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9/23 DAY#9 初戦ジョージア戦

今日のスケジュール
08:00 朝食 ボディースクリーニング
12:30 ランチ
14:00 アドバンスチーム出発
15:10 軽い筋トレ
15:30 ウォークスルー
15:45 試合前食事
17:35 ミーティング後出発
19:15 ジョージア戦KO
22:30 ディナー
23:00 チーム荷物積込み

今日はワールドカップ初戦のジョージア戦!
遂にこの日がやって来た。

いつものように朝食をリエゾンミーティングと共に済ませて、役割分担をしたら一旦部屋に帰って自分の荷物をパッキング。
今日は息つく暇もない程忙しくなる…
夜の荷物積込み前にパッキングは不可能と予想。
そして私の担当はアドバンスチームで誰よりも早くスタジアムに到着して、チームを迎え入れる準備がある。
解析チームとキットマネージャーのJR、S&Cコーチのアシュビー、チームカメラマンのベン、それにテーピングマスターのカークを入れて総勢8人を乗せたハイエースと僕が運転するDHLトラックでお先にトヨタスタジアムへ。
昨日のキャプテンズランである程度の練習道具は持って行ってたので、そんなに荷物は無いだろうと思ってたけど甘かった…
DHLのRWC4tトラックほぼ満載の荷物(笑)
何でこんなに荷物あんねん…
駅前のトヨタキャッスルホテルの外は朝から、既にボランティアや歩行者天国の準備をする自治体の人達、思いっきりオフサイドのファンがチラホラと見られ嫌でもマッチデイを感じさせてくれてた。

トラックに荷物を積み込んでたら僕の名前を呼ぶ声が。
母校のOBで中学の先生をされてる大先輩だった。
息子さんと観戦に来たらしい。
事前に母校のOB会にはウェールズのリエゾンをやる事を伝えていたので、ひょっとして会えるかもと来てくれたらしい。
労いの言葉をかけて貰い本当に嬉しかったし、大先輩に母校の誇りやって言ってもらえて感動した…

挨拶もそこそこに、いざトヨタスタジアムへ!
行く道中でももう既に大勢の人がスタジアムやファンゾーンに向かって歩いてる。
まだKOまで5時間もあるのに!
ワールドカップって凄いって思った!
スタジアムが近づくにつれて警備も厳戒態勢になって行く、GATEで通行証と身分証のチェックを行いトヨタスタジアムの地下へ。
因みにアドバンスチームの入場時間も厳格に決められていて早く着いても入る事ば出来ない徹底ぶり。
着くと同時に入口で荷下ろし。
ジョージアチームが入ってくるまで15分しか無い。
凄い量の荷物に係員の人もビックリ(笑)
廣瀬さんがおられて荷物を見るなりダッシュで台車を取りに行ってくれた!
さすが元代表!勝手がわかってたのかもしれない。
それからも荷下ろしを手伝ってくれて、頑張って!と握手して貰った。本当に光栄過ぎる。
チームルームに着くと早速荷解き開始!

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大量の衣装ケースからどんどん中身を出していく。
JRの指示に従い、ジャージや短パン、練習用のTシャツやウィンドブレーカー、タオルを出していく。
どのチームもそうだと思うけど士気を高める為にチームルームをデコレーションしていく。
各席に選手のネームプレートを付け、一つ一つ全てが同じ様になる様にセットアップしていく。
これも大切な儀式。僕は試合には何の役にも立たないけど、やれる事は全部やってチームの一員になりたい、一緒に戦いたいとの願いを込め、タオルの折り方や物の置き方まで全てに全身全霊を込めてセットアップした。
Tシャツやウィンドブレーカーにはスチームアイロンをかけて、シワひとつない状態にしていく。
このプロセスを体験してナショナルチームの凄さを目の当たりにした。
驚くほどの徹底ぶり。
ルームデコレーションが終わったら、試合中に使うトランシーバーのセットアップと通信確認の為、このあと激戦が繰り広げられるピッチに出た。
周りで慌しく準備するメディアや警備の人々。
その中でチームの為に仕事をしてる…何回もサブイボがでた。

あっと言う間に時間が過ぎ、一般客入場時間に。
続々と入ってくるお客さん。
ラッパ水仙を被った欧米人に日本人まで!
あれは僕がプレゼントしたやつかな?とか思いながら見てると、ウェールズウェアの人が多い感じ。中にはジャパンのジャージを着てる人も。
あぁワールドカップなんや…って実感(笑)

そうこうしてるとチーム到着の時間が迫って来た。
やるべき事は全てやった。
後は選手達の仕事。
選手バス到着5分前にロッカールームを出る。
試合前の選手達に干渉したく無かった。
僕は居なくていい存在。
それが僕の仕事。

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チームが到着してアレックとシューちゃんも到着。
シューちゃんは本業は警備担当なのでスタジアム警備担当さんと打ち合わせへ。
ピッチサイドでアレックやスタジアム関係者さんと話してたら僕に着信が…

ここで後々まで響く大問題が発生する。

リエゾンはスタジアムや行く先々でリエゾンとわかるようにユニフォームが決められている。
ボランティアさんが着てる服の水色バージョンである。
しかしウェールズのアランは我々をチームとして迎え入れるべく、我々にウェールズウェアを用意してくれていた。
信頼に応えるべく、いや自分達がウェールズウェアの方が良かったと言うのもあるが、とにかく真っ赤なウェールズカラーだった。

携帯の画面を見ると組織委員会のチームリーダーだった。
ラ「もしもし…」
組「コウジュ君、今スタジアムよね?」
ラ「はい、今ピッチです」
組「赤い服着てるよね?」
ラ「…はい」
組「ユニフォームは?今すぐ着替えて!」
ラ「えーと、あるにはあります」
組「いい?今すぐよ」
プープープー

