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フィクションあるいはデフォルメした実話

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【短編】チャーリー・パーカーの墓さがし

真夏の暑い昼下がり、カンザス・シティの墓地で、Mと僕とで手分けしながら草ぼうぼうの平らな墓石の中から、その上に斜めの棒に羽ばたいている鳥がのっているのを探していた。蝉がうるさく鳴いていた。 墓の写真が載った本が正しければ、この目の前の藪に囲まれた100m四方くらいの範囲にその墓はあるはずだった。 Mの新婚の妻Bは、今朝、僕が車でMを迎えに行ったら、けっこう怒っていた。 「結婚式の翌日に、うちの旦那をひっぱりだして、誰かの墓さがしなんて何考えてるの!」 顔はいつものよう

とんでとんで アルゼンチン

昔、将来のことなんて何も考えていなかった若い頃、往復のチケットと日本だと1ヶ月くらい生活できるかなという現金を持って、南米を旅した。 当時の南米は、20年くらい続いた軍事政権のもとで進められた経済政策が破綻して、年間数百%、国によっては数千%のハイパーインフレだった。国庫は破綻して、国は荒れていた。 はしょって解説を試みると、資源豊かなアルゼンチンとかブラジルとかが、1960年代に、資源輸出が先進工業国に買い叩かれる一方で割高の工業製品を輸入させられたら、だんだん自分たち