ピアノの鍵盤は見たことがある_2019123017320000

第17.5回 【補講】音程の早見表

📚[📖楽典]教会旋法、音程
📚[🎼和声法]悪魔の音程
📚[🛡音楽史]悪魔の音程

 第15回から第17回までで音程の数え方について勉強してきたけど、音程の数え方は慣れないとちょっと難しいものであるのは変わらないと思うんだよね。それは、やっぱり鍵盤の数を数えたりするのとは違うからなんだとも思うけれども…。
 でも音程がわからないと、和音について考えることも、旋律的なことを考えるのも、できなくなっちゃうんだ。それぐらい、音程は音楽を勉強する上では重要なんだ。

 小学校や中学校の音楽の授業では音程を勉強する機会は少ないけれど、それでもちゃんと音楽の授業はやっている。それはどうしてかと言ったら、楽譜や楽理の授業が少ないからなんだよね。もちろん音楽に興味があったり、専門的に勉強しようという人でもない限り、楽理なんてそんなに詳しくなくてもいいのかもしれないし、だから学校の授業ではやらないというのもあるんだけど、でもそれが結果として、楽譜を読むのも苦手っていう人を増やしているのかもしれないよね。

 もう少ししたら「調性(ちょうせい)」とか「調号(ちょうごう)」ということについて勉強しようと思っているんだけれど、これは第1回でも少しだけ出てきた「ハ長調(はちょうちょう)」とか、そういうものに関係することなんだ。そしてこれは音程がわからないと理解もしづらいと思う。でも、「調性」を理解しないと音程のことも納得しづらいのも事実なんだ。つまり、調性と音程は、本当ならば一緒に勉強したほうがいいとも言えることなんだよね。
 でも、いっぺんにいろいろ覚えるのは、やっぱり難しい。

 前置きが長くなっちゃったけれど、そんなわけで、今回は音と音との距離、音程を簡単に調べることのできる、早見表みたいなものを紹介しようと思うんだ。
 しばらくはこれを見ながら、音程がいくつなのかを調べるというのをやって、僕の授業に付いてきてくれたらいいなって思ってるよ。もちろん、他の人の音楽講座や、音楽について書かれた本を読むときの参考資料にしてくれてもいいからね。

 さて、第15回でも紹介したけど、音程は長調(イオニアン旋法)の音階を基本としている。そして、イオニアン旋法の音階の主音、つまり「ド」の音を基準としたときの、上下の音程はこんなふうになっている。

ピアノの鍵盤_17_11

 早見表の読み方だけど、上の図には、主音から音階のそれぞれの音との音程が書かれているよね。高いほうには、それぞれ「長音程」か「完全音程」のどちらかになっている。ここまではすでに勉強していることだし、特に問題はないと思う。
 「長音程」はその距離が半音ぶん狭くなったら「短音程」に、半音ぶん広くなったら「増音程」になる。「完全音程」は狭くなったら「減音程」、広くなったら「増音程」。ここまでも問題ないよね。

 次にドリアン旋法の主音、つまり「レ」の音を基準とした場合はこうだよ。

ピアノの鍵盤_17_12

 今度は「長音程」「完全音程」だけでなく、「短音程」も混じってるのがわかるかな。
 「短音程」は半音ぶん狭くなったら「減音程」、広くなったら「長音程」。それぞれをまとめると、第17回で出てきた、こういう図になる。これも問題ないよね。

図表_17_04

 こんな感じで、7つの教会旋法について、それぞれを紹介していくね。つまり、この7つの旋法の、それぞれの音程がいくつになっているのかを見れば、調べようとしている音程がいくつなのかがわかるっていうのが今回のお話なんだ。

 じゃあ続けるね。
 フリジアン旋法の主音、「ミ」の音を基準とした場合はこんな感じになるよ。

ピアノの鍵盤_17_14

 第16回でも触れたけど、特徴的なのは長音程と短音程がそれぞれ、イオニアンとは逆転するってことだね。

 次はリディアン旋法の主音、「ファ」の音を基準とした場合だよ。

ピアノの鍵盤_17_15

 この旋法の特徴は4度が増音程になっているところ。まだだいぶ先になっちゃうけれど、増4度と、異名同音である減5度は、その昔、「悪魔の音程」と呼ばれていたもので、避けるべきものと考えられた時代もあったんだ。
 詳しくはその授業のときにあらためて説明するから、頭のすみっこにでも覚えておいてね。

 5つめはミクソリディアン旋法の主音、「ソ」の音を基準とした場合。

ピアノの鍵盤_17_16

 これはイオニアンとほとんど同じなんだけど、7度が短音程になって導音がなくなってるのが特徴だね。

 そしてエオリアン旋法の主音、「ラ」の音を基準とした場合だよ。

ピアノの鍵盤_17_17

 長調と呼ばれるイオニアンと同じように、今では短調、自然短音階と呼ばれるエオリアンも重要な音階。おさらいの意味も含めて、しっかり覚えておいてね。

 さいごはロクリアン旋法の主音、「シ」の音を基準とした場合だよ。

ピアノの鍵盤_17_18

 第17回でも出てきたように、5度が減音程になっているのが最大の特徴。主音との間に増音程や減音程ができるのはリディアンとロクリアンしか無いんだけど、リディアンは4度、ロクリアンは5度。
 これも和音を勉強するようになると出てくるんだけど、和音とは基本的に3度と5度の音を重ねて作るものなんだ。ということは、リディアンは増音程の和音を避けることはできるけど、ロクリアンはどうしても減音程の和音ができちゃう。しかもそれって、主音を含んだ和音だから、もう絶対に避けることのできない音なんだよね。
 ロクリアン旋法のことを「理論の上だけの音階」と言ったのは、「悪魔の音程」が鳴るのをどうしても避けられないからだったんだ。

 さて、7つの旋法の、それぞれ主音からの音程についてまとめてみたけど、気付いたことは無かったかな。

 そう、基準となる音から上に数えたときと、下に数えたときとでは、音程がひっくり返るんだ。具体的には、たとえば高いほうに数えたときに長音程だった音は、低いほうに数えると短音程になっている。
 そしてリディアンとロクリアンにも注目だよ。増音程だったものが減音程に、減音程だったものが増音程になっているよね。
 変化がないのは完全音程だけ。
 この特徴を覚えておけば、上下両方の音程を覚えておかなくても済むんだ。

 というわけで今回はここまで。
 次回は予告通り、調律について取り上げるよ。

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