なぜオリエンティアは就活に強いのか?
某製鉄会社で、技術者3年目をやっている者です。
変な部署に所属していて、1年目から学生のリクルートにも関わっています。こちらも3年目。
その業務では多くの学生と接しますが、やっぱりオリエンティアは『優秀』だなぁと思うことが多々あります。
その「優秀さ」はどこに起因するのか?
仕事を進める上で重要な要素と、オリエンティアの持つ能力の関係について考えてみました。
※「オリエンティア」は主語が大きいので、この記事での「オリエンティア」は競技的にオリエンテーリングと向き合ってきた人とします。
○ 先に結論
オリエンティアの秀でた能力は
・「事実」と「意見」を区別し、意思決定に至るプロセスを言語化する技術
・意思決定の責を背負うことを厭わない決断力
にあると考えています。この2つは非常に汎用性が高く、あらゆる仕事において活躍してくれます。そして、面接だけで見抜くことが出来る数少ない技術です。この合致によって「オリエンティアは就活に強い」という事実が生まれていきます。
○ 「事実」と「意見」を区別し、意思決定に至るプロセスを言語化する技術について
「事実」と「意見」については、この記事が分かりやすいです。
なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか。 https://blog.tinect.jp/?p=62453
ピンときた人がいるかと思いますが、この技術はアナリシス(レース分析)を行う際に必須の能力です。
「上手くいったと思ったレッグで10秒のミスタイムがついた」原因を明らかにして、次回以降のレースでそのタイムを削るためには、プラン・実行の言語化が必要になります。もっと言えば感覚と外れた「ミスタイム」という事実を受け止めた上で、予期した未来と実際の意思決定プロセスの差を見極めていく作業になります。
持論ですが、人間は言語化されていない事実を理解することができません。インカレのセレ通過レベルで実力が頭打ちになる人は多いですが、原因は分析の甘さに尽きると思います。イマイチなレースを振り返ったとき、頭の中で「思い当たる節」を並べ、「次はこうならないぞ」と決意した結果として速くなることがあったでしょうか?(極稀にそれで速くなるバグみたいな人もいますが…)
「次はこうならないぞ」は「意見」であり、事実ではありません。
分析は言語化(文章化もしくは声に出しての議論)をしないと、原因究明・原因理解に至らず次に繋がらない。アナリシスを通じて、この分析プロセスを繰り返してきたオリエンティアは、当然として「事実」を介したコミュニケーションが得意になります。
会社というのは達成すべきミッションを持った団体なので、①達成までの最短ルートをプランすること、②実行がプランとずれた際はプロセスを分析し迅速な軌道修正することが非常に重要になります。そのため「事実」のみで会話・議論が可能な人は、それだけで喉から手が出るくらい欲しい人材です。
○ 意思決定の責を背負うことを厭わない決断力について
このスポーツはルールによる制約も少なく、自由度が非常に高いにも関わらず、結果がすべて数字で、しかも頼んでもないのにLapCenterにはデータ整理が終わった数字が出てきます。
ナビゲーションは意思決定の連続で紡がれるプロセスですが、意思決定による影響の大小を、これだけ数字で殴られる経験はそうないでしょう。ミスをしたら数字で殴られることが分かりきっていても、意思決定をしないことには前に進めません。一見ベストなプランを組んでも、迷いがあれば巡航は上がりません。
オリエンテーリングと向き合うことは、自分の意思決定による結果を受容することに等しい。なので、責任を受容した上で進む力、すなわち「決断力」が育っていきます。
仕事の中で「で、これは誰が責任を持って進めるんですか?…」と、曖昧な雰囲気になることは多々あります。このとき決断力を持った人は、会社のミッションを達成するための大きな推進力になります。ぜひ弊社に来てください、頼む~。
○ 面接の時に見ていること
