見出し画像

オジサン、高校教師になる~第6話~

~教員採用試験・1次試験②~  

最大の難関である筆記試験だが
出題は、論説文、古文、漢文、学習指導要領から2問と形式は同じだった。

論説文はまずまず、古文は苦手なのでさらっとやって、得意の漢文はじっくり読み込む、作戦通りである。
最後の2問も予想していた内容だったのでそつなくこなしたと思った。
なお、テストの結果はすべて点数が公表されるのだが、筆記試験の点数は低かった(笑)。
一般教養テストは免除されているので、あとは集団面接だけである。

そして、筆記試験からその集団面接までがとにかく長かった。3時間くらいあって、お昼におにぎりも食べて、それでもまだ時間が余るし、飲み物を買いにいくには、監督官の指示に従ってオジサンたちが列をなして自販機までいくのである、冗談ではなく・・・。
しかも、この間、スマホなどの電子機器は電源を落としておかなければいけいという、いろんな意味で「異世界」であった。

筆記試験を受けた教室が待機部屋なのだが、なんともみなさん大人しい。スマホもないし、持ってきた本も読み終えて、しかたなく、うしろにいってストレッチをして時間が過ぎるのを待った。
周りのオジサンがオジサンを変な目で見てきたが気にしないことにした。


正直、集団面接には懐疑的である。
その理由は、集団ではその人物をなかなか把握しきれないのではないかということ。そして、答えが他の面接者に引っ張られるので必ずしも本人だけの発言としにくいと思われるからである。


実際、集団面接では、先に答えた人の意見に引っ張られる場面は多くあった。
私はそのような場面を想定していたので、いい意味で人の話を聞かないようにしていた(面接官の話は聞いていたよ)。
できるだけ「自分オリジナルの意見」を考えて伝えるためである。

面接の詳細は避けるが、教育系の質問が多かったように思う。このときには「志望理由」は聞かれなかったと記憶している。

ただ、この面接のやり取りは社会人経験豊富な人ほど落ち着いて答える傾向はあると思う。
少し焦るような問もあったが、そこまで外れたことを一般社会人は言わないだろう。
結果として、点数は結構高かった。

先ほど、集団面接には懐疑的と書いたが、実は隣にいた方は質問に答えるときに常に足首に手を伸ばしてずっと搔いていた。
それはちょっと異様な雰囲気を醸し出していた。。
私も振り向きまではしないが、明らかに腰を曲げて、しゃべりも掻く手のリズムに合わせていた感じだった。

・・・集団面接は必要かもしれないと、考えを改めざるを得なかった。

なにはともあれ、初夏の中、1次試験は無事に終わった。
しかし、思ったよりも手ごたえはなかった。
予想通り、ここが分かれ道だと思えた。

会場を出て、スマホの電源を入れると、妻からラインが来ていた。
一瞬、労いの言葉かと思ったが、そうではなかった。

「○○駅限定の○○スイーツ買ってきて」

このあと、汗だくのオジサンがかわいらしいスイーツを探して、駅構内を探し歩くことになるのである。

いくつになっても夢を追いかけるオジサンのサポート、よろしくお願いします 頂きましたサポートはさらなる夢見る活動費に使わせていただきます。