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第47回 四和音のセブンスコード

📚[🎶コード理論]ドミナントセブンスコード、メジャーセブンスコード、マイナーセブンスコード、マイナーメジャーセブンスコード、ディミニッシュドセブンスコード、ドミナントセブンスオーグメンテッドフィフスコード、マイナーセブンスフラッテッドフィフスコード

 前回はコードネームの基本、トライアドコードについて勉強したね。
 今回は四和音、「セブンスコード」を紹介していくよ。

 「セブンス」とは「7つめの」という意味で、コードネームでは「第7音」のこと。第7音のある和音、つまり「四和音」だね。

 まずは、和声法でも出てきた「属七の和音」こと、「ドミナントセブンスコード」。

譜例_47_01

 構成音の紹介は、もういまさらだよね。
 コードネームでは根音に続けて「7」と書くだけで属七の和音をあらわすんだ。このため、「セブンスコード」とか「セブンス」と言ったら、コードネームの世界ではドミナントセブンスコードを指すことがある。
 もちろん広い意味での四和音のこともあるから、それは文脈で考えなけばいけないんだけど、誤解が生まれやすい言葉だから、よく注意しないといけないね。

 一方で、メジャーコードに長7度が付くときは「メジャーセブンスコード」と言うよ。

譜例_47_02

 メジャーセブンスコードは「M7」と書くんだ。だから、このコードを略して呼ぶときも「メジャーセブンス」と言う。

 マイナーコードに短7度の第7音が付くときは根音に続けて「m7」と書く。

譜例_47_03

 さて、ここでちょっと混乱しそうなことを言うけれども、「ドミナントセブンスコード」は「メジャーコード」に短7度が乗ったものだと言えるよね。そして、「メジャーセブンスコード」は「メジャーコード」に長7度が乗ったものだ。
 「マイナーセブンスコード」は「マイナーコード」に短7度が乗ったもの。説明だけを聞くと、ああそうかって思っちゃうけれども、わざわざ「マイナーコードに短7度の第7音が付くときは」と書いたのには意味があるんだ。
 だって、マイナーコードに長7度の第7音が乗ったって、かまわないとは思わないかな…?

譜例_47_04

 これをコードネームでは「マイナーメジャーセブンスコード」と呼び、根音に続けて「mM7」と書く。
 音を聴くとわかるけど、結構悲痛な叫びのような響きがするんだ。音階の機能で見ていくと、短調のⅠにⅤが乗っているかたちとも言える。第7音は導音で、ただでさえ暗い響きのある短三和音に不安定な属音と導音が含まれることで、こうした印象の音になると言われているよ。

 ところで不安定な四和音と言えば、減七の和音というものもあったよね。

譜例_47_05

 コードネームでは「ディミニッシュドセブンスコード」と呼び、根音に続けて「dim7」と書くよ。
 当たり前だけど、この和音の特徴は第45回で紹介した通り、転回形にしても根音が違うだけのディミニッシュドセブンスコードだし、構成音的にはCdim7、C♯dim7、Ddim7の3種類しかないというのも変わらない。
 そして、使い方によっては万能とも思えるくらい、いろんな使い方のできる、おもしろいコードでもあるんだ。

 ちなみに第44回でアコーディオンのボタン鍵盤についてお話したけれども、このボタン鍵盤の一番下の並びに「ディミニッシュコード」があるアコーディオンのそれは減三和音、「ディミニッシュドトライアドコード」のほう。
 もちろん基本ベースや対位ベースと合わせることで減七の和音にすることはできるんだけど、それはともかく、この減和音のボタンがあるのには、この和音が本当にいろんな場面で使える、使いこなせるようになると万能な和音だからなんだ。

 そして、和声法では基本的に禁じられているので上方変位や偶成和音を除けば出てくることのなかった、オーグメンテッドコードの四和音。

譜例_47_06

 「オーグメンテッドセブンスコード」と呼びたくなるところだけど、「ドミナントセブンスオーグメンテッドフィフスコード」と呼ぶほうがいいかな。略して「ドミナントセブンスオーグメント」。根音に続けて「7(+5)」と書くんだ。
 「ドミナントセブンス」と言うように、強いドミナント性を持った響きを持っているよ。

 「オーグメンテッドセブンスコード」と呼ぶ人もいるんだけど、そう呼ばないほうが望ましいのは、「オーグメンテッドセブンス」と言うと増7度という意味になってしまうからなんだ。でも、増7度って、つまり完全8度の異名同音で、根音とオクターブ関係の同じ音。これはコードネームとしては意味を持たない。
 コードネームで「オーグメント」と言えば第5音に対するもののことだという「おやくそく」があるんだ。つまり、オーグメントと言ったら「オーグメンテッドフィフス」、第5音の上方変位以外の意味は原則としてありえないってこと。

 コードネームには、この手の「やくそくごと」がいくつかあって、この「やくそくごと」を覚えてしまいさえすれば、じつはものすごく簡単に読むことができるようになるんだ。

 今回の一番最初に紹介したドミナントセブンスコードを思い出してほしいんだけど、例えばC音が根音のとき、「C7」と書いたよね。メジャーコードがただの「C」なのに、メジャーセブンスではなく、ドミナントセブンスが「C7」。
 じつはコードネームの表記にある「M」と「m」は、確かに「メジャー」と「マイナー」をあらわすけれども、それぞれ意味がまったく違うものなんだ。
 コードネームで「m」と書いたとき、これは第3音が短音程であることをあらわしている。つまり短3度ということ。
 でも、「M」と書いたとき、これは第7音が長音程であることをあらわしているんだ。つまり、長7度ということだね。
 これは言い換えると、コードネームでは、特に何もことわりが無ければ、「7」と書かれていたら短7度のことを意味としているということ。これはとっても大事だから、しっかり覚えよう。

 最後に「マイナーセブンスフラッテッドフィフスコード」。

譜例_47_07

 構成音としてはディミニッシュドコードに短7度が乗ったかたちで、「ディミニッシュド」と呼びたくなるところだけど、これは「マイナーセブンスフラッテッドフィフスコード」。日本では「マイナーセブンスフラットファイブ」という言い方のほうが多いかもしれないね。
 「ハーフディミニッシュドコード」とも呼ばれるよ。日本では過去分詞語尾活用の「…ド」を略して「ハーフディミニッシュ」と呼ぶことのほうが一般的。この「ハーフ…」という呼び方の場合は「セブンス」は付けずに呼ぶ。もともとdim7との区別をするための呼び名でもあるんだ。

 前回、ディミニッシュドトライアドコードは「dim」と書くよりも「m-5」と書いたほうがいいって言ったけれども、その理由のひとつがこれなんだ。
 さっきの「やくそくごと」を思い出してみるとわかりやすいと思うけど、根音に続けて「7」と書いてあったら、それは短7度をあらわす。つまり「dim7」というのは「dimに7が乗っている」ではなく「dim7」、減7度が乗っているという意味としても読んだほうが正しいんだ。

 そう考えると、マイナーセブンスフラットファイブコードは「m7(-5)」と書いてある。「m」は短3度、「7」は短3度、「5」にマイナス記号が付いているから減5度。わぁ、今回の復習にもなる和音だね!

 というわけで今回はここまで。
 じつはトライアドコードやセブンスコードは、このほかにもあるんだけど、それは次回で紹介していきたいな。


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