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10/1 DAY#17 リフレッシュ

今日のスケジュール
08:00 朝食
09:00 ポストマッチリカバリーマッサージ
10:00 メディアインタビュー
12:30 ランチ
16:00 スナック
17:40 大津市船上ウェルカムパーティー
21:00 スナック

今日は練習はオフ。各自リフレッシュ。

いつも通りの朝のルーティン。
昨日と同じくアレックはここぞとばかりに連続で大学へ授業をしに行く。
練習オフでもリエゾンの仕事はある、どちらかと言うとオフの方が忙しい。
朝から明日以降のレストランの予約や、大分でのバス手配などをこなしていく。
マネージメント5人がゴルフに行きたいとの事で、昨日手配した段取り通りタクシーに乗せてお見送り。

そうこうしてると兄貴から着信。
どうやらホテルに着いたみたい。
ロビーに行くと兄貴と伏見工の先輩2人。
昨日選手達から釣りに行きたい、とのリクエストを受け兄貴に段取りを頼んだのだ。
知り合いのびわこマリーナ社長にお願いし貸切って貰った、費用も物々交換でOK。
釣竿や餌などは全て先輩が無償で段取ってくれてこれまた超ありがたい!

ドリンクやちょっとしたスナックをハイエースに積み込み、ハーフペニー、リーアム、ガレス、ハドリー、エリオット、キャリーを連れていざ出発!
エリオットは趣味が釣りというだけあって中々の腕前。釣竿のセットアップもお手のもの!

時期的にも余りブラックバスもいなかったけど、日焼けをしたり、音楽聴きながらテントで喋ったりして、ゆ〜っくり過ごしてました。
僕より歳上の伏見工ラグビー部の先輩という事で、英語を話せる人は少ないですが同じラガーマンという事もあり、ノリと勢いとボディランゲージを駆使して会話する所は流石です(笑)

やはり大津は少し都会から離れていて琵琶湖もあってウェールズの選手には相性が良いのか、東京とは違いプール戦のブレイクとしては最高だ。とみんな言ってました。
確かにウェールズ行ったけど、カーディフのど真ん中でも少し離れると自然がいっぱいあって納得しました。
特にハドリーは気に入ってたようで終始リラックスムードでした。(彼はKIWIやけど)

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3時間ほどチルしてホテルへ。
写真撮影や選手からグッズを貰い解散。
先輩や兄貴をはじめ、選手達も満足してもらえて良かった(笑)

帰ったらディナークルーズで出す料理をシェフのアンドレとチェック。
選手のコンディションを万全にすべく日本独特の料理や使用される食材について担当者さんと確認。
大津市はラガーマンという事でビールやアルコールの飲み放題をつけてくれましたが、選手は果汁100%のジュースや炭酸水しか飲まないのでそれらをリクエストすると驚かれてたのが印象的。
やっぱりラガーマンはビール!と言うのがNewsなどで扱われて印象付けられてたんでしょう。
でも選手はリカバリーの為に大会中殆ど酒を飲んでません。
オーストラリア戦直後は次のフィジー戦まで10日あいていたのと大一番に勝ったという事で飲んでました。

因みに本大会で母国からシェフを連れて来ていたのは、ウェールズとイングランドだけ。
RWC2015大会でもジャパンがイングランドでおにぎりを現地で準備してもらうのに苦労した事は有名で、口にする物が変わる事でコンディションが変わってしまうのは選手にとって不安でもあるし、試合以外の事でストレスが掛かる事は避けたいと言う理由でWRUは自費でシェフを帯同してました。
毎回ホテルが変わるたびに、到着してすぐにアンドレはホテルのシェフやスタッフとミーティングを行い、事前に送付していたメニューの確認や味付けについて意見交換し、毎食時に出される料理をチェックしてフィードバックを繰り返してました。
スクラブルエッグの半熟度や、ベイクドビーンズの味、料理の温かさについてまでリクエストを出します。
これらを見てウェールズチームは本当にプロ集団だと実感しました。
今後は栄養士さんや調理師さんもツアー同行者に選ばれるのが普通になるかも!

