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図書館で見つけた「教育」の本

今回は図書館で見つけた教育に関する本を紹介していく。

「天才」は学校で育たない

一冊目は、汐見稔幸さんの【「天才」は学校で育たない】である。図書館の分類番号は370.4だ。

著者の汐見稔史さんは東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長、白梅学園短期大学名誉学長である。 専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学だ。

この本は天才を育てるメソッドではなく学校の現状について綴られている。
第一章から第五章まで分かれており、それぞれに具体例がついて分かりやすくまとめられている。

教育は義務で受けるものなのか
 私たちは「教育」というと何をイメージするでしょうか。形あるものとして、「学校」をまず思い浮かべる人も多いと思います。校舎がありグラウンドがあり、校舎からは花壇が並んでいて、チャイムの音とともに子どもたちの声が響く、そんな場所が教育の一番わかりやすいイメージです。
 学校という場所があり、そこに子どもたちが毎日通って授業を受ける。放課後は部活に励んだり、運動会や修学旅行といった行事に参加したり、宿題や定期テストのための勉強をしたり、そんな姿をごく当たり前に思い浮かべます。
 これが学校や教育についての共通イメージと言ってもいいでしょう。
 しかし、もう少し時間を大きく広げて、古くからの教育という営みを眺めてみれば、こうした教育の仕方とその場である学校のあり方というのは、ある意味特殊だということがわかります。しかも、その歴史はたいへん短いものだということに気が付きます。

30~31ページ

現在の義務教育そのもののあり方や学校においての普通とは何かを原点に返りわかりやすく解説してされている。子どもを子どもとして扱っていけない理由などインパクトのある文章が多い印象だ。

学校ってなんだ!

二冊目は工藤勇一さん、鴻上尚史さんの【学校ってなんだ!】である。図書館の分類番号は370,4だ。

著者の工藤勇一さんは、日本の教育者で横浜創英中学・高等学校校長である。鴻上尚史さんは、日本の劇作家・演出家である。

この本は工藤勇一さんと鴻上尚史さんの二人の対話で話が進んでいる。学校の校則改訂の第一人者である工藤勇一さんが自ら行った経験から現在の学校現場の問題を解決していく。従来学校現場で行われてきた「当たり前」を撤廃し、生徒が学びやすい環境を構築していく。

麴町中の取り組みとして話題になった、定期試験の廃止、頭髪・服装指導の廃止、全員担任制などはあくまで目標実現のための手段にすぎない。大事なのは、最上位目標に照らして、その手段がふさわしいかどうかを、教職員、生徒、保護者などすべての当事者と対話を重ねるプロセスにある。学校の「当たり前」がなくなったのは、結果に過ぎない。

82ページ

校則に縛られるのではなく自主的に髪の毛を金髪にしたらどういう不利益を被るのか、靴下はワンポイントでないといけないのかなど考えさせることで生徒を成長させることができる。
生徒だけでなく不登校の子どもに悩む親、長時間労働に疲れる教員などの問題にも教育以外の視点から解決していく。書籍の後半では「感情をコントロールする技術」、「日本にユニコーン企業が少ない理由」など日本人の特性を考察している。

大切なのは「学校に行くこと」なのか「勉強すること」なのか、考えるきっかけになる本だ。

学校をゲームする子どもたち

最後は琴寄政人さんの【学校をゲームする子どもたち】である。図書館の分類番号は370,4だ。

著者の琴寄政人さんは教育者で実戦教師塾主催だ。

「制服自由論」は、昔で言えば「こいつら(学校)をやっつけるために学校にきたんじゃい!」という連中の道の妨げになったんではないか、と思うし、今では「アホな大人のあわてる姿を見るのがたまらなく楽しい」という連中の楽しみを奪うことになるだろう。そして仮に今このとき、服装が自由になったらそれはそれでまた、連中は大人をあわてさせる別のアクションを起こすのは間違いない。

31ページ

「「天才」は学校では育たない」とはまた違った角度から現在の教育方法、教師のあり方について論じられている。すこし言葉は強いがたとえがわかりやすく内容がするする入ってくる。
この本の特徴は大人、子ども両方に批判的に評価している。大人が悪くて子どもは悪くないなどと擁護はない。
子どもが悪事を働かせるには理由がある。先生が生徒に舐めた態度を取られるのにも理由がある。今どきの子どもは言葉が通じない、話を聞かないと嘆く大人は多いが実は大人自身が子どもを分かろうともせず、問答無用で決めつけいていることもある。それに気づかず、「悪いことをした生徒が悪い」、「生徒自身の事情なんて知ったこっちゃない」と決めつけ𠮟っているとますます学校は崩壊へむかっていく。

三冊とも学校の現状を問題視し、それぞれの解決策を出している。古い考え方を捨てより良い考え方を構築していく。
ぜひ学校教育に興味のある人は読んで欲しい。

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