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【SSお題】ヘルプ商店街

ヘスースは、偶然通ったその寂れた商店街のアーケードで、タコス屋をやろうと思いついた

閉店したスナックの窓に、手書きのサイン

居抜き物件テナント募集

メキシコで死んだ日本人の母から、幼い頃から基礎の日本語は教わっていたが、イエズス会の布教で日本に来てからは、日々、知らない単語に出くわす

居抜き?

侍とか忍者の技みたいだな

辞書を引くと、「内装そのままで使える物件」とある

たこす?蛸酢?と訝しがる山田商店会長に、タコスはメキシコの郷土料理ですと写真をみせて、丁寧に説明する

最後には、山田さんは薄くなった頭を下げて言う

ヘススさん、ぜひ、そのたこす屋でこの商店街を盛り上げてください!大家は私が説得します。ヘルプミー、お願いします!

かくして、タコス屋エスメラルダが誕生する

バイト募集を出すと、東京在住の外国人の学生が沢山応募してくる

面接をして、ボリビア人と中国人の学生に決める

なんだか、自分が作るタコスで、この商店街を、食べてくれる人々を、ほんとに救うことができるんじゃないかと思ったりした (437字)


オチがない話ですが、「ヘルプ商店街」というお題から連想が広がり、昨年書いた連載小説で設定したタコス屋ネタを書いてみました。救世主、メシア、めし屋、そんなダジャレ連想なんですが、シャッター街商店街を救うのは案外海外からの人たちじゃないかなあと想像して。

タイトル写真は、先月食べたタコス。紫色のトウモロコシを使ったやつで旨かった。

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