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映画「37セカンズ」

Netflix Singapore版にあったので、観てみた日本映画。こういうマイナー?な日本映画が海外の人にも字幕とか吹き替えで気軽に観れるようになっているのは凄いな。

たしか英語のNetflixの説明のところで、「若い女性の身体障害者の性的な体験」とかいう映画紹介だったので、あまり気乗りしなかったが、なぜか観てみた。結論、とてもよかった。

やはり前半は、そういうことで、赤裸々というか、観ていてちょっと気恥ずかしい展開があった。まあ、人間誰しも、おとなになる過程で、性的なことへの関心はあるし、ごくあたりまえの話ではあるが。でてくる人も紋切り型に描かれていたのでちょっと興ざめで、造り手に申し訳ないが、ネットフリックスの10秒早送りをポンポンおしてとばしてみる。

でもだんだんと、この車椅子の女性主人公のキャラクターにいい味がでてきて、ひきこまれていく。つい感情移入して、生き様を応援したくなる。たぶんこの人、ほんとうに障害ある人だな、と思った。役者がこんなに自然に演技できない、もし仮に役者ならそれはすごい役者だな、とか思いながらみていた。ジミー大西みたいな、根が素直で優しい人柄がにじみ出てくるような声でしゃべる人。

後半になって、おっと、驚く。

予期せぬ展開。急に、なにかを探し求めるロードムービーになって、千葉の九十九里や、タイの田舎の風景とともに、意外な話の展開になっていく。

とくにタイの田舎の風景に癒やされる。これは癒やしのロードムービーなんだとそこからも伝わってくる。前半も我慢してみるべきだった。飛ばしてすみません。前半のストーリー展開のテンポがあってこそ、生きてくる後半だったのかもしれない。まあ、十分、後半ひきこまれましたが。

タイトルの「37秒」の種明かしも、そこででてくるのだが、こういう数量のタイトルは意味深でいいな。

「11分」(パウロ・コエーリョの娼婦が主人公の小説。たしか、娼婦が客を平均的にいかせる時間)、「21グラム」(なにかの映画のタイトル。犯罪映画だったか。たしか死ぬとそれくらい体重が軽くなるので、魂の重さが21グラムだという話)とか、なかなか意味深なのが多い。この37秒は、ネタバレになるので伏せます。

後半のロードムービーの部分と、ラストシーンがこちらの想像を裏切って、日本映画によくあるお涙頂戴の演出じゃなかったので、とてもよかった。参りました。良質の、人が成長して大人になっていく物語、あるいは母と娘の深い愛情の話。言葉少なに、淡々と話が展開していくのが、なんともいい。

(タイトル写真は、Note Galleryで「農村」で検索してでてきたのを拝借。日本の自然は熱帯と違ってやさしい。いいなあ)


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