今は植物の名前を調べません
身近な自然に積極的に関心を向けるようになって数年たちました。最初の頃は、花の名前を調べ、外来種ばかりであることを知って残念な気持ちになってみたり、簡単にわかりそうなものなのに調べてみるとなかなか名前がわからなかったりして、なにか疲れたりしていました。
今は、もう植物の名前を調べることをしていません。
そんなことをするよりも、おそらくは栽培種ではなさそうな、ありふれた、けれども人工的に無理やり変形されてもいなさそうな植物の様子に、できるだけ気づけるよう意識しながら、植物を写真に収めてします。
毎年、草刈りの行われる、手入れのされた場所と、数年に一回しか手入れのされない場所の境目のような所で写真を撮影するので、草刈り跡に生える一面の花の美しさや、放置された草原の伸びた草の様子を観察できます。ここは、都市と郊外の中間のような場所ですが、放置状態に近いそのままの自然な草木の様子も目にすることができます。
こんなことを始める前はまったく気づかなかった、イバラの花の美しさや、イバラの木の多さに、今年の春は驚かされています。土手から見ると、あちらにもこちらにも真っ白な花をつけたイバラの木が高い密度で見えるのです。
今はまだ冬と春の移り変わりの最中でもあり、クズが今年も一面を覆うぞと蔓を伸ばし始めている下には冬の枯れた草があり、その間には、春の一瞬を狙って草丈を伸ばし、すでに実りを迎えたイネ科などの雑草が生えています。当たり前のように見ている風景の中で、こうして毎年季節が繰り返されていきます。
植物の姿形は、近くでよく見るとほれぼれするほど美しく、ほとんど気にもとめず過ごしてきた年月を後悔させます。エンドウ豆のさやを小さくしたような豆をびっしりつけた蔓の様子などは、自然界の営みが人の努力をあざわらうかのようでもあります。
よく整備された公園ばかりではなく、こうした半野生のような場所が、都会のあちらこちらにあれば、もっと自然に関心を持つ人が増えることでしょう。
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