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本紹介

私が今まで読んだ中で一番面白かった本を紹介します。

タイトルは「数学の女王」です。
作者は伏尾美紀さんで前作の「北緯43度のコードケース」が第67回江戸川乱歩賞を受賞しています。本作は、そのシリーズとなっています。

あらすじ

厚別区新札幌に新設された大学院で、爆破事件が起こり当時珍しかった博士号を持つ女性警察官沢村依理子が事件解決をしていく物語です。

私はこの本を書店で見つけたとき、まずタイトルに惹かれました。数学好きにはもってこいのタイトルだと思います。ミステリー小説に数学の要素が入っているなんて面白くない訳がないと思い、ハードカバーの本は普段買うことを渋るのですが、即決しました。
読んでいくと札幌の地名がよく登場するためどこで何が起こったのかが想像しやすく親近感を抱きました。私は前作の北緯43度のコードケースを読んでことがなかったのですが、楽しく読み進めることができました。
そして、登場人物の思考の中でいくつか気づくことがありました。物語に登場する数学の女王である相馬涼子は数学科の博士号を持っています。相馬が大学院生の当時女性が研究職に就くことは異例で教授は男子生徒と明らかに違う対応をし、仲間である男子生徒もコミュニティから除外していました。男尊女卑、亭主関白など男性のほうが優位だという意識が国民に潜在的にあり、それが知らぬ間に誰かを苦しめていました。研究がすべてだった彼女にとっていかに苦痛であったか計り知れないです。
私も実際に数学を専門に学びたいと言ったところ、研究職なんて女性には厳しい、変わっていると言われたことがあります。そのことがあり、読んでいるときに感情移入してしまいました。さらに、色眼鏡をかけて自分の価値観で物事を判断していたことにも気づきました。名前や役職を見ただけで性別を判断し、疑わないことがここまで大きな事件を引き起こすことになるとは思いませんでした。
今回起こった爆破事件は博士号を持つ女性警察官だからこそ解決できたと思います。私は数学の女王を読んでハッとさせられるものが多かったです。初めは東野圭吾さんの「ガリレオ」のような物語を想像していたのですが、全く異なりとても興味深いものでした。文章が時系列ごとに並べられてあり、数学の知識に関する部分があまりないため数学が苦手な人でも難しくなくさくさく読み進めることができます。

ミステリー小説好きのかたには是非読んで欲しい一冊です。


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