さてディナークルーズの時間が近づいてきましたが、何と天気予報は大雨…
昼間は凄くいい天気だったのに、どんどん曇り空に…
そしてここでもアランの注文が!
バスでホテルを出て港のロータリーに停めて、そこから地元の子供達やファンが作る花道を通りビアンカに乗る予定だったのに、
歩いて行く!この距離でバスは乗らない!どんだけバス嫌いやねん(笑)
北九州でもリーガロイヤルホテルからミクスタまでバス使ったのは公開練習の日一回だけやし。
組織委員会からもセキュリティーの観点から、移動には必ずバスを使う様に言われてたけどことごとく無視(笑)

でも実はこれが結果的にはウェールズチームの好感度に繋がった。
北九州でもここ大津でも移動の道中でファンが選手を見つけサインや写真を求め、選手達も毎回快諾してファンを喜ばせてきた。
*マジで断ったところを見た事がない!

早速大津のTCCさんと相談。
急遽パイロンと虎ロープで通路を作り、チームをファンが待つ花道へ誘導する事に。
ドタバタのまま出発時間になり、ロビーでみんなを待ってるが何だか様子がおかしい…
全然人数が少ない!
あれ?さっきまで居た選手が居ない!

まさかのバラバラで出発(笑)
乗船口で待機してたシューちゃんから着信。

シ「もう出た?」
ラ「いや、出ようとしてるねんけど集まってないねん!」
シ「遅れてるって事?」
ラ「いや、何かバラバラみたい(笑)」
シ「え?あ!今何人か歩いて来たで!」
ラ「もう着いてるやん(笑)」

という事で僕は最終組を待って最後に出発。

このクルーズディナー開催自体もドタバタ劇がありまして…
大津市は公認キャンプ地であり、北九州市の事前キャンプ地とは扱いが異なります。
簡単に言うと下記差があります。

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またチームにはワールドラグビーから大会期間中に1度は地域交流を目的としたプログラムを行う事を義務化されていました。
つまりどこかでやれば良いだけで、毎キャンプ地でやる必要は無かったのです。
また事前キャンプ地とは違い、公式キャンプ地はキャンプ期間前後に試合があり、その結果次第でチームがどの様な状態でキャンプインするかわからないのです。
今回ウェールズは大一番のワラビーズ戦に勝利し最高の状態で入りましたが、もし負けていて主力選手に怪我人が出たりでもしていたら、最悪の雰囲気で大津にやって来てた可能性もあります。
ここはTCCさんが一番心配されていた点で、大会前の顔合わせ時に聞かされてたので、期間中もずっと連絡を取り合うようにしてました。

上記の様にウェールズチームと密に連絡が取れないがために、この船上ウェルカムパーティーが告知されたのも9/11の事。たった3週間前です!


そんな背景もあり、大津市民の皆様をはじめ近府県のファンも期待されていたこのイベント。
乗船口に着くと多くのファンが既に選手達と写真を撮ったりしてる!
平日でしかも少し雨が降って来ているのに凄い人!
ここでもRWCの関心度が開催前より高まってる事を感じれました!
乗船前にみんなで記念写真を撮っていよいよビアンカへ乗船。
抽選で招待された一般客の方々が先に乗船されており、チームが乗り込むと大きな拍手で迎え入れてくれました。

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全員が乗り込んだ所で出航。

先ずは飯(笑)
選手達は規則正しい生活をしてるので、先ずはいつも通りの時間にご飯を頂きます。
ビュッフェスタイルでどんどん食べ物が無くなっていきます(笑)
そして招待客の皆様も少し気を使って頂き、選手達が食べ終わる頃に交流スタート。
皆さんサインを貰ったり、写真を撮ったりと楽しんでおられました。
実はこの方達が1番お得だったのかも…
船内と言う限られたスペースで特定の人数でチームを一人占め…
出航すれば帰港するまでは選手達は逃れません(笑)

僕達も皆さんに挨拶しながらご飯を頂だいてると、何だか見た事ある人が…
一回見たら見間違えようが無い!

