2020.09.11

歌詞モチーフ、という言葉がある。
実在する曲をモチーフに、創作をするという意味だ。
今はほとんどしなくなったが、創作をし始めたころ、僕はよく歌詞モチーフのものを書いていた。

今も、創作には必ずといっていいほどイメージソングを設定する。
そうして、完成までのモチベーションを保っている節がある。
果たして僕の読者の何割がそのイメソンを聴いてくれているか分からないが、自分がそうしないと書けないからそうしている。書き上げた結果、記念としてそれを載せるだけだ。

今日、コンビニでコピー機を占領している女がいた。
あまりに時間が長すぎる。常識的な範囲を超えていた。
苛立ちがピークに達し始めたころ、手持無沙汰に眺めていたTLに歌詞モチーフのイラストが流れてきた。
それを見た瞬間、カッと全身の温度が上がったのが分かった。
その曲は、僕がかつて書き上げた最長の創作の、メインのイメソンとして据えていたものだったからだ。

先生と生徒の二者間で進んでいく歌詞。
それから連想されるものは、作者が違えど大差ない。
僕ががつて書いたものも、教師と生徒ものだった。

表現方法が、文じゃなくて絵になっただけで。フォロワー数が違うだけで。
面白いくらいにカウンターはくるくると回り、計上し続ける。

自分がかつて考えたネタを絵師が同じように表現するたび、どうしようもなくやるせなくなる。
やはりこの世のメインの表現方法は絵なのだと、そうまざまざと突きつけられるようで。

その苛立ちも込めて、コピー機を長々と使う女にいい加減順番を変わるよう声をかけた。
僕より一枚も二枚も上手の女は、僕のことをガキとしか見ていないように鼻で嗤った。
あ、こいつには勝てない――そう悟った僕は、捨て台詞を吐いてその場を後にした。

情けない。そもそも何をしにコピー機を使いに行ったかと言うと、絵師のネットプリントをプリントするためだった。
そんなもの、最初からしなければこんな思いもしなかった。

やるせない。苦痛だ。
僕の創作は、本当に少しずつ、蛇口から漏れ出る水滴が滴る速度で、反応を得ているに過ぎない。
絵さえ、絵さえ描けたのなら。
表現方法が文ではなく、絵だったなら。こんな惨めな思いはしなくて、したとしてももう少しマシだったのだろうか。

だから僕は、今日も文字を打ち続ける。
それだけが僕の存在意義。
絵師にはできないボリュームの創作を作り続けることしか、しがない文字書きの僕にできることはない。

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