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【GCACW】Hood's Retreatが楽しい

Hood Strikes Northは2021年10月現在で最も新しいGCACWシリーズのゲームで、シミュレートされているのは1864年の南軍によるナッシュビル方面作戦です。少しマイナーなテーマですが、収録されているショートシナリオの中で、ナッシュビル戦で敗北したHoodを北軍騎兵隊が追撃するシナリオ7「Hood's Retreat」が面白かったのでご紹介します。

状況の説明

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黒斜線のエリアは両軍共に進入禁止です。
全3ターンのシナリオで、南軍はへろへろの8個歩兵師団をモーリー郡のダック川南岸の地域(赤斜線)まで逃がすことができれば勝利です。恐らく8個中7個は逃がさないと負けます。
最終3ターン目では橋以外で小河川を越えることができなくなるため、南軍の進軍経路は橋を通るルートになる図の①、②のどちらかになると思います。

北軍は元気いっぱいの7個騎兵旅団と3個歩兵師団を使ってフッドの退却を妨害し、追撃することが目標となります。

楽しい理由

楽しい理由の1点目は両軍にジレンマが用意されていることです。

南軍はダック川へ一目散に逃げたいところですが、3個の軍団に分かれているため、整然と退却することは難しく、1個の軍団が動くとその両翼が危険になりがちです。また、南軍歩兵師団はかなり弱体化しているため、包囲されると北軍騎兵に普通に戦闘で負けます。

というわけで、できれば川や丘を利用して限定的でも戦線を貼り北軍ユニットを足止めしたいところですが、しかしそれをやると今度は移動距離が長くなり、ダック川へたどり着ける可能性が減ってしまいます。

南軍は逃げと足止めのどちらにどれだけリソースを振り分けるか決断しなくてはなりません。

追いかける側の北軍は騎兵ユニットを敵の後方に送り込ませてダック川への道のりを塞ぎたくなるでしょう。しかし、南軍には”悪魔”フォレストがいるので先回りした北軍騎兵がそのさらに裏を取ったフォレストによってすりつぶされる危険があります。

北軍はフォレストの動向に気を配りながら、裏取りと正面の戦力のバランスを考えなくてはなりません。

このように、両軍にそれぞれ分かりやすいシンプルな悩みどころがあるところが面白いと感じた点の1点目です。

”悪魔”フォレスト…突撃すると、戦術値で+1、突撃で+1、フォレストの追加ボーナスで+1と確実に+3の戦闘修正を南軍にもたらす神。しかも、騎兵将軍のくせに歩兵師団を突撃に参加させることができる。フォレストの歩兵師団付き突撃の目標になった騎兵ユニットは騎兵退却できず、しかも騎兵から騎兵の攻撃ではないため側面ボーナスもフルで喰らう。だから側面ボーナスがフルの状況だと戦術値とボーナス、包囲効果だけで+7からスタート。まじでやばい。

2点目は「戦闘による疲労度上昇」というGCACWの特徴的な要素について学ぶことができる点です。

GCACWでは疲労度が4になったユニットはジャクソンやシャーマンが指揮していようが、18戦力あろうが、砲兵値が4あろうが、自発的に動くことはできなくなります。

疲労度は活性化だけでなく戦闘結果によっても上昇します。なので、相手を撃破する目的でなく、無理矢理敵の疲労度を上げる目的で戦闘を実行することが両軍にとって有効な戦術になると思います。疲労度が4になった南軍歩兵師団はそのターンそれ以上ダック川へ近づけなくできなくなりますし、北軍騎兵旅団もそれ以上追撃できなくなります。

また、戦闘の目標を「疲労度の上昇」にした場合、-1の戦闘修正でも相手の疲労度を2以上上げる確率が6割あるので、大損害を与えたい!といった要望よりもハードルがかなり低いため実行しやすいです。

ただし、南軍ユニットは自発的退却でダック川へ近づけることがありうるので、北軍はその点に注意が必要でしょう。

まとめとちょっと脱線話


Hood's Retreatは攻守固定のシンプルなシナリオながら、両軍に判断に迷うポイントが作ってある点が面白く、また騎兵ユニットの活用方法と疲労度の重要性、CRTについて学び、戦闘技術の向上を図ることができる点で有益だと思います。ユニット数が少なく手軽に挑戦できる点も良いです。1時間くらいで終わるんじゃないでしょうか。

ここからちょっと脱線話なのですが、GCACWを初めて購入される方に何を買ったら良いか相談されたとき、HSNよりも、有名な会戦がモチーフになっているSJW2やRTG2をすすめがちなのですが、その方が「南北戦争はあまり良く知らないけどGCACWっていう面白いゲームがあるらしいから買ってみたい」という場合、ゲティスバーグもアンティータムも第二次ブルランもナッシュビルも全部等しく「あまりよく知らない」になると思うので、HSNもご紹介していいのかなと思いました。値段も手ごろですし。ちょっと乱暴かな…。

アドバンスシナリオは全32ターンで一見すると長いのですが、しょっちゅう雨が降るのと、中間7ターンが降雪のためほとんど無いものになるため実働ターンは少ないです。また補給ルールもないため、ショートシナリオの延長線といった感じで遊ぶことができ、21がプレイしてみたアドバンスシナリオ(AGA、SJW、HCR、RTG、SLB、HSN)のなかでは一番プレイしやすかったです。

皆さんに栄光の日々がありますように。


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