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Radiotalkで芸人の夢を再始動させた話【今そっちさんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『今そっちの今どっち』を配信する今そっちさんにフォーカスを当ててお届けします。

今そっちさんは、関西出身・関東在住の30代で二児の母。Twitter上で絶大な影響力を保持していた2020年6月、自身初の音声配信番組をゼロからスタートさせ、段階的に方向転換を遂げ、現在は「笑い系」トーカーとして人気を集めています。

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「お笑い」魂を封印し、「主婦代表」イメージと葛藤した過去、そして縁で辿り着いた現在、その先に描く大胆な未来──。「笑わないと干からびる」性格を公言し、自らを「明るい陰キャラ」と評価する彼女の味わい深さは、掘り下げれば掘り下げるほどに色濃いものでした。

(取材/文:鼻毛の森

「共感に応えよう」というプレッシャーからの脱出

ーーもともとインフルエンサーとして活躍されていた今そっちさんですが、この活動はどのような経緯で始まったのでしょうか?

今そっち:もともと、その2年前からTwitterで自分の日常を発信していまして、息子2人が自閉症ということもつぶやいていたからか、主婦層の共感の輪がどんどん広がって、気づけばフォロワー数が2万人近くになっていました。

ーー2万フォロワーとは、すごい注目度です。

今そっち:たしかに何度かバズってはいたんですが、私自身はインフルエンサーだと思ったことはありません。ある日、息子たちに作った「やさしくなれるテント」のツイートがメディアの目に留まって取り上げてもらって、爆発的にフォロワーが増えました。

ただ、フォロワーの内訳は、ほぼほぼ主婦層で、共感への期待に応える投稿を意識してしまうようになって、身動きがとりづらくなっていたんです。

「もっとお笑い要素強めでやりたいんだけどな」との思いが強くなった頃にRadiotalkを知ってウキウキしたものの、当初は誰が聞いてくれるのかも全く予測がつかなかったので、「まずは身近なTwitterのフォロワーさんも喜んでくれそうな話題を」と考えを巡らせた結果、結局主婦としての話に戻ってしまったんです。せっかく、方向性を変えるチャンスだったのに(笑)

ーー第1回目の配信は、どんな内容でしたか?

今そっち:「息子の診断結果」がテーマでしたね。ワンタップで始められると聞いてはいましたが、「ど素人ができるものではない」と手が震えていました。台本もみっちり書いて、10回ぐらい録り直した記憶があります。

その後、数回でいったんお休みしたんですが、2ヶ月後に再開してからは、リアクションももらえるようになって、ようやく収録に馴染んできたって感じですね。でも、根本的な葛藤は続きました。

ーーいったん配信を中止したのは、どんな理由からだったのですか?

今そっち:主婦代表の意見のように取られてしまわないか、不安だったんです。本当はすべての発信を「お笑い」一色でやりたくて。子どものことをネタにしているように受け取られないだろうか、とか、家族への申し訳なさを含めた葛藤がありました。本音には違いないけど「なんか違う」というか。

ーー現在は「お笑い色」にシフトできている印象があります。

今そっち:そうなんです。ようやくです。転機は2020年の11月、Radiotalkで実施されていたMBSラジオのパーソナリティ募集企画に応募して、「スーパーでやらかした話」をアップしたことですね。

結果としては予選にも残れなかったのですが、この悔しい思いをバネに「もっと人を笑わせたい」と素直に取り組めるようになれたと思います。

ーー具体的には、どんな取り組みを?

今そっち:実は始めてからの約5カ月、別の番組を聞いたことがなかったんですよ。私ができなかった「面白い話」をされていると嫉妬してしまうのが分かっていたので、避けていたんです。

ーーそれはそれは……

今そっち:いやぁ、我ながら尖ってましたね(笑)。なのでまず、他のトーカーさんの番組を聞くことから取り組みました。

収録の必需品は「ラムネ」と「キッチンタイマー」

ーー現在の配信環境を教えてください。

今そっち:スマホ1本、ただそれだけです。iPhoneの備え付けマイクを口に近づけてしゃべっています。一人喋りなので、家に誰もいないときは家で、夜は車の中で。録る場所には必ずブドウ糖のラムネと、大喜利用にキッチンタイマー、そしてドリンクを常備した「ラジオトートバッグ」を持ち込んでいます。

ーー収録トークとライブ配信は、どのように使い分けていますか?

今そっち:いまは、ほぼライブ配信ですね。夜の10時頃から、車の中で配信しています。多いときは週4~5日、1時間半ぐらい喋りっぱなしです。収録トークは、もはや頻度をカウントできないレベルになりました。現在は、告知ごとや企画に参加するとき程度、という感じです。

ーー収録からライブ主体へとチェンジした経緯は?

