救われなかった君と、救えなかった私

はじめに

これは自殺を推奨するものでも肯定するものでもなければ、否定するものでもありません。それらをご理解頂いた上での閲覧をお願いいたします。

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その人とは、あるゲームのグループがきっかけで知り合った。私のひとつ上の女性だった。
私と同じく初期からいて、それなりに関わりの長い人になった。
最初は他の人を含めた数人で通話しながらゲームや雑談をしていたが、時が経つにつれ2人だけで話すことが増えていった。

ある日、サーバーのグループ通話で7人程と話していた。その時不意に出た"性行為の経験人数"についての話(普通不意に出る話では無いがそこは置いておく)。
当時グループ最年少の中学2年生だった私は当たり前のように0人。そしてあの人は中学3年生だったのにも関わらず1人。どこで経験した?きっかけは?と皆が聞く中、彼女は有耶無耶にして話していた。
それからしばらく経ちグループ通話が終わった後、彼女と2人で話していた。そこで彼女は有耶無耶にした訳と初行為のきっかけを話してくれた。

『親戚の叔父に無理矢理犯された。こんなことあの中で言ったら雰囲気悪くなるしさ、はっきり答えなかったんだよ』

元々鬱病気味だった彼女は、家庭内暴力やレイプに加え、学校での虐め等、悲惨な生活をしていると自ら語った。
それと同時に、『死にたい』とも。
経験のない私でも分かる凄惨な暮らし。それこそ、『死』という救いを、解放を求める他ないような精神と身体の苦痛。
学校では虐められ、家では暴力と性欲の吐け口。親も友人も警察も、誰も助けてはくれず、救われない彼女が死にたいと思うのも納得してしまった。

その話をしてからだろうか。彼女がやけに死にたがるようになった。
いや、本音を晒け出すようになったと言うべきか。

ある日の通話。その時、事は起きた。

「ねぇ、私、今から飛び降りて死ぬよ。」

言葉が詰まった。


「いやぁ、マンション住みで良かったよ。てか、外さっむ!」


やめて

その時私が何を言ったか、彼女が何を話していたのかは覚えていない。覚えているのは、涙ながらに止めたことと、金属板に何かがぶつかるような、ガシャンという大きい音が聞こえたことだけ。


通話越しに人が落ちた音を聞いた。
マンションのベランダから落ちた音を。
あの音だけは、今も鮮明に思い出せる。

…重く言ったものの、彼女は死んだわけでない。4階から飛び降りた彼女だが、車庫の屋根に足から落ちたことにより、複雑骨折になった上で生き残ってしまった。 

『ねぇ、死ねなかったよ』
『色んな人に迷惑をかけた』
『警察は自殺しようとした動機をまともに調べようともしない』
『やっぱり私の味方なんていない』

『死にたい』

それらの言葉は、彼女が生きていると知って安堵した私の心を深く抉る。

何故
何故そんなに死にたがるの
生きている限り苦しいことは沢山あるけど
少なからず楽しいことだってある
なのに何故

私には 到底理解できなかった
理解したくなかった
だって
理解したら
してしまったら

また 失ってしまいそうだったから


私もそれなりに家庭環境が厳しい。
親同士の仲が良くなく、私が小学四年生の時に、私を含む姉弟の前で大喧嘩をした。

『あいつらが馬鹿なのはお前がゲームばかりやらせて勉強させないからだ』
『俺だって忙しいんだ、そんなこと言う暇があったら家事をしろ』


怖かった。
母はストレスにより心臓病を患い、その2年後に食堂アカラシアを発症。
父は先代社長がミスをしまくり、その尻拭いかのように社長の座を押し付けられた。
ギスギスした家庭で、私は理不尽に叱られることも多々あった。
家では八つ当たり。学校では皆から拒絶。

『お前のせいだ』
『いっそ出てってやろうかこんな家』
『お前なんか───』

小学6年生。自殺をしようと思った。
怖かった。
出来なかった。
ここで出来なきゃ苦しむことになる。
でも、それでも、

…怖いものは怖いんだ。


あの人が結局どうなったのかは分からない。
ある日を境に音信不通なのだ。
あの人の安否なんて知る術は無い。

どうか、幸せでありますように。

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生きている。
今の今まで生きてきたおかげで、私は楽しいことが沢山あった。勿論苦しいこともあった。
でも、ネットを始めて、色んな人に会って、色んなことを知って。

あの時は、後悔すると思ってた。

けど、今がどうしようもなく楽しい。
トラブルに巻き込まれることもあった。
苦しくて折れそうな時もあった。
なんなら折れた時もあった。

支えてくれる人はいなかった。
友人も家族も、皆私から離れていった。
なら、自分で作ってしまえばいい。
少なくとも、私はそうしてきた。

『自殺』が悪い事だとは思っていない。
皆誰しもいつか死ぬ。
ただ、それが少し早くなるだけのこと。
なら少しだけ。
もう少しだけ、遊んでやろう。
善行を重ね死にゆくのもいい。
人に、この世界に、復讐するのもいい。
もう少しだけ、話そうじゃないか。


なぁ、見てるんだろ。
私は何時でも待ってるよ。
他愛のない、貴方の世間話を。


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私がネット上で人と交流を初めて約1年半。私はこれまで、短いながらも沢山の経験をしてきました。
ある女性の自殺を通話越しに止めたり。
30代の男性(無職)に告白され、性的な写真を要求されたり。
またある時は配信者の方に理不尽な形で罪を押し付けられ、約20名程を巻き込むトラブルの元凶とされたり。
その他諸々etc…
この話は、女性の自殺に立ち会った時の経験に基づいて書いたものです。

伝えたいことなんてありません。
文脈なんて考えてません。
ただの殴り書きです。
私はただ、気まぐれに文字を綴った。
それだけです。

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