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第44回 アコーディオンを弾いてみよう

📚[📖楽典]五度圏
📚[🎻楽器法]アコーディオン、蛇腹楽器
📚[🎼和声法]長三和音、短三和音、属七の和音、減三和音
📚[🎶コード理論]メジャートライアドコード、マイナートライアドコード、ドミナントセブンスコード、ディミニッシュドコード

 和音の勉強をしているので、今回はそんな和音に特化した楽器のお話をしてみようかな。

 鍵盤楽器のひとつにアコーディオンというのがあるのは、みんなも知ってるよね。

アコーディオン

 アコーディオンにもいくつか種類があるんだけど、ここでは「アコーディオン」と言ったときにだいたいの人がィメージする「ピアノアコーディオン」と呼ばれるものを紹介するね。

 その名前の通り、ピアノの鍵盤とよく似たものが付いているアコーディオンで、楽器屋さんに行って「アコーディオンをください」と言えば、たいていはこういうものを紹介されると思う。
 楽器を構えたとき、右手側にピアノのような鍵盤が来る。もちろん鍵盤の弾き方はピアノと同じなので説明はいまさらだよね。もっとも、鍵盤の大きさはピアノに比べてちょっと小振りなことが多いかな。

 さて、今回の本題は左手側なんだけど、小学校用のものを別とすれば、アコーディオンと言ったときにはたいてい、「ボタン鍵盤(ボタンけんばん)」と呼ばれる、いくつものボタンの付いたものを指すんだ。

 ちなみにアコーディオンはもともと、このボタン鍵盤しか無かった楽器で、見た目はバンドネオンと呼ばれるものによく似ていた。
 ちょっと話が脱線するけど、バンドネオンはコンセルティーナと呼ばれる楽器の一種で、アコーディオンと比べて小さく、左右対称で、ひざに乗せて演奏したり、両手にベルトをはめて演奏することが多いね。

 アコーディオンはそれに比べて大型で、ベルトでおなかに抱えるようなかたちで構えるものがほとんど。見た目よりも結構重いから、はじめて弾いてみようという人は、ちょっとびっくりするかもしれない。
 中身の構造もコンセルティーナに比べて複雑なものが多くて、それが大型だったり重かったりする理由にもなってる。
 小学校用のものにボタン鍵盤がないのは、単にピアノ型の鍵盤だけで弾きやすいというのではなくて、ボタンが無いことで構造が単純化でき、全体的に小型化、軽量化できるというところにあるんだ。
 この、ボタン鍵盤のないアコーディオンは日本独自のものらしくって、外国ではあまり目にすることはないよ。

 アコーディオンやバンドネオン、コンセルティーナのように、蛇腹になっている楽器を「蛇腹楽器(じゃばらがっき)」と呼ぶんだ。構造的には、この蛇腹を伸び縮みさせることで空気の流れを作り、内部にある「リード」と呼ばれる機構を振動させることで音を作っている。
 大正から昭和の時代に学校に通っていた人は、足踏みオルガンと同じしくみと言えば、わかる人もいるんじゃないかな。
 もっとも、足踏みオルガンと違って、蛇腹を伸ばしても縮めても空気の流れが作れるので、構造的にはハーモニカに近いかもしれないね。

 コンセルティーナの仲間は、この、蛇腹を伸ばすときと縮めるときとではハーモニカのように音程が変わるのがふつうなんだけど、昔はともかく、今のアコーディオンは伸ばしても縮めても、音程は変わらないものがほとんど。だって、ピアノ式の鍵盤を弾いてて音程が違ったら困っちゃうものね。

 さて、話を本題に戻すけれども、左手側のボタン鍵盤は、単音が鳴るボタンと、和音が鳴るボタンからできている。単音というのは、つまり右手と同じようにC音とかD音だけが鳴るということなんだけど、基本的には和音の鳴るボタンを使うのがアコーディオンなんだ。

 ボタンの並び方はちょっと特殊で、ドレミ…といった音階の順には並んでいないんだけど、こんな感じだよ。

図表_44_03

 アコーディオンの大きさによってもボタンの数は違うんだけど、赤い色で示した「C音」、いわゆる「まんなかのド」を中心として、どれだけのボタンがあるのかってことなんだ。
 それぞれの用語は、アコーディオンではコード理論を前提としているんだけど、「メジャーコード」は「長三和音」、「マイナーコード」は「短三和音」、「ドミナントセブンスコード」は「属七の和音」のこと。つまり「C」と書かれたメジャーコードのボタンを押せば「C音」「E音」「G音」の和音が鳴り、「G」と書かれたドミナントセブンスコードのボタンを押せば「G音」「B音」「D音」「F音」の和音が鳴るんだ。
 上の表にはないけど、「ドミナントセブンスコード」のさらに下に「ディミニッシュコード」と呼ばれるボタンのあるアコーディオンもあって、これはこの音楽教室ではまだやっていないけど「減三和音」が鳴るボタン。
 「基本ベース」と「対位ベース」は単音が鳴るボタンで、「対位ベース」は「基本ベース」の長3度上の音になっているよ。

 アコーディオンでは、このボタンの数を「ベース」という単位であらわす。ここで言う「ベース」は、低音などの意味で使う「ベース」とはちょっと意味が違って、あくまでもボタンの数のこと。例えばさっきの図表のアコーディオンならば60個のボタンがあるから「60ベース」。12個ずつの「対位ベース」「基本ベース」「メジャーコード」「マイナーコード」「ドミナントセブンスコード」5種類のボタンがあるということだね。12×5で60個のボタン。

 そして、勘のいい人は気が付いたかもしれないけど、じつは五度圏の並びになっているんだ。

 これは和音を弾くために特化した並び方で、例えばC-Dur:Ⅰ→Ⅱ→Ⅴ→Ⅰという進行ならば、こんな簡単な指使いで演奏できるんだよ。

譜例_44_04

 属七の和音やドッペルドミナントを使った進行だって、この通り。

譜例_44_05

 ボタン鍵盤は基本的な和音にしか対応していないから、ちょっと複雑な和音になるとピアノ式の鍵盤や単音のボタンも使ったりしてむずかしくなるんだけど、そういう曲でもなければ誰にでもすぐに弾ける、覚えやすい楽器のひとつだったりするんだよ。
 重たいのがちょっと難点なのだけどね、あはは…。

質問_2020051010580000

 第36回や第37回でもちょっとだけ出てきたけれども、まだちゃんとやっていなかったよね。
 というわけで、次回はその減三和音について、勉強してみることにしよう。

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