今そっち:ライブ配信は、2020年秋にアプリに実装されてから、収録トークと並行して行っていたのですが、2021年の1〜2月、方向性に悩んだ末に「お笑い」方向に振ると決めて、ほぼライブ配信のスタイルにシフトしました。

芸人への夢を再燃させた、三拍子高倉さんとの出会い

ーーどんなきっかけから、お笑い方向へ振ると決めたのですか?

今そっち:2021年2月のイベントで、漫才師・三拍子の高倉さんとコラボトークできる機会をいただけたんです。

その際に「芸人になりたかったけど、主婦になったことをきっかけに諦めた」的なお話をしたら、「古い考えだよ」と言われまして……。プロの芸人さんの言葉で、忘れかけていた情熱が燃え上がったんです。

ーーもともと人を笑わせるのが好きだったんですか?

今そっち:実は私、中学校2年はまるまる不登校だったんです。新年度を迎える手前の春休みに、もう一人いた不登校の同級生と仲良くなって、「一緒に学校に行こう」となったんですが、実際登校してみたら、同級生たちは「今さら?」という雰囲気で、言葉も冷ややかで。

せめて一緒に学校に行ってくれたもう一人の子ぐらいは笑顔に、と思って全力で笑いを取りに行き続けたら、次第に周囲も変わっていったんです。「面白い子だったんだね」と。お笑いをもっと追求したくて、芸人になろうと思っていました。

ーー笑いのプロになりたかったのですね。

今そっち:高校に行かずに吉本の養成所に行こうと思っていたぐらいで。実は中学3年の時に、MBSのテレビ番組の出演権をかけた素人お笑いオーディションにも参加してるんですよ。

ただ、実際は駆け出しの芸人さんが多くて、その中で笑いを取ったつもりだったんですけど、ライバルの反応は冷ややかで「怖っ」ってなってしまって。とりあえず高校行ってアルバイトで資金を作ってからと先に延ばしたんですけど、いろいろ状況が変わり、やむなく就職することになって。

なので、あの頃からずっとくすぶらせてたんですよ。それを呼び覚ましてくれたRadiotalkには感謝しています。

Radiotalkで、「笑い」が中心の生活になった

ーーラジオトーカーうえださんが主催する”帯番組”企画「SMASH!」にも、今そっちさんは参加されていますね。

今そっち:声をかけていただいて、木曜パーソナリティをやらせてもらえました。

いつもの配信とは違う、ラジオ番組的な固定フォーマットの中でどう面白くするか──。番組スタートの1か月間は、毎日ラジオのことを考えている、楽しすぎる毎日でした。

ただ、家庭との両立もあるので、心を鬼にして「SMASH!」は1カ月限りということで……。でもこれは我慢ではなく、楽しく生きるための決断なので、今後もいろんな企画に参加していきたいなと思っています。

ーーRadiotalkでの配信を通じて、変化したと思うことはありますか?

今そっち:私自身、180度ぐらいものの見方が変わったと思います。それまで「狭い世界で生きてたんだな」ということがはっきりしましたね。

気づかないうちにきっかけが生まれたり、気づいたらやりたいことができていたり。本当はやりたいのにバイアスをかけてやってなかったことが少しずつできている今が、めちゃめちゃ楽しいんです。

家族との関わり方もいま、「笑い」が中心になっています。実は夫が知らないアカウントから番組を聞いてくれているみたいで。「いちファンとして応援する」といつも語られて、ちょっと暑苦しいくらいなんですよ(笑)

「笑いに来てくれる」リスナーの笑顔を想像して話す

ーー今後、Radiotalkでやってみたいことはありますか?

今そっち:Radiotalkでお笑い系のイベントがあれば、どんどん参加していきたいと思っています。

実は配信とは別に、お笑いユニットを組んで20年ぶりのガチオーディションを受ける準備を進めていまして。芸歴10年のガチのピン芸人さんと、いまコントを詰めています。コントの台本も私が書いてますし、この勢いで、いつかラジオトークで漫才もやれたらな、なんて思っています。

ーー今そっちさんにとって、リスナーはどんな存在ですか?

今そっち:「笑ってもらえてるのかな」と常に考えられることが、ライブ配信のモチベーションになっています。なので、リスナーさんは「笑いに来てくれるお客さん」と思い、笑顔を想像しながら話しています。

ありがたいことに「面白い」というお声をいただくようになってきたので、期待に応えられる配信者であり続けたいなと。テンションが上がった時は配信でも一方的に喋る私ですが、たぶんリスナーさんが思っている以上に、リスナーさんに愛着を持っていますよ(笑)

ーー今そっちさんにとって、Radiotalkとはどんな場所ですか?

今そっち:自分の視点でも他者の視点からでも、良くも悪くも、気づかなかったことに気づけ、知らなかったことを知れる── 自分が変わっていける、大切な場所だと思います。ずっとみんなを笑わせて、私も笑い続けることができれば、最高です。

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