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何と!大八木先輩(笑)

大津にある会社の顧問をされてると行く事で乗船されてた様です…
目が合った瞬間、
大「おうっ!お前が後輩のリエゾンやな!」
ラ「はい!そうです。お疲れ様です!」
ラグビー界の大物にして大先輩、頭があげれません…
大「聞いてたよ、お前いつの歳?しかしよくリエゾンなれたな?頑張ってる?」
ラ「私今村弟や重光と同い歳で花園準優勝した年で、その決勝は大八木さんに解説して貰ってました!色々ご縁がありまして努めさせてもらってます!」
大「おお!あの年か!試合終わってへんのにトライして泣いとったアレやなれ大変な事多いと思うけど、名誉な事やし頑張りや!」
ラ「…それ僕ですわ(笑)はい、母校の名にかけて全うします!」
大「あ、そうそう、彼女俺の秘書やねんけど、ウェールズチーム皆んなカッコええ言うてんねんけど恥ずかしがって話しかけられへんとか言うとんねん。お前ちょっと間入って話したって!」
ラ「はい!」

古株の伏見工では先生と先輩には基本的に「はい」と「いいえ」しか言えない文化があります…(今はそんなことないと思います)

大「あ、そや、それとこれに選手全員にサイン貰って来てや」
ラ「はい!」

と言う事で、秘書の女性を連れ、選手全員の所へ回って行く。
物凄く嬉しそうな表情で選手と話すおばちゃんの後ろに並びサインを貰って行く。
しかし関西のおばちゃんは流石やわ、全く英語できひんけどお構い無しで関西弁で喋り倒してサインを貰って思っ切りベタついて写真を撮って貰ってる…
選手達は笑ってるけど苦笑いやったかも知れんな…

そんな微笑ましい光景を見ながらミッションコンプリート。
大八木先輩に持っていくと、既にベロベロ。
隣を見るとフィジオセラピストのカークことマーク・デービスが笑いながら一緒に酒を飲んでいる。
聞くと大八木先輩は1983年に初ジャパンでウェールズに遠征に行った時、ウェールズと試合をした中にこのカークがメンバーで居たそう。
何て縁なんや!
それもあってカークも思い出話に花が咲き2人ともベロベロになった模様。
でもこういうのもラグビー文化って感じで良い!

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そうこうしてるとキャプテンアラウィンと大津市長さんからのご挨拶。
アラウィンが話してる所でアランから手招きで呼ばれる。

アラ「おい、お前ら!!」
 (あれ?ちょっと怒ってる?なんで?)
アラ「市長さんが女性って聞いてないぞ!?」
  (聞かれてないしやw)
ラ「どうかしたんですか?」
アラ「WRUからのプレゼントを持って来てるが男性と思ってたからネクタイや!」
ラ「…」
アラ「俺の部屋の角の袋から箱形のヤツ取ってこい」
全「船の上なんで無理ですね(笑)」
アラ「使えへん奴らや!」
 どう考えても無理やろ(笑)
アラ「何にせよ、このレセプションでウェールズチームからのプレゼンテーションを見せる必要がある…市長さんへのプレゼントはとりあえずの物で何とかする。次回からはちゃんとリサーチして報告せえ!」
ラ「…はい…」

そして地元有志による仰木太鼓のパフォーマンス。
終わったら今度はウェールズチームが仰木太鼓にチャレンジする事に!
突然の指名に戸惑う選手達、少し間をおいて挙手した選手達が前へ出てくる。
リーダーはボビー。お祭り男の登場。
先ずはお手本子供達、その後に見様見真似で選手達が太鼓を叩く。