チームに合流してきて今日で9日目。
アランからようやく信頼されつつあった僕達。
服を貰った時もアランは「そのユニフォームはもう着るな」と言っていた…
どうしよう…アレックと相談する。
アレックは着替えないの一点張り、このKIWIは頑固なのだ(笑)
とグダグタしてたらまた着信が!
今度は組織委員会の部長から(笑)

ラ「…もしもし」
部「コウジュ、さっきリーダーからも電話あったと思うけど、着替えた?」
ラ「いや、チームの対応をしててまだ…です」
部「気持ちは充分に理解してるけど、リエゾンがユニフォーム着てないってクレームが来てるから」
ラ「え?どう言う事ですか?」
部「とにかく頼むわ」
プープープー

誰かはわからないがとりあえず僕らがリエゾンユニフォームでない事をよく思ってないらしく、しかも通報したらしい(笑)
そこで我々は苦渋の判断を…
リエゾンユニフォームを着て、その上からウェールズの冬用上着を着る(笑)
まだまだ暑い9月末。クッソ暑かったけどそれからホテル帰るまでずっと着てました(笑)
チームやアランからも「お前ら風邪引いたんか?それとも頭はおかしくなったのか?この気温でその恰好はお前らだけだぞ?」とのツッコミが(笑)
そらそう思われます。夏でしたから。
アランに事情を話すと大笑いしながら「良くやった、お前らを悪くはしない」と言ってくれて一先ず信頼は守れたと安心した。

そんなピンチもなんとか凌ぎ、いよいよ始まり!

ロッカールームから出てくる両チームの選手達を背後から見守る。

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拍子木が鳴り和太鼓の入場テーマが流れる。

試合に出るわけでもないのに手から滝のように汗が出る。

今まで味わった事のない緊張感。
高校の花園決勝戦での感じとも似てるけど違う。

選手達がエリスカップの横を駆け抜けてピッチへなだれ込んでいく。
そして整列し初めての国歌斉唱。
頑張って覚えたつもりのランドオブザファーザーを一緒に唄う。
これも何とも言えない感情。
日本人がウェールズチームとワールドカップで、
あのランドオブザファーザーを唄う。
下手なりに大声で一緒に唄うと選手達と一つになれた気がした。

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キックオフのカウントダウンをピッチ横で聞き、いよいよキックオフ!

始まってもリエゾンの仕事は終わらない。
ノンメンバーも体調を維持する為にウォーミングアップ中に別メニューをこなしているので、彼らが着替え終わるのをピッチで待ってスタンドへ連れて上がる。

*試合の内容は皆さんご存知なので省略

試合中は他のチームメイトと同じ席で大声で応援した。
ラグビーでこんなに一つのチームを応援したのは、高校2年生の時先輩が戦ってた花園以来!こんなに特定のチームを応援する日が来るなんて(笑)

ハーフタイムも僕達の出番は無し。
なので少しだけスタンドでフラフラとワールドカップの雰囲気を味わいに(笑)
この時だけが僕が唯一味わえる普通のワールドカップ。
これはこれで見たかった風景、でもほんの少しだけ。
満喫するのはフランス大会までお預けかな。

試合は見事、ウェールズの勝利!
試合終了3分前にピッチへ降りて皆んなの迎え入れと、ピッチの片付けへ。
ピッチから帰ってくる選手達と喜びを分かち合いながら後片付けし、ロッカールームへ。

ここでも大仕事!
チームはスタジアムから出る時間も厳格に決められている。
選手達がシャワーして着替えてる間に、デコレーションを全て剥がして衣装ケースにしまい、練習道具などをトラックにガンガン積み込んでいく。その間にもロッカールームのゴミ拾いや掃除をしていく。
選手達は用意されたアフターマッチミールをつまみながらワイワイと談笑し着替えてる。
なかなかカオス(笑)
本当ごちゃごちゃしながらドーピングチェックに行ったフラニーことトーマス・フランシスを待つ。
けどなかなか出てこないので、誰も居なくなったピッチを見にいくと、グランドキーパーが早くも修繕作業に取り掛かってた。
結局時間になってもフラニーは帰ってこなかったので、バスと共にホテルへ帰る事に。
*選手によっては尿が出ずに時間が掛かるらしい、因みにアレックがスタジアムに残りフラニーを連れて帰ってきました。

帰っても大忙し(笑)
選手達がディナーを食べてる間にさっき使用してたマッチウェアのランドリーを業者に引き渡し。
そして息つく間もなくチーム荷物の積み込みが待っている…
このままでは流石に死んでしまうので5分でディナーを終わらせて、トラックの迎え入れへ下に降りる。
ホテル前ではまだまだファン達が大騒ぎ。
駅前の公園でラグビーしてる奴らもいる、しかもスクラム組んでラインアウトやってタックルしてる(笑) どうにかしてるぜ、RWC最高や!!

そしていよいよトラックのお出まし。
そらそうなんやけど改めて見てみると凄い荷物量。
これをDHLとホテルのスタッフ、バスの運転手さんまで手伝ってもらい積込み開始!
お友達の元トヨタの平野君も来てくれました(笑)

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汗だくで30分掛けて終了。
普段の筋トレ以上にしんどい(笑)
日が変わる直前でようやく本日のタスク全て終了。
シャワーでも浴びて明日の準備して寝るか!
と思ってたら、アレックが「アラン達がそこのワインバーで祝勝会してるから来いって言ってるから行こか?」

試合の日でも関係ないみたい(笑)
*写真の時間を見てたら夜中2時半にまだ外に居ました(笑)

続く

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