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転職活動雑記 ~思考編~

去るGW直前、いつものように出勤してデスクに座っていた昼休み。

弁当を食べ終えて昼寝をしようと天を仰いだとき、ふと「転職するか」という気持ちが降ってきた。

そこから2ヶ月、4年半勤めた鉄鋼メーカーの技術者から経営コンサルタントへの転職を確定させるまでに考えたことを記す。

○ 転職の動機

【現環境で緩やかに死にゆく感性への危機感】

下記の記事は「転職するか」と考えた際に、なぜ自分は転職したいと思ったのかを考察して書いたものだ。

僕はいまの自分の感性が好きだ。好きなことを好きだと感じ、楽しいことを楽しいと感じ、悲しいことを悲しいと感じられる。そして、それはとても流動的で、他者と対話を重ねる度にうねるように形を変えていく。27年という時間を重ねて到達したいまの感性は、その変化まで含めて愛おしい。幸い友人にも恵まれたため、こやつを受け入れ、楽しんでもらえている実感もあり、この先もずっと感性を大事に生きていきたいと強く思う。

前記事で考察したように、「感性」は日々生きていく中で新たな視点や風景に触れ、他者と体験を共有し、対話することによって育まれていくと考えている。

しかし、人生の大半を占める仕事には昨今の不景気に伴う残業規制が掛けられたため、人と気が済むまで議論をする時間は確保できず、腰を据えて未知の領域へ取り組む機会は失われた。友人と遠く離れた居住地に加え、世相のダブルパンチによって、休日にも人と話す機会は激減した。

この環境で1年間を過ごしてきた結果、仕事内容は依然楽しいもののアドレナリンを噴出させるあの感覚を忘れ、休日にはなにもやる気が起きず昼過ぎまで寝ていることが増えた。好きなものを好きだと感じられる自分が緩やかに死んでいく、この感覚がどうしようもなく怖かった。

ここにとどめを刺したのは4月中旬に会社から示された「今後、非管理職層は残業ゼロを前提とする」という方針通達だった。自分は管理職に昇進するまで最速でもあと4年かかる。この環境であと4年間を過ごした自分を想像した瞬間に「あ、これはダメだ」と、とてつもない絶望感が降ってきた。

一週間ほど悶々と考えこんだ結果、絶望感が堰を切り、転職活動をすることに決めた。

余談:その他に考えていたこと

・世界有数の企業で技術職を4年経験してもまだ27歳の人間は希少価値が高そう(大学院卒が標準なため)。

・マネジメント経験を持たずに異業種に転職するにはギリギリの年齢だという直感。

○ なぜ経営コンサルタントなのか

経営コンサルに転職しますというと、多くの人から「とりあえず転職したい人が行きそうな業界だが、本当に現職を辞めるのか?」という反応を頂いたのだが、それなりに考えて選んだ進路なのでその考え方を記録する。

● どんな場所でも生きていける力を培える環境

僕はこれまでの仕事を通じて、「仕事の質」というものは「ロジックの質」「ロジックを組む速度」の掛け算によって生み出される推進力だと考えている。また、仕事はその案件を閉じた時に初めて価値となるので、最終的な意思決定までの最速ルートをどう組み上げるかが重要だ。

質と速度のバランスで最大出力を維持しつつ最終決定まで最速で到達する、この能力はきっとどんな仕事に対しても通ずるだろう。そしてこの能力は、答えのない問いに対して自分なりの解を出す経験によってのみ育てられる。現職のような堅強なレールから外れる以上はどんな人生でも生きていける力が欲しい、この視点で様々な業界を見た時に最もピンときたのが経営コンサルだった。

余談:シンプルに、自分が答えのない問いを考えるのが好きだというのもある。

● 企業のポテンシャルを解放し、この国の雰囲気を上に向けたい

4年半どっぷりと海外学会での議論などを含む技術や生活で、この企業の技術は間違いなく世界一だという確信を得ている。しかし、同時に首をもたげたのは「なぜ技術があるのに稼げないのか」という疑問だ。ポテンシャルはあるのにそれを活かすための構造改革に着手できずジリ貧、おそらく日本には同じような状況の企業が多くあるのだろう。

また、室蘭という鉄鋼の街に暮らし、飲み歩いて1年半、企業がその土地の雰囲気に与える影響というものを肌で実感できた。その土地に根を張った企業はその事業だけではなく、その街のあらゆる産業へ密接に関っている。企業の景気が良ければそこに暮らす人は前向きになるし、逆もまた然りだ。

これらの実感から技術やノウハウを持ち腐らせている企業の課題をほどき、そのポテンシャルを適切に解放させることで、この国はまだまだ前を向けるんじゃないかと感じている。この国を取り巻く鬱屈とした雰囲気を取り除く、そんな仕事をしたいという気持ちはこの4年間で生まれ、いつの間にか大きく育っていた。

幸いなことに希望通り、末端の業務課題ではなく最上流から経営課題を考える企業/部署から内定をもらえたのでこの願いは叶いそうだ。

余談:BCGが掲げる「Unlock Your Potential」、超いいよね。落とされたけど。

● いまの自分の市場価値を試す

コンサルへの転職活動を始めるにあたり、最初に決めたことは「トップコンサルだけ受けて、全部落ちたら今の場所で頑張ろう」だった。自分のことは優秀だと思っているが世間から見たらそうじゃないかもしれない、その勘違いを抱えて外に出たら野たれ死ぬリスクは高い、それを回避するための策だ。また、いまの自分の市場価値は常々気になっていたので、その点でも丁度いい課題設定だったと思う。

余談:結果として勝率は2/5社だったのだけど、これまでの人生で「落ちる」という経験が殆どなかったため3/5社に落ちたという経験はかなり堪えた。しかし、この経験を若いうちに得たことは今後に活きるだろうなと感じている。

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転職活動中に考えたことはこんなところ、実際に何をやったかはまた別の機会に。これらの思考はもちろん転職活動中に整理していたけども、考えれば考えるほど自分に都合のいいストーリーが組み上がっていくため、少し怖かった。こんな人間でもレールを外れるための勇気が欲しかったらしい。

まあでもそれなりに納得した上で決断することができたので、次の環境でもいつも通りの自責的な思考で働くことができるはず。頑張っていこう。

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