上で紹介した2点について、最初に「面接だけで見抜くことが出来る数少ない技術」と紹介しましたが、逆に30分の面接で見抜ける能力なんてこれくらいなものです。これらの技術はコミュニケーションに直結するため、会話をすれば分かります。
(どちらかを言えば、質問に対して「意見」で回答されたりすると「あ、ないな」という印象を持たれる)
○ 個人的に思う就活のコツ
面接で分かる能力はこの程度なので、それを逆手に取りここを全力でアピールしましょう。
「学生時代に頑張ったことはなんですか?」という85%くらい聞かれそうな質問がありますが、これは「なにをやったか」を聞いている質問ではありません。オリエンテーリングだろうが、バイトだろうが、総理大臣だろうがどうでもいいです。
この質問の意図は「あなたはどのような意思決定プロセスを踏んで、そこに価値を見出し取り組んだのかを、事実を元に分かりやすく説明してください」です。この質問は先述2点の能力を一度に見ることが出来る、かつ誰に質問しても外れないので多用されます。
この類の質問対策では、いわゆる自己分析を進めて、これまでの人生での意思決定プロセスを言語化・整理していくことは大事ですが、人が理解しやすいストーリーを組み立てることも同じくらい重要です。面接官はあなたのことを1mmも知らない、その状態の人に一発の会話で自分という人間を理解させるためには、納得感のある流れ「ストーリー」が重要になります。
自己分析が進んできたらその内容を積極的に人に話しましょう、飲み会などでは特にいいですね。話して人が楽しそうに聞いてくれるならば、そこにはストーリーがあります。不可解な顔をされたら話の組み立てを見直しましょう。トライ&エラーです。
ちなみに、このストーリー構成力は会社に入ってからもバリバリに役に立ちます。プレゼンや資料で人を納得させるために最重要な技術と言えるでしょう。
「コミュ強は就活に有利」などと言われますが、コミュ力は紛うことなき「技術」です。「コミュ強」などというレッテルを使うことで虚構の安寧に浸っている人は捨て置いて、技術を高めて殴り合えるようになりましょう。もう一度いいますが、「コミュ力は技術」です。
僕自身は就活以降ずっと自己分析狂いをやって4年経ちますが、悶々と自分と向き合い考え抜くことで培ってきたこれらの技術は、今の毎日を生き抜くための強力な武器になっています。
小手先の就活テクニックなどに頼らず、ぜひ本気で向き合ってみてください。自己分析だけではなく、オリエンテーリングにもそうです。
きっとそれは財産となって、いつか自分に帰ってきます。
○ おまけ 「オリエンティアの参考にならない就活話」
なにも参考にならないし、ろくでも無いオリエンティアの就活話を記します。
① 某東工大の先輩1
…院試の出願条件を満足しておらず、出願に失敗。翌日から就活を始め、一週間後に「We Build Hearts.」な会社に内定。部誌に投稿されたろくでもない就活日記は、東工大OLTの中でも語り草になっている。そしていまは退職し、田舎で楽しそうに暮らしている。そのうち遊びに行きます。
② 某東工大の先輩2
…院死して翌日から就活開始。一週間後、目に止まった大企業「ぽい」名前の企業に内定。無事ブラック企業に吸い込まれた。あまりのブラックさから転職したが、その先もブラックな模様。多分ブラック企業でしか働けない星の下に生まれてそう。強く生きてください。
③ 某筑波大の先輩
…てっきり大学院に進学すると思っていたが、4年の10月に「最近就活が趣味なんだよね」と発言。当時2年生の僕は「流石に頭おかしいんじゃねえかな」と思っていた。そして、いつの間にか某財団に就職。いまは天職!と言わんばかりの働き方で非常に楽しそう。
④ 自分
…3年生の3/1に「今日から就活とやらが始まるらしい…」と会社見学に行ったらその場で面接され、その後もトントン拍子内定をもらえたので就職することにした。面接前日は上井出財産区でレースしており、帰りの渋滞中後輩のDAIGOに「明日朝から面接なんだよね~」といったら「流石におかしいんじゃないですか?」と返された、歴史は繰り返す。そこが今の会社だけど楽しいので良しとする。
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