第8回 音が休みもあってリズムが生まれる
📚[📖楽典]五線譜(休符)
📚[🖋記譜法]五線譜(休符)
📚[🛡音楽史]記譜法(ブレーベ、ロンガ、マキシマ)
前々回と前回で五線譜に書く音符とタイ、スラーについて勉強したね。
ところで、パソコンやスマホで文字を打ち込むとき、ひらがなや漢字などの文字をただ打つだけじゃなくて、ときには文字と文字の間に空白を入れたりもするよね。つまりパソコンやスマホでは、空白も文字の一種という考え方だっていうことなんだけど、これは音楽にも言えることで、ドレミの音をただ鳴らすだけじゃなくって、音が鳴らないタイミングというのもある。その、音の鳴らないときも含めて、音楽のリズム感が生まれていく。
前振りが長くなっちゃったけど、今回はこの「音の鳴らない時間」をあらわす「休符(きゅうふ)」という記号について紹介していくね。
その前に、音符について簡単におさらいしてみようかな。
全音符というものがあって、その長さを基準に、何分の一の長さなのか。それが音符の名前になっていたよね。たとえば四分音符は全音符の四分の一、1/4の長さだ。
そして附点というものも勉強したね。附点は音符本体の半分の長さを追加するもので、つまり附点四分音符は四分音符の1.5倍、全音符の1/4+1/8の長さ。
休符も基本は音符と同じで、「全休符(ぜんきゅうふ)」というものがあって、これの何分の一の長さを休むのかをあらわすんだ。
そこでまず、全休符から見てみよう。
わかりにくいかもしれないけど、全休符は五線譜の線の下側に半分ほど引っ張り出した感じの記号で書くんだ。この「線の下側に」というところによく注意してね。
全休符を基準として、この二分の一、1/2の長さのものを「二分休符(にぶきゅうふ)」と言うよ。こんな感じの記号なんだ。
全休符によく似ているんだけど、二分休符は線の上側に書くよ。注意してね。
次は「四分休符(しぶきゅうふ)」。全休符の四分の一、1/4の長さだよ。
休符の中で一番、楽譜の記号らしく見えるっていう人もいるかもしれないけれど、じつはいろんな休符の中では特殊なかたちをしているのが四分休符。これよりも短い休符は、音符と同じように「はた」が増えていくだけになっちゃう。
そんな「八分休符(はちぶきゅうふ)」から先は、こんなかたちをしているんだ。
ちなみに音符と同じように休符にも「倍全休符(ばいぜんきゅうふ)」、「四倍全休符(よんばいぜんきゅうふ)」、「八倍全休符(はちばいぜんきゅうふ)」があるけれど、やっぱり音符と同じで、今では使われていないよ。
でも、もととは少し違う意味で使われる場面もあるんだ。それは、ひじょうに長い休みをあらわす省略記号としてなんだけど、これはちょっと特殊な記号になるから、また別の機会に説明するね。四倍全休符や八倍全休符といった呼び方では誤解をまねくこともあるから、「ロンガ休符」とか「マキシマ休符」と呼ぶことのほうが一般的かもしれない。「ロンガ」というのは「長い」、「マキシマ」は「最大限に」といった意味だよ。
休符も音符と同じように附点を付けて、音価を1.5倍にすることができるよ。つまり附点四分休符は四分休符の1.5倍、附点四分音符と同じ長さだ。
それから、当たり前だけど休符には音が無い。だから五線譜のどの高さに書いてもかまわないんだけど、ふつうはこの高さに書く、という約束があって、それぞれ、五線譜のこの位置に書くことになっているよ。
ないよ。
でもたまに、そういう疑問を持つ人がいるみたいだね。
たとえば二分休符と八分休符をあわせた時間だけ休むようなことを考えてみよう。それってつまり、こんなふうに書くわけだけど…、
もうこれで二分休符と八分休符の時間だけ休む意味になるよね。休符には音がないんだから、そこにはアタックもリリースも無い。だから、わざわざタイやスラーで結ぶ必要もない。
何だか禅問答みたいにも聞こえるかもしれないけど、わかるかな。
それと、前回では説明しなかったんだけど、タイは2つの音を結ぶんだ。つまり、3つ以上の音を結ぶときは隣り合った2つの音符同士を、それぞれ列車みたいにつないでいく。
一方、スラーは複数の音符をつなぐことができる。スラーでくくられた音符はすべて、スラーとして演奏することになるんだ。スラーでくくられた中にタイを書くこともできる。こんな感じにね。
でも、休符が入ったらだめ。なぜって、休符をはさんじゃったら音は途切れてしまうから、なめらかにはできなくなるからなんだ。
というわけで、今回はここまで。休符について勉強したよ。
楽譜に書く記号はほかにもいろいろあるんだけれど、まずは基本的なもの、音符と休符、タイにスラーといったものを取り上げて、楽譜を読むことだけはできるようにしたつもりだよ。ほかの記号や記譜法については、これからも少しずつ紹介していくから、ついてきてね。
次回は、これまで覚えた五線譜の記号を、もっと読みやすくしていくお話をするね。
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