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フィクションあるいはデフォルメした実話

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#インバウンド

スローダンス in Kyoto

「ある木曜日の午後3時、20代かとみえるオーストラリアの若夫婦が、客一人いないパブにはいってくると、冷えたギネスを所望。 ちょうど店番をしていたナガト(日本人が店番することも時にはあった)が話かけると、結婚したてでハネムーンでの京都旅行だという。 ちょうど店内は、マルがこだわって自腹で買ったレコードのジュークボックスがあるのだが、そこから古い1930年代のスローなビックバンドジャズが流れていた。 ほろ酔いの二人は、そのジャズにあわせてゆっくりと踊りはじめた。 きちんと

【小説】ユア・アイリッシュ・パブ インバウンド繁盛記

「しんちゃん、それ、大きな間違い。外人はさ、1年、暗~い空の街で、毎日嫌々働きながら、今年の3週間の休暇はどこへ行こうかなとそれだけをおもって生きてるわけよ。で、タイのビーチとかに行くんだけど、今年は、職場のダニエル夫婦が行ったらえらくよかったという日本に行ってみようかとなるわけ。でもね、休暇でくるから、スシ、テンプラ、サケ、イザカヤ、だけじゃだめなんだよ」。 白あご髭と鼻髭をたくわえた初老のおやじが、中年後期の髪がちょと薄くなりかけてきた男にむかって、諭すように言う。

小説「ユア・アイリッシュ・パブ」後日譚

ぶぅん。 ロンドンに出張中のシンイチの携帯のインスタにメッセージが飛び込んでくる。 「えええええ、シンちゃん、ロンドンいるの?俺も昨日リバプールからロンドン入り。いつまで?」 懐かしい人からのメッセージだと、シンイチはまず思う。コロナで京都のパブを店じまいしたのが2020年の7月だからもう3年会っていなかった。ちょうど自分が昨夜インスタにアップしたロンドンの街並みの写真に反応したのか。 「マルさんも、イギリス!? You は何しにイギリスへ?私しゃ、明日金曜日の夜便で