2020.08.10、焦燥。

焦っている。ただただ焦っている。
起きている間も、寝ている間も焦りに囚われて満足に眠ることができない。

本を出したり作品を上げたあとはいつもこうだ。
特に今回は、本が出るまでの時間が長い。いろいろと都合を考慮した結果締切を早めたのだけれど、どうにもこの空白期間がもどかしくて焦る。
でも、ここで焦るとまた書けなくなる。慎重に自分の心に向き合わないといけない。

イベント参加を諦めた。
休みは取れたけど、まあ予測はしていたけどほとんどの人間が欠席を表明し始めて、ただでさえ底辺サークルで何人の人間が来てくれるか分からないのに命を懸けてまで行く意味を感じられなくなっていった。

行きたかった。どうにかして行けないかと考えた。でも、帰って来て自分が発症して爪弾きにされる未来しか見えなかった。諦めると途端に楽になった。初めから答えは出ていた。

行きたかった。そりゃそうだよ。
自分の書いたものが形になっている興奮。目の前で本が売れていく快感。自分の書いたもので金銭が発生しているさまを目の前で目にすることができる。
こんな人間に、感想を言ってくれる人間がいる。
あの快感を、また味わいたかった。

「こちら側」の世界を知って、本を出す快感を知って。
そうなったらこの騒ぎだもんな。本当に、僕の人生そのものだと思う。何をやっても上手くいかない。

本当は、文字じゃなくて絵で自分の考えを形にしたい。
練習してこなかったのだから仕方ないけれど、絵が描ける人間がただひたすら憎い。
もともと、努力が嫌いなんだ。文章だって、自己流で適当に書いている節がある。本を読むことをインプットとして、それで何とか上手くならないものかと考えている。

公式から本当に久々に供給があった。
タイムラインにはそのイラストがあふれかえった。
僕も気持ちが治まらなくて絵を描いた。こういうときにろくな絵を描けなかった1年前が本当に苦しくて、少しずつ練習した。
自分では段違いに上手くなったと思う。それでも、ずっとずっと絵を描いてきた人間に比べたら児戯のそれなんだ。まったく伸びないツイートを消した。
僕のメインウェポンは小説だから。
そう思って文を書こうとしたけれど進まなかった。まったく関係のない話を書き始めた。

僕が書かなくたって、世の中には素敵な作品があふれている。
個性が一目見て分かる絵ならともかく、小説なんて読み慣れていないとその違いが分からない。大手が5人もいれば界隈としては十分だ。

「小説なんて」。そんな言葉、自分でも思いたくないし言いたくないけれど、だって本当にそうじゃないか。
二次創作のメインストリームは絵師が作る。それも供給に反応して他の誰より早く上手く描ける、筆の早い一握りの人間。
大手の人間でも、絵師よりは評価が少ないのが文字書きだ。土俵が違うと言ってしまえばそれまでだが、消費スピードが速く、一目見て良作か駄作か分かる絵の方が好まれる時代なのは仕方がない。pixivだって、読了目安時間が表示される時代だ。

巫山戯るな。こちらが命を削って生み出す作品はコンテンツじゃない。
生み出すまでに果てしない労力を使い、集中力を要するのは絵も文も同じだ。一目見て分かってしまうぶん、絵の方が大変な労力を要する。それは多少でも描いているから分かる。
だからといって、文より絵の方が偉いだとか。そういう考えをされると本当に遣る瀬無くなってしまう。その気持ちが分かってしまう自分がいるから、余計にどうしようもない気持ちに襲われる。

僕は一体何を求めているのだろう。
底辺文字書きのくせに、神絵師と同じような評価が欲しいのだろうか。
それに見合う努力はしたくないくせにな。
何を以て大手と言われるようになるのかも分からないよな。
フォロワー数が数千人になったとき?
いいねが500を超えたとき?
数字で作品の価値を下される時代に本当に合っていない。
だけどさ、数字が多い作品は、やっぱりそれだけの価値があるんだよな。


あんたの価値観なんて偽物だ。
この世の全部は主観なんだから、君も皆レプリカだ。

人の真似をしたくない。
あの人が描いているから自分も描く。そういった流れが反吐が出るほど嫌い。
そうやって邪道を極めて、そうして書いたものも、やっぱり誰かの何かのレプリカで。
あの映画のワンシーンに似ている。
昨日聞いた話に似ている。
この前読んだ本に似ている。
いつも聴いているあの歌に似ている。
引き出しが少ない人間だから、どうしてもわずかなインプットから引き出してくるしかない。そこに、「決して真似したくないもの」を含みたくないから、他の人間の文章を読みたくない。

すぐそこに終わりが見えている。一人相撲を取っては喜び、落ち込む日々だ。
胸の辺りがいつも苦しくて、焼けるような感覚がいつまで経っても消えない。
書けなくなるときが来ることが怖い。でも、早くこの地獄から解放されたい。
承認欲求に殺される。承認欲求に生かされている。

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