にへらっこちゃんのこうぶつ。

小さな町の、小さなおうちに住む、いつもへらへら笑っている、彼女はみんなからこう呼ばれている。
「にへらっこちゃん」
にへらっこちゃんはいつもにこにこへらへらしている。
遠くの街へ行く時に、乗った電車で知らないおじさんに肩をぶつけられても、平坦な道でつまづいて転びそうになったときも、雨でずぶ濡れになったときも。
眉尻を下げて、困ったような笑い顔をする。
たいがいのことは笑って流してしまうから、みんなにへらっこちゃんが、なにをどう感じているのかわからない。
どんなにつまらないものをプレゼントしても、面白くない映画をみても、にへらっこちゃんの顔には、眉尻のさがったいつもの笑い顔。
あるとき、にへらっこちゃんに川で見つけた綺麗な石を見せてみた。
いつもの笑い顔と変わらないように見えたが、もっと目尻や口元がふにゃふにゃして、心なしか、細くて少ししか見えない目がキラキラしているように感じた。
「わあ、すごい!こんなのどこでみつけたの?」
あっちの岩穴に、もっとキラキラした石も落ちてたよ、と教えてあげると「今度連れてってよ!」とにへらっこちゃんが笑う。
まだ誰も見たことがないかもしれない、にへらっこちゃんの笑顔は、岩穴のどんな石よりもキラキラしていた。

まだまだ未熟でありますが、精一杯頑張ります