Radiotalkはコンビ間コミュニケーション【スーパーニュウニュウ インタビュー】
Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『スーパーニュウニュウのジャリロンラジロン』を配信するスーパーニュウニュウのお二人にフォーカスします。
スーパーニュウニュウは、大将さんとふるやいなやさんによる、マセキ芸能社所属のお笑いコンビ。ハイテンションかつエキセントリックなキャラクターに扮してのコントが話題を呼び、2021年には「キングオブコント」準々決勝に進出。さらに「マイナビLaughter Night 第7回グランドチャンピオン大会」(TBSラジオ)ではファイナリストと、その活動が注目されています。
舞台では観客に強烈なインパクトを与える二人ですが、Radiotalkではキャラクターを脱ぎ捨て、飄々とした雰囲気で送る等身大のトークが人気。「気を抜いてしゃべっている」といいつつ、リスナーへの細やかなフォローも欠かさない今の配信スタイルは、どのようにして形作られたのでしょうか──。
(取材・文/天谷窓大)
コンビでも、「二人トーク」は苦手だった
――配信を始めたきっかけを教えてください。
大将:事務所からRadiotalkを紹介してもらったのがきっかけです。ラジオの経験もあまりなかったので、コンビとしてトークの経験を積むのに良いかな、と始めました。
ふるや:別のサービスでラジオ配信をやっていた時期もあったんですが、サービスが終了してしまって、二人でネタ以外に発信する場所がなくなってしまったんです。そこへちょうどお話があって、やってみようかな、と。
――新たなトークの発信場所として、Radiotalkを選ばれたのですね。
大将:そもそも僕ら、二人でトークするのがすごく苦手だったんですよ。ライブでMCを任せてもらうこともあるんですが、すぐ話が尽きちゃって。そもそも、ネタ合わせ以外に二人で会話をすることがなかったんです。
――そうなのですか! ハイテンションなネタの雰囲気からは想像もつきませんが・・・・・・
大将:まずは、二人で話す練習をしようと。将来的にラジオをやらせてもらうことになったときのためにも経験を重ねよう、というのも動機の一つでした。
リスナーとの相乗効果で「隠れた一面」が開きまくる
――番組を聴いていると、お二人の個性とリスナーさんの個性が相乗効果を生み出している印象を受けます。番組のタイトルも、リスナーさんと決めていましたね。
大将:ほんとにひどいタイトル案ばっかりだったんですよ。「多めの○理」とか、「おしっこキ○タマ」とか・・・・・・
ふるや:アハハハハ!(笑)
大将:ほんとひどい下ネタばかりで(笑) あまりに来るので、消去法でタイトルを選びました。
――タイトルの決め手は何だったんですか?
ふるや:「スーパーニュウニュウ」をエジプト語だかアラビア語だかに訳すと、「ジャリロンジャリロン」みたいな発音らしいんですよね。で、スーパーニュウニュウのラジオだから、「ジャリロンラジロン」と。
――理由が知的!
ふるや:以前、私が「スーパーニュウニュウって、アラビア語で何て言うんだろう?」と調べて、それを刺繍にしたことがあるんです。そのときに「アラビア語で『スーパーニュウニュウ』って『ジャリロンラジロン』っていうんだ」とSNSでつぶやいたんですが、それを思い出して送ってくれたのかもしれません。
ーー寄せられるお便りの振り幅がすごいですよね。
大将:しょうもない下ネタが来たかと思えば、突然「賞レースの秘策を教えてください」なんてめちゃくちゃ真面目なお便りが来るので、油断できないですね。
普段のネタ投稿もすごい面白くて、普通に読んでて笑っちゃうし。ラジオネームの付け方からして個性的な人たちが多くて、毎回すごく楽しいですね。
――深夜ラジオのハガキ職人に匹敵するクオリティを感じます。
大将:いやぁ、ほんとそうですね。あえて地上波じゃ放送できないネタを送って、完全にうちじゃないとできないような話を送ってきてるんじゃないかと(笑)
――お便りをきっかけに、お二人の隠された一面が明らかになることも多いですね。
大将:そうですね、本当に。お便りをきっかけにいろいろ自分たちのエピソードを話していたら、「そういえばこんな話も過去にあったな」というのをさらに思い出したり。おかげでトークライブでも、苦手だったエピソードトークができるようになってきました。このやりとりは自分たちにとっても、すごく役立っていますね。
いい意味で気を抜きながら録る
――いつもどんな感じで収録されているんですか?
大将:ほぼほぼ僕の家で録ることが多いですね。二人でスマートフォンを前に、「今日は何録ろうか」と相談しながら収録しています。
僕ら、結構溜め録りが多いんですよ。ネタ合わせした後に、2〜3本録ろうか、という感じで。ライブの日なんかだと、外でネタ合わせしているときに録ることもあります。
――将来のラジオを出演も踏まえて始めた、ということでしたが、そういった「ラジオっぽさ」のようなものは意識していますか?
