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フィクションあるいはデフォルメした実話

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#旅

「ドバイから飛びりし先」 ノンフィクションのようなフィクション

「結局、ジョージアくんだりまで来なくてもよくなったんだよなあ」 ドバイからフライト3時間ほどでトビリシまで飛んでいるエミレーツの格安航空の機上で、森晋一はひとり呟いた。 そもそもの始まりは、2月第2週にドバイで1週間、コンサル先の顧客企業がドバイの業界展示会にブース出展する支援で滞在予定だったところ、同じ案件で中東ビジネスの提携先としてとある中東のグループと提携の覚書を調印するという話が持ち上がってきていた。その調印をその展示会の週にしようと言っていたのが1月にはいって、

とんでとんで アルゼンチン

昔、将来のことなんて何も考えていなかった若い頃、往復のチケットと日本だと1ヶ月くらい生活できるかなという現金を持って、南米を旅した。 当時の南米は、20年くらい続いた軍事政権のもとで進められた経済政策が破綻して、年間数百%、国によっては数千%のハイパーインフレだった。国庫は破綻して、国は荒れていた。 はしょって解説を試みると、資源豊かなアルゼンチンとかブラジルとかが、1960年代に、資源輸出が先進工業国に買い叩かれる一方で割高の工業製品を輸入させられたら、だんだん自分たち