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ああ無限(いかにして私が無限民になったのか)

私という人間がなぜ無限にやってきたのかをこれから話そうかと思う。

私こと現無限ベスパー町長である獅子丸という人間が生まれ育った地は出雲であった。
出雲では先行して住民となった友人に半ば強引に引きずり込まれたためか、いまいち熱意もなく、出雲においては負け組の一人であったと思う。
ところが貧するあまりパンを盗んでしまい、ガードによって投獄されると、そのまま虜囚になってしまう。

刑期を終えた私は、国外追放を申しつけられ、着のみ着のまま荒野に放り出されてしまい、永久に出雲に戻ることを禁じられたのであった。

かくして私は無限の荒野をさまよい、たまたま僻地にある一つの街に立ち寄ったのだった。
人恋しさに立ち寄ったその街はデルシアといい、まったく栄えてはいなかった。
お情けで持たされた1000GPぽっちの金貨をあっという間に使い尽くしてしまった私は、牛の皮をはいだり木を切ったりして生計を立てていたが、そんなときたまたま旅の途中の姉妹に出会った。
姉妹は飛鳥の国から出稼ぎにきたのだという。

姉のエミリーは「私は飛鳥家政婦協会から無限の大富豪の元へメイドとして派遣されて旅をしてきました。よろしかったら旅に同行して私たちを守ってくれませんか?」といいながら銀の食器で食べ物を与えてくれた。
また妹は動物調教師の夢を持ちながら姉に同行はしているが、まったく才能がなくハムスターの調教しか出来ないためその名の通りハムちゃんと呼ばれているらしかった。
「はい、私が道中をお守りいたしますよHehe」
人の良さそうな姉と役に立たなそうな妹を見て私はすぐさま悪い考えを起こしたのであった。
なぜなら、今までの他人は自分に冷たく、みな利己的であって、もう一切人を信じる心を失っていたからであった。

まんまと姉妹に同行することになった私は、その夜自分を信用してぐっすり寝込んでいる姉妹の荷物から銀の食器と下着を盗みすぐさまとんずらしたのだった。
そして国境で速攻で不審者として警備隊に捕まった私はすぐに尋問を受け、デルシアの街に引き戻された。

そこには姉妹が居た。
「お嬢さん、この不審者が銀の食器を持っていました。あなたから盗んだ物ではありませんか?」
ところが、姉は思いがけない言葉を口にした。
「いいえ、この方は私のお兄様で、私の雇われ先に銀の食器を届けてもらうように私が頼んだのです」
「その方は私たちのお兄様です」と妹も口をそろえたので警備隊は疑いつつも私を釈放したのであった。

解放された私は混乱し、思い悩み、やがて自分の魂の醜さに気付いて泣き始めたのでした。
下着はしっかりはいていたので洗って返しました。

(続く)


エミリー、ハムスターとの出会いにより善の心を取り戻した獅子丸。
やがて無限ブリ銀にてブリ銀族として頭角を現す獅子丸。
そこでルキ、ミルミル、ムシカとの運命の出会いがまっていた。

次回「澱んだ街角で僕らは出会った」
みてください!

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