見出し画像

書いてきたもの12〜備忘録として〜

数年前、天狼院書店のライティング・ゼミを受けていました。
そのとき書いたものが散逸しないように、ここに残しておこうと思います。
気になるものがあれば、ぜひ読んでみてください。
(読むのにそれほど時間はかかりません)


21 私は彼がいないと生きていけない

「あいつは俺がいないと生きていけない。けどお前は1人でもやっていけるだろ」
20年以上前、こんな、同時流行っていたトレンディドラマでも言わないような、陳腐なセリフで、当時付き合っていた人から、振られた。
彼が心変わりした相手は、バイト先のコンビニで知り合った子だという。何度か見かけたことがあった。小柄でかわいらしくて、色白で、痩せてて、長い髪の子。彼女の纏う色は、薄いパステルカラーだと思った。
私とは、180度違う。そうか、こういう人が彼の理想の恋人だったんだ。
「あいつは俺がいないと生きていけない。お前は1人でもやっていける」
ああ、そうでしょうよ。1人でも自立して生きていくために、必死で勉強して大学へ通って、世の中のことを知り、いつも気を張って、努力してきたんだよ。もうちょっと、そういうところをわかってくれる男だと思っていたのに、そうじゃなかったんだ。
あーあ。
私も男を見る目がなかったわ。
振られて、数日後に、黒くて重くて、鬱陶しくて、全然似合ってもなかった長い髪をバッサリと切って、ショートカットにした。

続きはこちらです↓

****

「ありがとうね」
もし書くことが決まらないのなら、こんな言葉を投げかけたい人のことを考えてみると何か浮かんでくるという言葉をどこかで読んだことを思い出し、本当に書いてみたのがこの記事。

彼のことは、黒歴史のようにがっちりと封印して、表に出さないようにしていた。半径1キロメートル以内の恋愛は、幼稚で、エゴと見栄のぶつかり合いのようで、思い出したら恥ずかしくて、情けなくて耳から火がでる。

書きながら彼とのことを思い出していた。
自分のくだらないプライドのせいで素直になれなくて、それが原因でケンカばかりしていたけど、楽しいこともたくさんあった。
あの時から繋がって、今の幸せな人生がある。

おっさんずラブで、春田に恋した黒澤部長が
「不思議と楽しかったことしか思い出せないんだよな」
というセリフがある。それを聞いた武川主任が、
「いい恋だったんですね」
という場面。

この記事を書いてやっと、黒歴史の封印が解けたような気がした。
辛いことしか思い出せなかったあの恋がやっと「いい恋」になりそうな気がしてきた。

いつか、彼とのことを書けたらいいなと思っているが、黒澤部長の言葉を借りれば
「いい思い出になるには、まだしばらく時間がかかりそうだ」


サポートいただけると、明日への励みなります。