なかなか楽しそうにやっていた。

そして宴も終わりに近づいた頃、いきなり前触れもなく船内にマイクを通した声が…
ベロベロ大八木先輩である。
見るとステージでマイクを握りしめ何か話し出している。
船内通訳さんが通訳を始めるが通訳に戸惑うほど突発な話(笑)
そしていきなりキャプテンのアラウィンをステージに上がる様にと指名!
突然の出来事でもアラウィンはちゃんとステージへと上がる。

長くてよく覚えてないので簡単にまとめると
▪️今日は素敵なパーティーに参加してくれてありがとう。
▪️日本で初めてのRWC、皆んな楽しみに待っていた。
▪️俺も昔はジャパンでウェールズに行ってカークスと試合した。
▪️思い入れのあるウェールズとジャパンが戦って欲しいけど勝つのはジャパン

と言いながらいきなり首元のネクタイを緩め始める…
ネクタイを外し手に取り説明し出したそれは何と'83年にウェールズ遠征した時のネクタイだった!
ハッとした時にアランを見ると同時にアランは持ってきたプレゼントを取りに席へ走り出していた。
さすが現役時代にHOで通算162トライ挙げているだけあって
チャンスへの嗅覚は素晴らしい!
大八木先輩はこのパーティーが催され参加すると決まり、このネクタイをプレゼントしようと探し出して持ってきたらしい。
アラウィンはマイクを手に取ると、感謝の言葉と大八木先輩がウェールズに来た時にカークスと対戦してるネタを話し、最後にアランからプレゼントを受取りその場で開けて大八木先輩とネクタイの交換!
何て事だろう、まるで台本があったかの様なやり取り!
多分参加してた一般客はこの経緯を知らないので本当に台本があったと思ってたと思う。
これは大八木先輩のファインプレー!さすがです!
アランも大満足な様子!
1番満足してたのは先輩ですが…(笑)

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大盛況で船上パーティーが締め括られ、遂に帰船。
乗船時と同様、拍手で送り出され外へ出てみると乗車口には先程よりも大勢のファン!
そして真ん中にはお神輿が。
選手達が降りてくるのを見計らい、わっしょいわっしょいとお神輿を担ぐ。
選手達も興味津々で写真やビデオを撮っている。
そしてファンとも交流。

帰りは雨がきつくなって来てたのでそのままバスに乗ってホテルへ帰ります。
ファンとの交流も終え皆んなバスに乗る中で
1人だけまだバスに乗っていない。
ビッグスことダン・ビガーだ。
アランはイライラMAXでバスから大声で呼びまくるがビッグスはお構い無し。
アランに言われ僕が呼びに行ってもなかなかバスに乗ろうとしない。
予定では下船後歩いてバスに乗る間に余裕があればファンとの交流だったが、15分くらいこうしてサインしている…
呼びに行った時も、まだサインしてない子が居る。と言って一向にやめない。
周りに居たファンが逆に気を使って子供達に、そろそろバスに乗る時間だから、と言いくるめてくれてたぐらい(笑)
それでもビッグスはバスに向かって歩きながらのサインをしてる。
挙げ句の果てに最後はみんなにサイン出来なくてごめんねって言ってる…
これを聞いて本当にビックリした。
ヨーロッパで、いや世界でも超有名な選手がアジアの子供達にサインしてあげられなくて謝ってた。
中には面倒くさくて断る選手も居るだろう。
でも彼は謝ってた。
彼は自分の行動でどれだけの子供達が夢見るのかを知っている。
彼が日本の子供達に残していった夢はいったい幾つあったんだろう…
僕は彼ほどプロだと思った選手は居ない。
今では1番好きな選手だと言える。
ウェールズの選手皆んなそうだったけど、彼はその中でも特別子供には優しかった。

バスはホテルに到着。
今日はこのままお開きかと思ってたら、またしてもホテルのバーにてアランに見つかり、サーバーから出る響のハイボールでヤラれてしまいました…

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おやすみなさい…

続く

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