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咳と春

先週から鼻と喉を行ったり来たりしてぐずぐずと患っていた風邪がやっと治ってきた。

夜、オフィスを出ると春みたいに暖かかった。湿り気を帯びた風が数十分後の雨の到来を告げている。

毎年バレンタインデーを過ぎると、日が長くなっていることに突然気づく。周りの景色が急に春めいて見え始めるのは私だけだろうか。

ごほん。

湿り気のある咳が、ビルの谷間に響いて、いっときの陽気に溶けていった。

多分、またすぐに寒くなって、そしたらまた暖かくなってを繰り返し、本当の春が来る。

その頃には、きっと風邪をひいたことも忘れているのだろう。

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