル3本頼むから1本タダにする様に頼め」

無理やろ(笑) 1本7万5千円やで(笑)

とりあえずアレックと2人で店長と話す。
ア「店長さん、ご存知とは思うんですけど彼らはウェールズチームの監督やマネージャーなんです」
店「ええ、先程伺いました。凄く光栄です」
ア「彼ら自国でもワインをよく飲むんですが、この店は雰囲気も良いしワインも美味しいと言ってますよ」
店「そう言って頂けると幸いです」
ア「明日は試合なんですが、もしお店が良くしてくれたら明日の祝勝会もここでやりたいと言ってるんです」
店「それは良いですね!是非!嬉しいです!」
ア「で、彼アランがマネージャーで決定権を持ってるんですが、彼にお酒を奢って上機嫌にすれば明日も来ますよ」
店「わかりました、じゃこれを皆さんに」
と、違うワインを開け皆に注ぎ出す。
そしてアランに渡した時
アラ「これも美味しいがさっきグラスで飲んだアレの方が美味い」
とOpusOneを指差す…
店「そらそうですよ(笑)」
アラ「アレが良い」
アレ「…店長さん、アランはどうしてもアレが良いと言ってます…」
店「ええ…でもあれは凄く高いんですよ…」
アレ「はい、知ってます…ちょっと通訳しますね」
アランに話しかけて適当に合わせろって言っている…
アレ「あのワインを1本プレゼントして欲しいと言ってます」
店「それはちょっと…」
アレ「じゃあ1本買うから1本プレゼントでどうか?と言ってます」
店「ええー、うーん、どうしようか…」
アレ「じゃ2本買うから1本プレゼント」
店「うう…、わかりましたそうさせて貰います」
何と交渉成立(笑) RWC効果絶大(笑)
アランに結果を伝えると…

アラ「なんだ結構すんなりじゃないか、もう少しイケるな」

やめてくれ(笑)

そう言ってたら調子に乗り出して、カメラマンのベンを呼び出し、店長と俺を写真撮れと言い出す。
何かと思ったら、この店をウェールズのメディアにオフィシャルスポンサーバーとして載せるとか言い出す(笑)
それを店長さんに告げると大満足(笑)
これで明日の試合後はウェールズ人がこぞってここに集まり飲み倒すだろうと店長に話してる…
おお、そうだ、オフィシャルバーにしては殺風景過ぎる、
と言ってカバンから何やら取り出す。


選手のサイン入りジャージだ!
しかも明日の試合の刺繍入り!
これをいきなり店長に着させ、もう一度写真を撮り直す。
俺らすら貰ってないのに!!!
くちゃくちゃの笑顔でアランと写る店長さん。
アランも店長さんも機嫌は有頂天!
アランとさっきのお高いワインで乾杯しまくってる(笑)
すると店長、何を血迷ったのかアレックに通訳して欲しいと言い出した。
店「今日は本当に素晴らしい日です、実はこの店は先月オープンしたばかりなんですが、いきなりウェールズチームのオフィシャルバーとして認定してもらって本当に光栄です。
明日は大事な試合です、絶対に勝ってください!今日は私の奢りです!」

どうかしてる…あのクソ高いワイン3本以外にも25人程で結構飲みまくってるのに…奢りだと⁉︎これがワールドカップ効果なのか!
それともウェールズマジックなんだろうか!

何はともあれ、アランはサイン入りジャージと巧みな話術とその笑顔で店長を攻略してしまった…しかも当初の目標以上の成果!
ウェールズチーム恐るべし。
さすが6ネーションズをグランドスラムで優勝して乗り込んできただけはある。

という訳で殆ど店の奢りとなったことで、試合前日なのに夜中まで宴会は続くのでした…

続く

後日談
招待したご家族、試合の後ホテルに帰ったらフロントから菓子折りを渡されて中を見たらお母さんとその子からの手紙が入ってました。読んで改めてチケットあげて良かったなと思いました。
ワインバーの話、本当にオフィシャルバーとなったかは不明ですが、カメラマンのベンが個人のSNSで拡散したらしく、試合当日は本当に多くのウェールズ人が駆けつけ、この日の赤字を大きく上回る売上だったと、トヨタ出発の直前に店の人がアランに報告に来てました(笑)
因みに全部奢りは申し訳ないと、一部のお金を払い、試合のチケットも何枚かお店にプレゼントしてました。

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