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山梨県身延町。私の生まれ育った町。人口約1万人の田舎町だ。
その身延町が今年になってプロモーションムービーを公開している。その名も『みのラブ』。1本3分ぐらいだが、3部作のショートストーリーになっている。

身延町は、まさに自然豊かな町で、富士山も近い。
いわゆる平成の大合併で町の面積は広がり、信玄のかくし湯と言われる下部温泉も、今は身延町の中にある。
最近では、長く続くキャンプブームの中で、マンガ『ゆるきゃん△』に登場した影響で訪れる観光客も増えてきた。

『みのラブ』に描かれるように、自然豊かな町で、自分を見つめなおし、リフレッシュしませんかというブランドメッセージにも共感する。

でも、生まれ育った私は、
身延町には、おごそかなイメージを持ってもらいたいと思う。

『菩提梯(ぼだいてい)』をご存じだろうか。
久遠寺へと続く石段と言った方が、地元民にとってもなじみが深い。身延町には日蓮宗の総本山があり、この身延山久遠寺へと続く287段の石段が、類も見ない曲者なのだ。
1段1段が高くそして狭い。足を踏み外すんじゃないかという恐怖感が、287段という長さで続く。まさに、修行のための石段だ。

でも、この風景が私は好きだ。
目の前に立ちはだかる、高くそりたつ石段。その両側を埋める杉林。昼間でも、すこし薄暗い空間には、霊験あらたかな空気が漂う。

あたり前の風景と思ったが、身延町を離れてからこんな場所に出会ったことはない。
数多い京都の寺院はどこも、どうぞこちらへと招きいれてくれる雰囲気がある。日光東照宮も、金刀比羅宮も階段を進まないとたどりつけないが、寺院への道は観光気分で散策できる。

身延山の「菩提梯」だけは、お寺に行くために気合いが必要なのだ。

私は身延町が、信仰の町でパワーをもらえる町であって欲しい。
菩提梯をのぼった先に広がる久遠寺の景色も良い(石段以外のルートもありますのでご安心を)。山の頂から見る富士山は、ほっとする安堵感もあるが、明日からも見守ってくださいとやる気をくれる。
年々過疎化が進む田舎町だが、身延町が訪れた人が、明日から頑張ろうと思える場所であって欲しい。

ただ、リフレッシュできる町でも、パワーをもらえる町でも、どんな町にしたいかという意思がとても大切だ。
指をくわえているだけでは、ただただ過疎化が進んでいくだけ。
『みのラブ』なんて似合わない動画だなぁと思ったが、町の意思を感じてうれしかった。

身延町のことは、いつまでも大好きだし、『みのラブ』は私の最近すきな動画だ。

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