大将:とくには意識していないですね。自分らのエピソードを話していこうか、程度の感じで。目標は掲げず、自由にやっています。いい意味で気を抜きながらやっているというか。
――普段、お二人はどんな役割分担なんですか? 聴いている感じだと、大将さんが進行役なのかなと。
大将:そうですね。僕が進行役みたいな感じですかね。というのも、ふるやがお便り読むの苦手なんですよ。
ふるや:漢字を読むのが苦手で・・・・・・。
大将:名前の読みとかを間違えちゃうんで、ふるやがお便りを読むと全然話が入ってこなくて(苦笑)。僕がお便りを読み上げて、「どう思う?」とふるやに話を振るスタイルでやっています。
「仲間から見たM-1ファイナリスト」のトークが話題に
――2021年のM-1グランプリ直後に、ファイナリストの錦鯉(長谷川雅典、渡辺隆)さんやモグライダー(芝大輔、ともしげ)さんとのエピソードを配信していましたね。“芸人仲間”ならではの舞台裏トークということで、Radiotalkの中でもかなり話題になりました。
大将:錦鯉さんとはもともと同じライブに出ることが多くて。モグライダーさんにいたっては一緒にユニットライブもやっていましたし、事務所のライブでも一緒だったので。そういうところでのエピソードは、Radiotalkで結構話していますね。
特にともしげさんは、僕の家のすぐ近くに住んでいて。もう徒歩一分くらいの距離なんですよ。
――なんと!
大将:そうなんですよ。一緒のジムに通っていて。
――文字通り、距離の近い間柄なんですね。
大将:そうなんです。だからもうエピソードはたくさんあるんですけど、そのほとんどがおおっぴらには話せない話ばっかりで(苦笑)。Radiotalkでは「これならまだ話せるかな」と選んだ話を出しています。
――これからもそういったエピソードトークは期待していいのでしょうか?
大将:そういうお便りが来たら、なるべく話そうかなと。ただ、あまり自分たちから「この人の話をします」というようなことはしないつもりです。あくまでも聞かれたら答える、という感じで。
コントのキャラとのギャップを叩かれて・・・・・・
――とても順調な滑り出しのように思えますが、一時期配信を休まれていたこともありましたね。背景になにか事情があったのでしょうか?
ふるや:これは後から聞いたのですが、大将さんは、番組での私の話し方についても、いろいろ他の芸人さんたちから言われていたらしくて。
――たしかに、番組でのふるやさんは舞台のキャラクターとは真逆の淡々としたトーンですが、それを指摘されたということですか?
ふるや:淡々としたトーンが私の普段の姿なんですけど、コントをやるときの「頭おかしい、テンション高い」キャラクターを思い描いている人からすると、やる気がないように聞こえちゃったみたいで。大将さんは周りの人たちに「ふるやの話し方をなんとかしろ」と注意されたそうなんです。
大将:「なんであんなにやる気無いの?」という感じのことを他の芸人さんたちから言われて。何度か、「もうちょっと元気よく『どうも〜!』って言った方がいいんじゃない?」とふるやに提案したりしていました。
――演じているキャラクターを「普段もそうに違いない」と思われてしまうのはしんどいですね。
ふるや:まぁ、なんだかんだでこのトーンも定着したのでよかったんですけどね。うちとしては普通に、ネタのときとラジオのときと平場なときでキャラクターが全部違ってていいと思っていたので。
――普段からずっとハイテンションだと、疲れちゃいますよね。
ふるや:コントのときのような、ずっとボケてて話も通じないみたいキャラクターをRadiotalkでも演じていたら、たぶん続かないなと思って。普通のおしゃべりの延長上でボケるのはいいんですけどね。ずっと「話が通じないキャラクター」で通していくのは、私はちょっと自信がなかったですね。
一時期それで大将さんも病んじゃって。「もうRadiotalk 辞めたい」と言い出したときがあったんですよ。
――たしかに、2ヶ月くらいブランクの空いていた時期がありましたね。
大将:トークを上げるたびにいろんな方面から「やる気ないんじゃないか」みたいな感じで言われて。あげくのはてには「トーク上げるのは良くない」とまで言われて。
ふるや:「トークを上げるのはスーパーニュウニュウにとってマイナスだ」とまで言われて。
大将:そうそう。すごい言われたんですよ。
――そんなことまで言われたんですか・・・・・・。
ふるや:で、大将が「もうRadiotalkのアプリも削除したい」って言いだして。
大将:病んでました。
ふるや:これはまずい! と思って。「これまで録ったやつを消すのはもったいないから、ちょっと寝かせておこう」と説得して、なんとか一命を取り留めたんですけども。本当にすべてリセットしようとしていた時期があったのは事実ですね。
