第16回 長い音程と短い音程
📚[📖楽典]音程(長音程、短音程、増音程、減音程)
前回は完全音程というものを勉強したよね。そして、それは特別な音程で、オクターブを含めたユニゾンと、4度と5度にしかないもの。
じゃあ、それ以外の音程は何なのかっていうのが今回のお話だよ。
またまたおなじみの長調(イオニアン旋法)の音階。「ド」の音から数え始めるとして、前回でわかったのはこの音だね。
いきなり、それ以外の音程も書いちゃうけど、こんな感じになっているんだ。
全部、「長」という文字が付いているね。これは「長音程(ちょうおんてい)」と呼ばれる音程なんだ。
それにしても、何が「長い」んだろうね?
それはちょっと置いといて…、完全音程以外の音程、つまりここでは長音程の音だけど、これをすべて半音下げてみると、こんな音階ができあがる。
このときの、「ド」の音から数え始めたそれぞれの音程は、こんなふうになっているんだ。
今度は「短」という文字が付いたね。これが「短音程(たんおんてい)」。
半音低くなった、ということは音と音の距離がそれだけ「短く」なったんだ。だから「短音程」。
ところでこの短音程の音階の正体は何かというと…、例によって半音ずつ上げていきながら弾いていってみよう。
4回ほど上げると、こんな音階になったはずだよ。
さぁ、第1回目の授業を思い出してみよう。そう、これは「フリジアン旋法」の音階だ。
第1回で紹介した7つの教会旋法は大きく2種類に分けることができて、ひとつは「長調系旋法(ちょうちょうけいせんぽう)」、もうひとつは「短調系旋法(たんちょうけいせんぽう)」と呼ばれる。具体的には長調系旋法にはイオニアン、リディアン、ミクソリディアンが、短調系旋法にはドリアン、フリジアン、エオリアン、ロクリアンが含まれるよ。
これはどういう分け方をしているのかというと、主音から見て高いほうに3度の音が長音程のものを「長調系」、短音程のものを「短調系」としているんだ。逆に言うと、もともと長調とは主音から3度の音が長音程のものを、短調とは主音から3度の音が短音程のものを言っていた、ということ。「長調」、「短調」という言葉の由来がわかったね。
うんうん、いい質問だね。
「ド」から見たとき、「レ」の音は長2度、「レ♭」の音は短2度。「レ♯」ももちろん2度なんだけど、お待たせ、これが第14回で出てきた「増音程(ぞうおんてい)」というものなんだ。つまり答えは「増2度」だよ。
さて、ここで2つ問題を出そう。
まず第1問。「ラ」の音から見て「ド」の音は何度かな?
まず、3度だというのはわかるよね。でも、これは長音程かな、短音程かな。
ヒントは、「ラ」から始まる音階はエオリアン旋法で、エオリアン旋法は短調系だということ。さっき勉強したよね。
短調系とは主音から3度の音が短音程のこと。つまり…、答えは「短3度」。この、何が長音程で何が短音程なのか、というのは、また今度、詳しくお話することにして…。
第2問。では「ラ」の音から見て「ド♭」の音は何度かな?
「ラ」の音から見て「ド」は短3度だったよね。それよりもさらに音と音との距離が縮まったよ。
ヒントは、長音程がさらに広がると増音程になった、ということ。長音程よりも増えたら増音程…ならば、短音程よりも減った音程は…、そう、「減音程(げんおんてい)」。つまり「減3度」が答えになるんだ。
というわけで、今回はここまで。
次回はこの「増音程」「減音程」について勉強してみようね。
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