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『「能力」の生きづらさをほぐす』

『「能力」の生きづらさをほぐす』
勅使川原真衣著
著者は、1982年横浜生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。BCG、ヘイ グループなど外資コンサルティングファーム勤務を経て独立。2017年に組織開発を専門とする、おのみず株式会社を設立し、企業はもちろん、病院、学校などの組織開発を支援する。二児の母。2020年から乳ガン闘病中。

ガンの告知を受けて、闘病しながら、自分が近い将来、亡くなってしまうことを受け止めて、まだ、小学生の幼いお子さんが、二人おられるのだけど、二人のお子さんにむけてご自分の人材開発コンサルタントとしての経験を伝え残したいということで、執筆されている。

長男が成人して、社会人として歩み始めて、上司からの評価の矛盾に悩むところに、幽霊として、子供にアドバイスする形で話しは、進む。

会社の能力評価は、矛盾だらけであることを懸命に伝えているようすは、なかなか泣ける。

一つの例として、
90年代始めに慶應大学SFCが画期的な、特定の学部や学科を飛び越えた新しい領域の自由で個性的な学生の育成に力を入れた学科を作り、非常に注目されていた。卒業生を輩出始めて数年経つと、企業からの評判がすこぶる悪い。自由で個性的なリーダー役を担うものとして、入社したはずなのに、企業側をそのような特色ある人材を活かすことができない。新卒採用基準は、自由、個性的なリーダーシップを取れる人材では、なく、協調性が最重要とされ、SFC側も、教育方針を変えてしまった。

日本の会社の人事評価が、というか、会社組織のあり方が、いい加減であることなど、なかなか、本質的な問題提起もしていて、面白い。

最終章では、ガン告知を受けてからの自分の行動について、、
医者の煮え切らないアドバイスに悩まされていたこと対して、怪しい整体師の根拠のない判断力がどんなに気持ちを和らげるのに役立ったのか。

コンサルタントとしての基本はデータやエビデンスよりもまず、クライアントの話をよく引き出すことが、いかに重要なことだったのか痛感されている様が、非常に痛々しいのでは、あるけれど、大事なことだと思わされた。

著者のご実家が、私の自宅のす 隣近所なので、何かできることはないか?と思ってはいるものの、たいして役には立っていない状況が続いている。

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