どん底からすくい上げてくれた「リスナーの言葉」
――その時点で配信へのモチベーションが潰えてもおかしくないように思いますが、その後ふたたび再開して、現在まで継続していますね。何か、心境の変化があったのでしょうか。
ふるや:ある日突然、大将が「これからは毎日トークを上げよう」と言い出したんです。なんでそんなことを言い出したのか、いまでもよくわからないんですが・・・・・・。
大将:なんで言い出したんだろうな・・・・・・。たぶん、どこかで「あのトーク、よかったですよ」みたいなことを言ってもらったんですよね。
たしかに2ヶ月のブランクを空けちゃって、もったいないなという気持ちもあって。これまでは二人のトークの練習のためにやっていたんですけど、聴いてくれている人がたくさんいるのだし、これからはちょっと気を引き締めてやっていこうと思い直したんです。
せっかく再始動するなら、新たな目標を課して自分たちを鍛えようと。それで、毎日トークを上げることにしました。
――それは大きな転換でしたね。では、それからは実際に毎日更新を・・・・・・
大将:1日1回、毎日更新しています。一度に溜め録りしたものを少しずつ配信しているんですが、2ヶ月のブランクの前と後とでは、自分のスタンスも大きく変わりました。
リスナーが活動を広げてくれた
――日々の配信において大切にしていることはありますか?
ふるや:一番大切にしているのは、無理して振る舞わないということです。結果、それが好かれようが嫌われようが、どちらでもいい。無理して継続できなくなるくらいなら、このまま現状維持できればいいなと思っています。
大将:そうだね。飾らないでいけたらいいね。
ふるや:Radiotalkで話しているときの私は、「ラジオのときのふるや」。コントをふくめて、私たちがたくさん持っている面の一つとして認識してもらえたらと思います。
――いまお二人にとって、配信を続けるモチベーションはどんなところにありますか?
大将:「『ジャリロンラジロン』毎日聴いてるよ」と声をかけてくれるリスナーさんの存在ですね。ありがたいことにお便りをくれる常連さんも多いですし、番組を聴いて事務所ライブに来てくれた人もいます。いずれは公開収録イベントを開いて、そうした人たちと一堂に会して交流できたら嬉しいです。
ふるや:イベントをやろうというアイデアも、「公開収録、聞いてみたいです」というリスナーさんからのお便りがきっかけでした。リスナーさんが、私たちの活動を広げるチャンスやヒントを送ってくれています。
――素敵な関係ですね・・・・・・!
ふるや:最初こそ「こんなラジオ聴いてる人いないだろう」と思っていたんですが、こうして気がつけば輪ができていて、いい意味で予想外でした。本当にありがたいですね。
Radiotalkはコンビ間コミュニケーション
――お二人にとって、Radiotalkとはどんな場所ですか?
大将:生活の一部ですね。毎日、朝起きてはトーク上げなきゃと思いますし、溜め録りが少なくなってきたからふるやに連絡しよう、と。日常のルーティーンとしてして体に染みついている感じがあります。
ふるや:コンビ間でも、よっぽど仲良くないと多分プライベートの話ってなかなかしないと思うんですよ。特に男女コンビは。いまや私たちにとってRadiotalkは、コンビ間のコミュニケーションという側面が大きいですね。
――トークを通じて、お互いのいろんな面を開けあっているのですね。
ふるや:大将は信号を無視する人が一番世の中で嫌い、という事実もRadiotalkで初めて知りました。
大将:あんま言わないもんね、そんなこと。
ふるや:「赤信号を無視する人をどう思う?」なんて質問、わざわざしないですよ(笑)。
大将:こうして二人でしゃべるようになって、ふるやのプライベートの話を聞いて、トークライブで「実は、ふるやってこうなんですよ」というふうに言えるようになって。つながってるな、と思いましたね。Radiotalkがなかったら、ここまでふるやのことを知ることもなかったし。
ふるや:Radiotalkが無かったら、ここまでわかりあうことは無かったかもしれないですね。もともとお互いのプライベートにそこまで興味があるわけではなかったので、自分から話題に出すことすらなかったと思いますし。本当にお互い、いろんなことを知れるきっかけになりました。
――大将さんとふるやさんがトークを通じてお互いを知り合っていくラジオ、これからも聴いていきたいです。
大将:二人とも笑い上戸なんで、毎回お互いのエピソードで笑いながらトークを録っています。やっぱり、聞くのが楽しいんですよね。それもまた、コンビとしてやっていく上では結構大事なことなのかな、と思いました。
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