陶器のような指が顔をなぞる

タクシーに乗りながら、なぜか私は女性の先輩に膝枕をされていた。
とても気温が気持ち良い日で、先輩のひんやりとした膝の上は心地よかった。
先輩は私の顔を指でなぞりながら遊んでいたが、指先から伝わってくる愛情がこれまた嬉しかった。先に膝に寝転がったのは私ではあるが、それからはやれやれと言いながらも受け入れてくれる先輩。こちらが近寄るくらい、あちらも間接的にではあるが、答えてくれる感じがたまらないのかもしれない。受容の嬉しさ。待ってましたというほどの熱烈な歓迎ではないものの、はいはい分かりますよとでも言うような懐の広さは、さながらおばあちゃんの懐かしさと愛着を思い出す。
目を閉じてみるとスーっと青い空が広がるような気がする。
目を開けると、先輩は微笑みながら顔を近づけて唇にキスをしてくれた。
急に自分の自己像が、手を後ろ手を結びながら俯く少女になったかのような気もしながらも、しっかりと嬉しさを噛み締めていた。
そうしてるうちに、先ほどのものは様子見だったかのように今度はしっかりとしたキスになった。こちらもひんやりとした唇で、舌の奥では暖かさも感じた。
しっかりキスをしたはずなのに、先輩は顔をあげるとなぜかしれっとしてたが、そこに冷たさはなく、惹きつけるような表情のみが映っていた。

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