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オジサン、高校教師になる~第13話~

~通信大学に願書を提出する~

通信制大学には10月と4月の入学時期があった。
時期的に10月もいけそうだったが、ここは慎重を期して4月を選択し
それまでにいろいろな戦略を練ることにした。

まあ、2年で取るべき単位数が40もないわけなので
時間的には問題ないはずだ。
ということで早速、令和6年度の募集要項ができ次第送付してもらう手筈を整え、あとは時期を待つだけである。

12月に入って、願書等はそろった。
一応、大学は出ているので、出願時に必要な卒業証明書と成績証明書は入手していた。
その上でだが、ざっくりいえば、お金を振り込んで、志望理由書を書いて(結構長い)まとめて提出すればおそらく問題ないことも分かっていた。

勝手な思い込みだが、大学というと、いわゆる入試を乗り越えて入学するということしかあまり考えていなかった。
もちろん、通信制大学がいくつかあり、教員免許を取得できることも知ってはいたが、真剣に調べたり、相談したりしたことはなかった。
いつだったか、まだサラリーマン時代に電車の中刷りで通信制大学で教員免許取得して、新しい世界にチャレンジ!みたいな広告を見たことがあった。
その時、一瞬だけ「それもアリだな」と思った記憶がよみがえった。
まだ30前半だったと思う、取っとけよ、教員免許!(笑)

今回、教員免許さえ取得すれば採用されるという大船に乗ったわけだから、それは全力で取得に動くわけである。

学籍番号1位を狙って、書類がそろい次第送付した。

必要な振込のために、行きつけの銀行にいった。まあまあ高額なため、窓口での現金振り込みを利用したのだが・・・
「あら、ご受験ですか?」
「あ、はい」
「お父さんも大変ですね」
「いえ、私なんです」
「はい??」
これ以上の説明を避けたかったのだが、失礼ながら平日午前のカウンター業務はお話好きなおばさまであった。
「素敵ですね、お勉強なされるなんて」
「ええ、まあ、この歳でね」
「そんな、そんな、頑張ってくださいね」
地獄のようなやり取りを無事に終えた。

しかし、地獄は次の郵便局でも続いた。
「これをお願いします」
そっと願書などが入った分厚い封筒を手渡した。
「こちら、入学願書ですね」
「はい」
「期日のせまったものは受け付けることができません」
「あ、大丈夫です」
「期日はいつですか?正確にわかりますか?」
「え~~と、たぶん、5月とか・・」
「5月ですか?え、5月??」
「あ、これ通信大学でありまして、その一般的な入学とは異なるというか・・」
「そういうことなんですね、では受付しますね」

日本という国はなんてすばらしいんだろう。
責任回避のためとはいえ、そんなに心配してくれなくてもというくらい心配してくれるのである。
無事に大学への届け出はすべて終わった。

書類に不備がなければ、年明け1月末には入学(編入)許可が来ることになった。
またまた「待つ」だけの時間がはじまったのである。

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