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第48回 コードネームの第6音と第4音

📚[🎶コード理論]メジャーシックススコード、マイナーシックススコード、サスペンデッドフォースコード、ドミナントセブンスサスペンデッドフォースコード

 一般に和声法では三和音と言えば長三和音、短三和音、減三和音、増三和音の4種類しかないし、四和音も長三和音や短三和音に第7音の乗ったものと属七や減七の和音くらいしかなくて、そういった和音のコードネームでの呼び方や書き方は前回までに紹介したんだけど、でもコードネームは和声法とは違って、機能ではなく構成音をあらわすものなんだ。
 ということは、いろんな変位音などにも対応しているってこと。
 今回はそういった種類のコードネームを紹介していくよ。

 まず最初は「メジャーシックススコード」。
 メジャーコードに第6音が付いたかたちだよ。

譜例_48_01

 「シックスス」は日本では「シックス」と略して呼ぶことのほうが多いかもしれないね。
 コードネームの「やくそくごと」で、「6」と書いてあれば長6度を意味するんだ。だからこの場合はメジャーコードに長6度が乗っているということだよ。

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 構成音的にはそうだね。

 でも、和声法的な機能で言うときの長調のトニックとして使う場合に、コードネームではメジャーシックススコードとして扱うのがふつうになっているんだ。

 もちろんイ短調の曲でC6を使っても全然かまわないんだけど、コード理論の側からの見方をすると、メジャーシックススコードはメジャーコードに飾りを付けておしゃれな響きにしたという感じになるんだよ。

 コードネームの「6」が長6度をあらわすならば、「m6」と書いてあっても長6度、ということで…、

譜例_48_03

 これは「マイナーシックススコード」。マイナーコードの上に長6度が乗っているかたち。
 暗い響きのマイナーコードが、決して明るくなったわけではないんだけど、ちょっとおしゃれっぽくなった感じに聴こえないかな。
 これはやっぱり、第6音が短6度ではなく長6度だからと言えるよね。

 ちなみに短6度の乗った和音をコードネームとして書きあらわすこともできるんだけど、それは次回に紹介することにするね。
 コード理論の側から見ると、それは四和音とはまた違ったものになってくるんだ。

 続いて、「サスペンデッドフォースコード」。

譜例_48_04

 根音に続けて「sus4」と書くよ。「サスフォー」と読めるので、そう呼ぶ人のほうが多いね。
 「4」と書いてあったら第3音をはぶいて完全4度と入れ替える、という「おやくそく」。
 和声法的に言えば、第3音の上方変位ということになるのかな。実際、「サスペンデッドフォース」というのは第3音を4度に引っ張り上げたという意味になるよ。

 サスフォーコードは特殊なドミナント性を持っていて、例えばCsus4ならばCメジャーに解決しようとする強いちからがあるんだ。
 和声法ではⅣ→Ⅰのカデンツを「アーメン終止」と呼んだりする。これはⅳ度からⅲ度への進行で解決する旋律に、讃美歌のおわりに付けられるお祈りの言葉「アーメン」をそえることが多かったことにちなんだものなんだけど、コード理論では特にsus4から解決する進行を「アーメン終止」と呼ぶことがあるよ。

 サスフォーコードは第3音が消えて第4音になっていることから、メジャーコードとかマイナーコードといった区別のない和音でもあるんだ。つまり「msus4」というコードは無い、ということだね。
 その代わりと言ってはなんだけど、ドミナントセブンスコードがsus4になることはあるよ。

譜例_48_05

 これは「ドミナントセブンスサスペンデッドフォースコード」、略して「ドミナントセブンスサスフォー」。もっと略して「ドミナントサスフォー」とか「セブンスサスフォー」と言う人のほうが多いかもしれない。

 この和音はドミナントセブンスに解決しようとするドミナント性を持っている特徴を持っているんだ。それって第37回で出てきたドッペルドミナントじゃないの?って思うかもしれないけど、ちょっと違う。
 例えばハ長調の曲の場合、G7sus4→G7→Cというドミナントセブンスサスフォーを使った進行と、D7→G7→Cというドッペルドミナントを使った進行が考えられるけど…、

譜例_48_06

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 ドッペルドミナントはあくまでも「ドミナント」に解決するもので、この場合はG音に解決しているだけなんだ。
 これに対して、サスフォーは第4音が第3音に解決するもので、この場合はたまたま結果として同じになったというだけになる。
 ということは、2つを組み合わせて、こういう進行もできるってことだよね。

譜例_48_08

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 ドミナントセブンスコードもマイナーセブンスコードも、第7音が短7度で、sus4になると第3音が消えて完全4度が付くのだから構成音は同じ。その通りだね。

譜例_48_10

 つまりドミナントセブンスサスフォーコードは、名前に「ドミナント」とは付いているけれども、マイナーセブンスの第3音上方変位として使われることもあるということだね。

 というわけで今回はここまで。コードネームでの第4音と第6音について勉強したよ。
 次回はこれ以外の構成音を見ていこう。それって不協和音じゃないの、だって?

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